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タカシの外資系物語

ボーナス・ショック !2003.03.21

「タカシさん、今週あたりボーナス出そうですよ ! 楽しみですね」


そう言えば、ボーナスのことをすっかり忘れていました。と言っても、必要ないから忘れていたわけではなく、わが社のボーナスは 2 月下旬なんていう中途半端な時期に支給されるため、ついつい忘れがちになってしまうのです。


元々は、わが社も多くの日系企業と同じように 6・12 月に支給されていました。それがいつの間にか、米国本社の決算に合わせるとの理由から、2・8 月なんていうわけのわからない時期に移行していきました。実は、移行期にはかなり混乱したのです。移行する年は、まず旧タイミングの 6 月に出して、来年の新タイミング 2 月まで何もないわけですから、「果たしてわれわれは正月が越せるのか !」とマジに悩んだりしました。会社の方もそれなりに配慮をしてくれて、6・12 月のボーナスに合わせてローンを組んでいる社員のために、一時的にお金を貸してくれたりもしました。あれから早や 5 年。2・8 月のボーナスも、わが社にすっかり定着してきたようです。


「だいたい支給日前日の夜遅くに、『明日支給しまーす !』って言われても困りますよね」


わが社のボーナスの面白いところは、支給日の前日にならないと、いつ支給されるかわからないところです。それも夜 12 時とか、普通の社員は働いていないような時間帯に、メールで連絡がきます。今年も連絡は、支給日前日の夜 11 時 43 分でした。( ま、別に前日に教えてもらわないと何か困るというわけではないのですがね )


FY XX Mid Year Bonus will be paid in the following manner.


( XX 会計期間の中間期賞与につき下記要領にて支給いたしますので御連絡いたします ) ※FYというのは、Fiscal Year ( 会計期間 ) の略です。


ボーナス支給を連絡するメールには、いろいろと言い訳がましいことが書いてあります。要するに、「ボーナスが低くても心配するな。みんな低い ! 文句があったら不景気な世の中に言え ! 」みたいな話です。


「ま、期待しないで明日を待つかな ……」


さて翌日。


「どれどれ、いくらかなーーーっと…… XX 万円っと……!! ……??!……


ガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン !」


私はしばらくの間、開いた口がふさがりませんでした。き、きびしすぎる……見渡すと、私の周りでも同じような光景が見られました。


ガガーーーーーーーン ! ガゴーーーーーーーーーン ! ドヒャーーーーーーーーーン !


「い、いかん、このままでは暴動が起こる……」


危険を察知した私、これでも一応マネージャーという管理職の立場でもありますから、自分のことは後回しにして、ひとまずはスタッフのケアに専念することにしました。


私 「ボーナス、どうだった ? ちょっと少なかったよな ……」


シンジ 「タカシさん、こ、これは …… キビシーーー (T-T)」


私 「いやまぁ、こういうときもあるから。出るだけでもマシだと思わなきゃ、ね」


と、背後に殺気が !


「タァーカァーシー さぁーーん ……」


「わっっ !」


文句を言ってきたのはタケオでした。確かに彼のボーナス査定は、最高水準の「A」でした。(第 141 回参照) 彼は前々回の評価が「C」だったため、今期は発奮して頑張ったのです。でもボーナスの金額は前回とほとんど変わらなかったようです。


「評価は上がったのに、金額は変わらない ……」つまりこういうことなのです。今回のボーナスは、そもそものファンド ( 原資 ) が非常に少なかったために、評価毎ほとんど差が出ず、また絶対額も少なかったのです。


これは冷静に考えれば、それほど驚くことではありません。わが社の業績は、ここ数年の間、それなりに右肩上がりで推移していました。しかし、「9.11NY テロ」以来、NY 本社の業績が落ち込んでしまい、いまだ立ち直れずにいるのが現状です。日本支社をはじめ、アジア・アフリカなどの業績はボチボチだったのですが、その分はすべて北米を助けてやる形で、吸い取られてしまいました。これはわが社だけではなく、グローバル企業全体に当てはまる現象なのです。


「どうして NY の分を、ぼくらが穴埋めしなきゃならないんですかねぇ …… なんか、納得いかないなぁ !」


確かに納得はいきません。でもわれわれは外資系企業に勤めているのです。本社は NY にあって、そこの名前を使ってビジネスをしている以上、NY 本社とは一心同体にならざるをえないのです。業績が悪ければ怒られる、良ければ吸い取られる、これがグローバル企業の宿命だとも言えるのです。


確かに、ぜいたくを言ってはキリがありません。このご時世、ボーナスが出るだけでもマシだと思わないと …… そ、それにしても、やっぱりこの金額じゃ、泣けるなぁ …… トホホ ……

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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