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タカシの外資系物語

「営業」と「本部」どっちが偉い ?2002.11.22

みなさんは、会社のどの部門で仕事をしていますか ? 製造業では主に、実際にモノを作っている製造部門とそれを販売する販売部門、あとは本部企画部門に分かれます。私の前職である銀行などでは、モノを作る代わりに事務処理をする部門があり、大きく分けると営業・事務・本部に分かれていたと思います。


今回のコラムでは、これらのうちの「営業」と「本部」を取り上げてみましょう。というのも、この 2 つのカテゴリーに関する位置付けが、日系と外資系でかなり違うような気がするからです。


私は日系企業に勤めたこともありますし、外資系企業に転職してからも、多くの日系企業のお客さんとお付き合いしています。それらの経験を通じて感じるのは、次のようなことです。


( 日系企業の場合 ) 
1. 会社の中で一番偉そうにしているのは、営業部門 
2. 一方で、会社の中で一番権限のあるのは、本部部門 
3. 本部の人は偏差値の高い大学の出身者が多く、最終的には営業の人より出世する


私が銀行にいた頃は、「融資 ( =営業部門 ) が 『花』」と言われていまして、「営業にあらずんば人にあらず」みたいな考え方がまかり通っていました。私はシステム部や財務企画部などの本部ばかりを経験し、いわゆる営業部門に一度も所属したことがありません。ですから、よく営業にいる同期からも、


「タカシは甘いな、現場をちっともわかっていない ……」


と言われていたものです。ま、実際にお客様にお辞儀をしたこともなかったのは事実でして、現場の実態など想像するしかなかったのですが。


本部が現場を知らない一方で、なぜか権限だけは高かったように思います。会社の組織を作っているのは人事部や企画部でしたから、非常に多くの権限がそこに集まっていました。私は財務企画部の時代に留学生選抜試験に通りましたが、これとて「企画部の威光」が大きく影響したことは否定できません。


権限があることだけが理由だとは思いませんが、人事や企画を経験した人は出世します。最近はシステム部門を経験しているかどうかも、キャリアパスの上で大きな要因になってきているようです。


以上のことを簡単にまとめると、「営業」は偉そうに振舞えるが権限が低く、出世も限定的、「本部」は営業から偉そうに言われているが、実質的な権限を持っており、出世しやすい、ということになります。


私はこのような営業と本部の関係が、日系企業における微妙なバランスを保っているように思います。日本人は「みんな平等な関係」が大好きですが、一方で仕事にはいろいろな質があります。日系企業ではいろんな仕事の種類ごとに、「いい面・悪い面」を持たせて、結局のところどれも大差がないように仕上がっているのです。


さて、外資系企業における「営業」と「本部」の関係はどのようなものでしょうか。私が勤める会社で言えば、本部=NY 本社、営業=各国オフィスとなります。その関係の特徴は、「本部が絶対的に強い ! 」ということになります。


外資系では本部が絶対です。彼らは大きな権限を持ち、会社全体を掌握しています。もちろん、出世もめちゃめちゃ早いのです。そうそう、出世で思い出しましたが、どうして本部社員の出世スピードはあんなに「超高速」なのでしょうか。 24、5 で MBA を取ったとして、その 10 年後には役員になっています。入社後 10 年間で役員になるためには、 30 前には会社に大きなインパクトを与える仕事をしていなければ、経営層に目をかけてもらうことなどできないでしょう。しかし、これははっきり言って日本の場合は不可能です。日本の場合、日系であろうが外資系であろうが、 30 前の社員にそんな大きな仕事は与えません。なので企業の構造として、5 年後に役員なんて無理なのです。


話を元に戻しましょう。つまり多くの外資系企業では、本部の権限が絶対で、営業はそれに従っているにすぎません。確かに、私は日本支社で営業をしており、日本ではそれなりに権限を持っていますし、偉そうにもしています。しかしそれとて、本部の手のひらの上で動いているにすぎません。彼らが「右向け右 !」と言えば、それに従わざるをえません。従わなければクビですし、イヤなら辞めろということになります。彼らは日本のマーケットがわからないので、ほとんど口出しをすることはありませんが、それは日本支社の力が強いというよりは、「わからないから言わない」だけなのです。その証拠に、日本以外のアジア英語圏では、NY 本社本部の意向が絶対です。


以上述べたことは、日系企業からの転職組には、実は大きな違和感として感じられることなのです。このロジックのわからない人は、よく次のように言います。


「外資系に転職して自由なはずなのに、なんか拘束されているような気がするんだよな ……」


それは単なる気のせいではなく、確かに拘束されているのです。そして、それを無理に打破しようとする人は、実は外資系には向きません。「外資系」とは外国に資本がある企業です。ですから会社を所有しているのは、基本的に外国人なのです。各国のオペレーションは、彼ら「本部」の方針を、その国の事情に応じてうまく「営業」してやるにすぎません。その限りにおいては自由ですが、好き勝手やっていいわけはありません。


今回の話は、外資系企業に夢を持っている方には、いささか重い話かもしれません。しかし事実です。外資系では、「本部」がすべて。あ、外資系で自由に振舞えるいい方法を思いつきました。それはあなた自身が「本部」の一員になること。私を含め、外資系を理解した日本人が狙っているのは、実はそれに他ならないのです。さーて、この狭き門、一体何人の日本人が行き着くことができるのでしょうかね。みなさん、頑張っていきましょう !

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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