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タカシの外資系物語

COOL HEAD!!2003.03.07

最近いろいろな本やメディアで「外資系で成功する方法」なんてのが紹介されています。私も外資系への転職組としてこの手の記事は気になってついつい手にとって読んでしまいます。


・Yes - No をはっきりする 
・スペシャリスト志向を持つ 
・とことん収益にこだわる、など


まぁ、そりゃそうですよね。でもこれって外資系のみのことを言っているのでしょうか。実はビジネスマンとしては当たり前のことのように思えます。外資系ならではの評価される身のこなし方って何なのでしょうか ?


私 「ユウイチくんさぁ、どうしてお願いした仕事の期限が守れないの ?」


ユウイチ 「お客さんとのミーティング時間が取れないのと、私にまとめるスキルがないために遅れているんですよ。まぁ、あさっての締切はちょっとキツイですね。来週の火曜ぐらいかな ……」


私 「あのさぁ …… それならそれで残業してがんばるとか、なんかないの ?」


ユウイチ 「もう一度お客さんに電話してみます。状況はすぐ連絡しますよ


私 「…… トホホ、頼むぜ、おい ……」


私 「ユウジくんさぁ、どうしてお願いした仕事の期限が守れないの ?」


ユウジ 「す、すみません。今日と明日は徹夜してでも頑張ります。あさっての締切日の朝までには死んでもやりますから、安心してください !」


私 「よーし、がんばれよ !」


さて外資系において、より評価されるのはどちらでしょうか ? これは間違いなく「ユウイチくん」の方です。ユウイチくんが評価されるポイントは、「うまくいかない原因が明確である」「その原因が解決できなかった場合も、締切までに余裕を持たせている = ダメだった場合もなんとかなる」ということです。


「ユウジくん」の対応は、その場にいるとその熱血漢ぶりから、何となく評価したくなります。しかし、ユウジくんの場合は、締切日の朝に出来ていなかった場合、もうどうにもなりません。


従来、伝統的な日本企業では、ユウジくんのような人材が評価され、出世してきました。これは私見ですが、敗戦後、資源のない日本には、「人力」しか残りませんでした。人力というのは、結果的には各個人ががんばらねば何も生み出さないのですが、当初必要なのは「気合い」です。気合いで大勢の人を引っ張れる人材、周りのみんなに「あいつ、よくがんばってるなぁ。よーし、おれもやるぞー !」という意識を与える人材が評価されてきたのです。


一方、知識や資源が豊富だった欧米で一番重要なことは、「豊富な知識や資源をどのように配分していくのか ?」ということ。これは気合いやその場の勢いというよりも、「冷静沈着な判断」以外の何物でもありません。


外資系企業では、ユウイチくんのような人のことを "Cool Head" と呼び、非常に評価します。("Cool Guy" というのは「カッコいい人」という意味で、どちらかというと「ハンサムなお兄さん」という感じです。「ハンサムなお兄さん」が仕事で評価されるかどうかはわかりません ……)


Cool Head は日本企業においては、「マイペースで何を考えているかわからない人」という評価になって、変わり者扱いされる傾向があるように思います。現在、私のチームにもこのようなスタッフがいます。彼は、日中どこにいるのかわからず、遅くまで残業するタイプでもありません。また、こちらが指示した以上のことは一切やりません。


しかし、彼のいいところは、例えば締切が守れそうになかった場合には、理由を客観的に述べた上で、「できそうにありません」と正直に言うところ。そして、こちらが熱くなって議論をふっかけても、その挑発にのらず、あくまでも冷静に対応するところです。管理する側からしてみれば、毎日毎日残業して「私は倒れそうなぐらいがんばっていますよ !」とアピールする人よりも、倒れそうなぐらいがんばらなければならない理由 = うまくいっていない理由を教えてくれる人の方がはるかに価値があるのは言うまでもありません。


ユウジ 「タカシさん、今度のプロジェクトはクライアントのレベルも高くて、強敵ですよね。これは土日も出る覚悟でやらないといけませんね。協力しますから、いつでも言ってくださいよ !」


タカシ 「そうだね …… ユウイチはどう思う ?」


ユウイチ 「土日はいやだなぁ ……」


タカシ 「どうすれば土日出なくても済むかな ? ちょっと、ゆっくり聞かせてくれない ? 」


ユウイチ 「いいですよ。でも今日は定時に帰りますからね」


He's COOL HEAD!


あ、そうそう、いつも COOL なユウイチも、土日はアマチュアのロックバンドでドラムを叩いているそうです。仕事 = COOL、プライベート = HOT これが外資系で成功するキーワードなのかもしれませんね。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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