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タカシの外資系物語

外資系における会議手法 ( その 1 )-「時間」のファシリテート2003.07.18

最近、「会議のやり方」を説明した本が売れています。確かに日本では、トヨタ生産方式に代表されるような、「生産現場におけるムダとり」には成功してきました。しかし、現場を離れた部分、いわゆるホワイトカラーにおける合理化は進んでおらず、特に会議のやり方についてはあまり議論されることがなかったように思います。


そもそも、会議の生産性とはどのように測るのでしょうか ? 会議にかける時間は短い方がいいに決まっています。しかしいくら時間が短くても、決めるべきことが何も決まっていないようでは意味がありません。また、会議本番の時間が短くてもその準備や後始末に時間をかけているようではいけません。加えて、どのくらいの人が内容を理解したかということも重要な要素です。一部の人だけが決まった気になっているだけで、大多数がちんぷんかんぷんな状態では意味がないでしょう。


このように考えると、


1. 議論にかける時間 ( 準備や後始末も含めて ) は短く


2. 内容の理解は参加者全員がより深く


3. 全員が納得する ( または何らかの結論が出る )


というのが基本ポイントだと言えます。


最近流行りの「会議マニュアル本」では、先のポイント の一部が欠落していたり、単に会議の司会者が気持ちよく議事進行するためのノウハウのみを掲載したものもあるようですので、注意が必要です。


さて、外資系企業においては、特にマネージャー職以上のレベルに対して、「会議のファシリテート能力 ( ファシリテーターという ) 」を強く要求します。ファシリテートというのは、本番の司会進行を含めた、会議全般の段取りを担当する人を指します。目的は「議論は短く、理解は深く、全員納得」ですから、カッコいい司会をすることが目的ではありません。しかし多くの日本人の間では、「カッコいい司会 = 良い司会」と考える傾向があります。見た目がきれいな資料やパワーポイントをいくら使ったところで、目的が達成できていなければ、ファシリテーターとしては失格なのです。


今回より数回にわたって、私がファシリテーターとして留意している点を説明していくことにしましょう。


まず「時間」です。基本的に何もしなければ、時間というのはダラダラと過ぎていくものです。つまり、かなり意識して対処しなければ、時間のコントロールというのはできないようになっているのです。ファシリテーターとして私が一番よく使う方法は、「時間が来たら強制的に止めてしまう」というもの。会議時間を 2 時間と決めたら、何があろうと 2 時間しかやらないのです。よくありがちなのが、「今日は徹夜してでもやってしまおう !」という気合で会議を乗り切るタイプです。


しかし、よく考えてみましょう。2 時間で決まらないものが、4 時間で決まるでしょうか ? 時間というのは短いようですが、効率的に進めることができれば、結構長い時間です。その 2 時間で決まらないということは、進め方に問題があるか、参加者が不適切であるか、事前の準備が不十分であるか …… などなど、何らかのよくない理由があるのです。そういう状況のままでは、あと何時間延ばしたところで、実の有る議論などできません。日時をあらためて仕切りなおした方がいいケースの方が多いのです。


また、2 時間やってみたが全体の半分しか決まらないような場合に、残りの議題を 30 分で決めてしまうようなケースも避けるべきです。このような「やっつけ作業」でも決まるような話題なら、わざわざ会議を開く必要などないはずです。


こういう風に言うと、「なんて融通の利かないやつなんだ …… 」と思われるかもしれません。しかし私の経験則では、時間管理がルーズな会議では、ろくな結論は導かれません。


会議の時間管理というのは、組織の決めごととして、スタッフ全員に理解してもらわないと、なかなかうまくいきません。ファシリテーターがいくら頑張っても、参加者全員が「この会議は 2 時間で終えねばならない」というコンセンサスを持っていなければ、うまくいかないのです。そういう観点から、私が現在所属するセクションでは、「時間割制」という制度を作っています。これは、1 日をいくつかのスロットに分けて、会議の時間も無理やりそれに当てはめるという方法です。


具体的には、1 スロットを 1.5 時間として、「9:00~10:30」「10:30~12:00」「13:30~15:00」…… というふうに、時間割を組みます。実際の会議は 1 時間 15 分で終えるようにし、残りの 15 分を次の会議の準備や移動時間に当てます。


この方法をうまくやるコツは、自分の周り全体が、この時間体系の中で動くことが重要になります。ですから私は、社内はおろか、顧客との作業においてもこの時間割を使うようにしています。そうすれば、「会議時間延長 ! 」なんてこともできなくなりますので、テキパキと会議を進めやすくなります。そう言えば、学生時代の時間割って、非常に効率的に作業できる体系だったような気がするのですが、いかがでしょうか。


さて、会議の時間には「終わり」もあれば、「始まり」もあります。終了時間だけを気にしていても、時間どおりに始まらなければ話になりません。会議を時間どおりに開始するコツは、とにかく必要なものはすぐに出せるようにしておくことに尽きます。そのためには、必要な資料を電子的に保存し、プロジェクタなどで全員が閲覧できるようにしておくことが重要です。「あ、例の資料忘れた ! 取りに行ってくるよ …… 」これだけで、5~10 分は軽くロスします。そもそも資料を紙ベースで扱っているから忘れるわけで、そうならないためにも、ファシリテーターが電子的に持っていればいいのです。


「始める前に、ちょっとジュース買ってくるわ !」にも要注意です。1 人が行くと、「俺も、私も … 」となって、5~10 分のロスにつながります。会議の連絡時に「飲み物持参」と告げておくか、後から会費を徴収する形式で、コーヒーショップのポットサービスでも頼んでおけばよいでしょう。また、事前連絡なしに遅刻した場合には、遅れた人が参加者全員のジュース代をおごる、なんてのも私がよく使う手です。


いろいろ書きましたが、最も重要なことは、「参加者全員の時間が、いかに貴重であるか」ということを理解することです。会議の時間にかかるコストというのは、参加者全員の時間単価 +会議室代 +アルファ …… ですから、お金に換算すると、百万円以上になる場合もあります。外資系企業において、会議時間のファシリテートが重視されるのは、その根本に、コスト管理の厳格さがあるからです。早速みなさんの会社でも、明日の会議から、「当会議のコストは 54 万円です」などと報告してみてはいかがですか ? きっと参加者の顔色がかわってくるはずです。


是非、お試しあれ !

 

( 次回続く )

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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