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タカシの外資系物語

パワー・ハラスメントの功罪2003.06.06

最近、企業のメンタルヘルス相談窓口に「パワー・ハラスメント」の被害届け出が急増しているようです。「パワー・ハラスメント」( 略して「パワハラ」 ) というのは、上司が部下に言葉や態度による暴力をふるったり、できもしない要求で精神的に苦痛を与えることを指します。


パワハラの厄介なところは、業務上の命令や指導育成という名目の理由に紛れて、なかなか表面化しにくいことです。例えば、あるノルマが達成できなかった部下に対して、上司が「おまえはダメなヤツだな !」と言ったとします。これによって部下が精神的苦痛を感じた場合、上司の行為は立派な「パワハラ」といえます。


「おいおい、ちょっと待った !」思わず、こう言いたくなり人もいると思います。上司にののしられたら、「なにくそ !」と反発して、いい成績をとるよう頑張ればいいのではないか、と。ここがパワハラとセクハラとの違い、非常に難しい部分なのです。セクハラの場合は、「する方が悪い !」と一方的に片付けられるのですが、パワハラはそうはいきません。「悪気はなかった」「激励のつもりだったのに」というケースがほとんどではないかと思います。ですから、パワハラを立証することは難しく、判例もほとんどない状況です。


では、外資系企業のおけるパワハラの状況はどうでしょうか。それは一言で言うと「パワハラ天国」、つまりセクハラには必要以上に気を遣いますが、パワハラなんてあって当たり前の世界なのです。


私 「Jim、例の報告書だけど、今日中にできそうにないよ … 」


Jim 「You, butterhead!」


私 「Jim、今日のプレゼン、うまくいかなかった … 」


Jim 「Oh! Dull boy!」


ここで Jim が使っている言葉はすべて「バカ !」です。最初は何を言っているかわからなかったのですが、何度も言われているうちに聞き取れるようになりました。かなりきつい調子でののしられているようです ( 辞書に書いてありました。辞書で知るところがしぶい ! )。これは余談ですが、みなさんは「Ball」に「バカ」という意味があるのを知っていましたか ? 私は Jim に「Hey, Ball!」と呼ばれたことがあります。「タマちゃん」みたいで、ちょっとかわいかったりしますが、かなりバカにされているようです。


何を言っているかわからないときは、何を言われても気になりませんでした ( 当たり前 )。でも言葉の意味がわかるようになってからというもの、精神的な苦痛を感じるようになったのは確かです。では私は上司の Jim を「パワハラ」で訴えるでしょうか。答えは No です。


そもそも外資系企業で出世する理由は「パワーがある」からなのです。業績を上げたとか、頭が抜群に切れるとか、他人よりも優れている面があるから出世しているのです。そういう人の下で働く以上、上からパワーの圧力が来るのは仕方ありません。そんなことをいちいち気にしていたのでは、外資系企業ではやっていけません。


日本で「パワハラ」が問題になるのは、パワーを押し付ける上司に、本当の意味でのパワーがないことが原因ではないかと思います。本当の実力者に叱責されたのなら、みんな納得します。「パワハラ」とか言って問題視しているのは、要は納得できないからでしょう。「どうしてあんなに実力のない上司に怒られなきゃならないんだ。単に歳くってるだけじゃないか !」こういう思いが強いのでしょう。


これは学校での「いじめ問題」に似ています。個人的な意見を言うと、いじめ問題はいじめる方もいじめられる方も悪いと思っています。また、少しぐらいいじめられる経験をした方が、他人の痛みがわかっていいのではないかと思っています。ただし、それが原因で自殺してしまうようなケースもあるので、注意する必要はありますが。


いじめをなくすには、当事者以外の周りの人間が行動する必要があります。当事者同士ではなかなか解決できません。例えば、みんなで職場のパワハラ度をチェックする制度を作るとか、定期的に自己反省する会を催すとか …… そうそう、パワハラする上司というのは、自己反省しない人が多いようです。みなさんは大丈夫ですか ?


Jim 「Ummmmmmmm」


私 「どうしたの ?」


Jim 「前期の営業成績を振り返って …… 少し反省してるんだよ …… 」


( おお ! Jim も反省することがあるんだ ! )


私 「マーケット自体が shrinking ( 縮小 ) してるからね。今期のも見直した方がいいかも……」


Jim 「( ギロリ ! ) な、ぬぁんだとぉ ……」


私 ( や、やば…… )「いや、目標下げてもいいかもねって、さ、アハハ」


Jim 「BA-KA ! SHIGOTO-SHIRO !」


…… なんと、日本語で言われてしまいましたよ。なんか情けないような、ちょっとうれしいような …… ま、いずれにせよ、上司にちょっと言われたぐらいで、あまり考えすぎないことですよ、ハイ !

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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