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タカシの外資系物語

転職を考える ( その 1 )2003.06.13

「拝啓 益々ご清祥のこととお喜び申し上げます。


さて、この度は弊社にご応募いただきありがとうございました。


お送りいただいた書類は慎重に検討させていただきましたが、残念ながら、現時点では弊社として、貴方に相応しいポジションをご用意するのは難しいという結論になりました。( 中略 )


貴方の今後一層のご活躍をお祈り申し上げます。    敬具」


( ありゃりゃ、やっぱりダメか …… )


実は私、ネット経由で、ある会社の採用に応募していました。そして本日、冒頭のような返事が来たというわけです。


( ま、しょうがないわな …… )


わりとサバサバしているでしょ ? それはその通りで、自分で応募していながら言うのも何なのですが、最初から合格するとは思っていなかったりします。ではどうして、私はこの会社に応募したのでしょうか ?


外資系企業に勤めるようになって、以前と明らかに変わったことは「常に転職のことを考えるようになった」ということでしょう。確かに、今勤めている企業が、この半年ぐらいの間に倒産するとは思えませんし、私自身も突然クビを切られることはないと思います。でも、常に「準備」をすることが重要なのです。その理由は、転職が決まったからと言って、そんなにすぐに辞めることができないというところから来ています。少し順を追って説明しましょう。


例えば、いま勤めている企業が何となくおかしくなってきて「もしかしたら危ないかも ……転職したほうがいいかも ……」みたいな雰囲気が流れてきたとします。この時点になってはじめて「さーて、転職活動でも始めるかな ……」と重い腰を上げたとしましょう。その場合、実際に転職先に移るまでに、下手をすると約 1 年ぐらいかかってしまう可能性があるのです。転職のターゲット先を決めるのに 3 ヶ月、先方との面接を実施して、採用通知をもらうまでに 3 ヶ月。「あれ、半年じゃないの ?」と思われるかもしれません。それは甘い ! というのは、先方から採用通知をもらうまでは、現在勤めている会社に対して、退職することを話すことができないからです。


つまり、採用通知をもらったからと言って、すぐに辞められるわけではないのです。入社して 1~2 年目の若手ならいざ知らず、それなりの地位と役割を持った人ならなおさらでしょう。私も多くの転職者を見てきましたが、採用が決まってから実際に辞めるまでに、だいたい 4~5 ヶ月ぐらいはかかっています。「危ない …… 」と思ってから 1 年もたったのでは、本当になくなっている可能性もあります。そうなると、たとえ転職先に移れたとしても、「倒産先から救ってやった」みたいな感じになって、自分のペースで交渉が進めにくくなったりします。( ちなみに、私が前職の銀行から今の会社に転職するまでの期間は 3 ヶ月でした。これは超スピード転職の部類だと思うのですが、私の場合は、前職の銀行が急に破綻 ( 倒産 ) するという異例のケースなので、あまり参考にならないと思います )。


さて話を戻しましょう。以上のことから、私は常に転職のことを念頭に置いて、仕事をしています。冒頭の応募もその一環です。この応募の目的は、現時点における自分のマーケット価値がどのくらいなのか知るための目安という意味で有意義なのです。この会社 ( A 社 ) は業界でもトップ企業でして、特に中途採用のハードルは非常に高いと言われています。この通知結果からすると、私の実力は、A 社の中途採用の対象となるには、まだまだ不足しているということがわかります。ま、あまりうれしい話ではないですが、こういうのは客観的にとらえることが重要なので。でもちょっと、トホホな感じですが ……


その代わりといっては何ですが、同業 B 社からは是非会いたいという返事をもらいました。実は私、前回の転職の際にも B 社を受けています。そのときの返事は、なんと冒頭にあげた A 社と同じように、「貴方に見合うポストがない」というものでした。で、今回は「会いたい」とのこと。この 5 年の間に、私の実力は B 社のおめがねにかなうレベルには向上したということです。ま、これは素直に喜んでいいかと思います。


本来なら、こういうのはヘッドハンティングや人材紹介の会社に任せておけばいいという意見もあります。確かに彼らの人脈やネットワークにはかなわないし、その方が手続きも早いでしょう。でも、今の私は、今すぐに転職したいと切迫しているわけではありません。いわば「自分のためのリサーチ」をしているわけで、そういうのに「プロ」の方々を巻き込むのは気がひけます。それに、自分でやった方が面白いし、企業からありのままの評価を受けることができます。


一方で、切迫していない状態でも、ヘッドハンティング会社の人とうまく付き合って、情報を引き出すことは可能です。これについては、次回のコラムで話します。


いずれにしても、常に転職を意識して行動するのは今や外資系企業に限ったことではないでしょう。日系ならではの手厚い福利厚生もなくなり、退職金も給料に上乗せして前払いすることが普通になった現状においては、日系企業だからといって会社にしがみついていても、あまりメリットはありません。煽るつもりはないですが、みなさんも「シミュレーション・レベル」での転職を考えてみてはいかがでしょうか。たまには、客観的な自己評価を受けることも重要ですよ !

 

( 次回続く )

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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