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タカシの外資系物語

ボーナスの査定2003.02.28

私が勤める会社では、2 月と 8 月の年 2 回、「期末評価カウンセリング」というのが実施されます。このカウンセリングでは各自の評価を告げるとともに、改善すべき点を評価者と話し合います。とは言うものの、社員にとって気になるのはボーナスの支給額に直結する評価以外の何物でもありません。


私の会社のボーナスは、2 月と 8 月に支払われます。1 月から 6 月までの評価が 8 月のボーナスに、7 月から 12 月までが 2 月に反映されます。以前にも書いた (111 回 &112 回参照 ) 通り、外資系企業の評価というのは点数で定量的に管理されます。社内の職階 ( マネージャーなど ) は大きく 5 つに分かれており、それぞれを「ピア・グループ (peer group)」と呼んでいます。ボーナスの査定というのは 5 つのピア・グループに所属するスタッフを、点数順に上から並べる作業を指します。


評価は A、B、C、D の 4 段階で、それぞれの割合は、A=5%、B=20%、C=50%、D=25% となっています。ご覧の通り、C 評価が平均点でして、 A、B ならそれより多く、D なら少ない金額のボーナスということになります。


では、どのくらいの金額が割り増される ( 割り引かれる ) のでしょうか。実はそれは明らかにされていません。業績次第で、大きな差が出る場合もあれば、そうでないときもあるようです。私も同じピア・グループの同僚とボーナスの明細を見せ合ったことがないので何ともいえないのですが、だいたい A 評価で C の 1.3 倍、B 評価で 1.1 倍、D 評価で 0.8 ~ 0.9 倍といったところでしょうか。「なーーんだ、思ったほど差が出ないんだ ……」と思われる方も多いかもしれません。確かに、最近では日系企業でも能力主義の給与体系に移行していますから、今となってはドラスティックな仕組みではないのかもしれません。しかし、この仕組みの裏には実はあまり知られていない、外資系ならではの恐るべき「裏査定」が存在しているのです。

 

(1) 幻の査定「L」

会社としてオフィシャルにしてはないないのですが、実は A の上の「L」という査定が存在します。これは、各ピア・グループ ( 総勢 400 名ぐらい ) に 5 名ぐらいの割合で出現する「幻の査定」でして、会社の業績が良くなかった期には該当者がないこともあります。「L」査定のボーナスは社長権限で青天井にすることが可能でして、数年前には 1 回のボーナスで数百万 ( 一千万に近い ) という人がいたそうです。実は、査定「L」の存在は明らかではありません。社員のモチベーションを維持するために、会社が意図的に噂を流しているという説もあるぐらいです。かく言う私も知らないのですよね、「L」評価ってもらったことがないので。

(2) 恐怖の査定「E」

D 査定の下に「E」というのが存在します。これは幻でも何でもなく、実際に存在しますし、社員全員が知っています。「E」査定がなぜ「恐怖」なのかというと、評価が「E」になるということは、すなわち「クビ」になることと等しいからです。


「E」査定というのはいきなり取れる代物ではなく、「積み重ね」の結果なのです(変な言い方なのですが)。これも噂ですが、「D」評価を 4 期連続 ( 2 年間 ) 取り続けると、その 4 期目が「E」になると言われています。


「E」評価になると、冒頭に述べた「期末評価カウンセリング」は実施してもらえません。この状態を「カウンセリング・アウト」 ( つまり「カウンセリングに値しない」状況 ) と呼びます。この状況になった人については、人事部に専門部隊が対象者に「宣告」することになります。


実際のところ、カウンセリング・アウトになる人というのは、本人もそれなりに気付いていますから、早い段階から転職活動をしていたりします。そんなことをしているから、ろくな評価がもらえないんだという気もするのですが、そのせいか、思った以上に対象者との間でトラブルが起こることはないようです。


実は、私は個人的にもこの仕組みが気に入っています。人には向き・不向きがあるわけで、私が勤めている会社でうまくいかなかったからと言って、その人はまったくダメなやつだとか、その人の人間性まで否定しているわけではありません。逆に言えば、私の会社でいい評価をもらっている人だって、それはたまたま運が良かっただけのことかもしれないのです。実績があがらないということは、その仕事はその人に向いていない可能性が高いわけですから、できるだけ早い段階で「あなたはこの仕事に向いていませんよ」を言ってあげた方がいいのです。評価をはっきりしないで、長々と塩漬け状態にしたのでは、かえってその人の人生をムダにしてしますような気がするのです。


2 年前にカウンセリング・アウトになった A 氏とは、今でもメールを中心に連絡を取り合っています。彼はその後、一念発起して、IT 系のベンチャーを興し、いまや従業員 30 名を抱える企業の若社長さんです。何年もの間、「C」評価しかつかずに平均をウロウロしているぐらいなら、A 氏のように、はっきり「君はダメだ !」と言われた方がましなのかもしれません。


さてさて、私の評価は …… 何とか「B」をいただけたようです。もう少し、この会社で頑張ることができるようです。来期こそ、幻の「L」査定目指して頑張っていきましょう !

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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