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タカシの外資系物語

間接部門のアウトソーシング2001.11.02

一般に企業における人事や経理などの部門は、「間接部門」と呼ばれます。これらの部門は、生産や営業などの直接部門と比べると、商品や顧客と接する機会がなく、収益への貢献度も見えにくい分野です。


例えば給与計算や経費支払などの業務は、基本的にはだれがやっても結果は同じになるはずです。それならば、いっそのこと外部の戦力に業務を委託してしまおう、というのが「アウトソーシング」の考え方です。


一方で、業務に携わっている側からすると、以上のような議論には若干の違和感を覚えるかもしれません。確かに給与の計算自体は、数式さえ与えられれば、だれがやっても同じでしょう。しかし、どんな業務でもこれまで自社で長年蓄積してきた知識やスキルが存在します。また例外的な処理が発生したとき、外部委託先で柔軟な対応をしてくれるかどうかも問題になります。


もともと日本企業は欧米企業に比べ、業務の標準化が進んでおらず、多くの例外処理を抱えています。しかし欧米企業とて、はじめから例外処理がなかったわけではありません。今日の標準化を達成するためには、それこそ血のにじむような改革のステップを踏んできたことを忘れてはならないでしょう。


さて、外資系企業であるわが社でも「間接部門のアウトソーシング」は積極的におこなっています。まず、人事・経理・総務などの大部分は、外部の専門業者に委託しています。給与に関するデータは、各社員が自分の PC に入力したタイムシートデータをメールで外部業者に送ります。外部業者では、受け取ったデータを処理し、給与計算を行います。その他、出張旅費の精算や毎年おこなわれる健康診断の段取りまで、すべて外部業者に委託しています。


わが社は以上のような業務を外部に委託する反面、ある業務については「受託」しているものがあります。それは IT 関連の運用業務です。最近はほとんどの企業がホームページを持っており、これらの Web システムの運用は 24 時間の監視が必要になってきます。通常の企業では、Web の運用のためだけに社員を 24 時間勤務に就かせることはせずに、わが社のような専門業者に委託しています。また、トラブル時の対処などを考慮すると、専門的な知識を有する業者に任せてしまう方がかえって安上がりになる面もあるのでしょう。


個々の会社が、独自に同じような業務をやっていく時代は、すでに過ぎ去っています。外資系企業の考え方は、自己の強みを活かし、もっぱらその分野に資源を投入することにあります。その結果、コアな分野以外の「間接部門」は積極的にアウトソースしているのです。


最近、私の上司である Jim は、次のようなジョークを飛ばして部下を引きつらせています。


「Who is being "NEXT" outsourced...」( 次はだれがアウトソースされるのかなぁ …。)


ははは … ( 乾いた笑い … )。とほほ、今日も胃が痛い …。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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