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タカシの外資系物語

就職人気企業としての外資系2002.03.22

毎年、就職活動の季節になると「就職人気ランキング」なるものが発表されます。ちなみに、2002 年の就職人気企業ベスト 3 は、「1 位 ソニー」「2 位 本田技研」「3 位 トヨタ」でした( リクルート調べ )。傾向としては、IT バブルがはじけ、いわゆる「製造業への回帰」が顕著に現れています。


では、私が就職活動をしていた 1992 年、および 1972 年はどのようなランキングだったでしょうか ( ともにリクルート調べ )。


1992 年 「1 位 NTT」「2 位 東京海上」「3 位 ANA」


1972 年 「1 位 日本航空」「2 位 伊藤忠商事」「3 位 ANA・東京海上」


ベスト 3 からは見えませんが、92 年・72 年とも、4 位以降に並んでいるのは銀行、商社、大手製造業で、実は 20 年もの間、ほとんどその構造は変化していませんでした。


しかし、2002 年になると製造業復活とともにある傾向が見えてきます。それは、「外資系企業のランクイン」です。


リクルートのランキングを見ても、「22 位 アクセンチュア」「23 位 P&G」「52 位 ルイ・ヴィトン」などの外資系企業が並んでいます。実は、何を隠そう私が所属する外資系企業もランキング 200 位の中に登場します。まぁ、今年も数千人もの応募があったそうですから、ランクインして当然かもしれません。


学生さんに人気が出てきて、何か個人的にメリットがあるかというと、「特になし。どうでもいい」というのが正直なところです。むしろ新人研修で色々手伝いをさせられることを考えると、デメリットの方が多いかもしれません。


ここで誤解されては困るのですが、私は元来、若手を教育・指導するのが好きな方なんですよ、これでも。ただ、今の会社では、それをやったからといって直接的に評価されるわけではありません。私と同じぐらいのスキルを持った“超人的”な新人がいれば仕事を手伝ってもらいたいのですが、そんなことはまずあり得ないので、できれば「関わりたくない」というのが本心なのです。つまり、「新人をケアしてもあまり評価されない」→「評価されないと会社で生き残れない」という連鎖がある以上、体が合理的に動くのは仕方ないことなのです。


さて、それでも例年、就職面接には担ぎ出されてしまいます。本心を言えば、希望者は全員入れてダメな人から順番にクビにする、という制度でいきたいのですがそうもいきません。「働く前から、その人の適性なんてわからん」というのが私の意見なので、就職の面接もかなり適当です。


( 私 )「で、どうしてウチに入りたいの ?」


( 学生さん )「自由な雰囲気と、将来性に惹かれました」


( 私 )「そりゃま、自由だわな、日系企業よりは。将来性は何とも言えないけどね。で、ご両親はなんて言ってます ?」


( 学生さん )「は ?」


( 私 )「だから、『ご両親の意見は ?』って。ウチの会社なんてご存知ないでしょう ? ウチなんかじゃなくて、日本中のみんなが知っている“有名企業”に入って欲しいと思ってらっしゃるんじゃないのかな ? ソニーとかトヨタとか …。」


( 学生さん )「……」


( 私 )「ウチの将来性を、ご両親にどうやって説明するのかな ?」


( 学生さん )「……」


私の場合、この時点でこの学生さんは「アウト」です。自分の身内に対して自分が志望している会社を売り込めないようでは、外資系企業で生き抜いていくことなどできません。


実際に、ウチの会社に入社してくる新人さんの中でも、「親は私が何をしているのか知りません」という人が結構多いと聞きます。親御さんにしてみれば、「それなりの大学を出ているのだから、もっと“マシ”なところはなかったのかね …。」というのが本心ではないでしょうか ? しかし、しかしですよ、お父さん。あなたが就職活動をしていた頃の人気企業が今はどうなっていますか ? 商社、銀行、航空 …… どれを取ってみても、決して発展しているとは言えないのではないでしょうかね。自分が叶えられなかったからといって、子供さんにその敵討ちを期待してはいけません。


そして学生諸君、就職活動はあなた方が初めて自分の人生を真剣に考える機会です。この機会に、親御さんと真剣に話し合い、自分のやりたいことを整理し、「人に伝える」訓練をしてください。そして、どうか後悔しない就職活動を送ってくださいね !


( 注 : 仮に「後悔する」ことになっても、いくらでもやり直しできますから ! )

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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