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タカシの外資系物語

傘も差さずに… ( ロンドン紀行-その 2 )2001.01.05

ロンドンの 11 月は、非常にもの寂しい季節です。日増しに目に見えて日照時間が短くなり、午後 4 時ごろには、すでに街は薄暗くなっています。12 月になればクリスマス・シーズンということで、街もそれなりに活気を取り戻してくるのでしょうが ……。みんなには、「タカシ、お前ホントに最悪の時期に来たな」といわれました。私もそう思います。


さて、このシーズン、ロンドンでは雨が多いのも特徴です。そもそもロンドンは「スカーッと晴れた青空」なんていう日はほとんどないのですが、毎日どんより曇っているか、雨、雨、雨 ……。


雨が多いロンドンでは傘は常備品かと思いきや、そうでもありません。「オレは傘を持ち歩かない主義なんだ」という人が結構います。雨の日に歩いていても、傘を差していない人をかなりの割合で見かけます。では、彼らはびしょ濡れで歩いているのかと、そうでもありません。1 つには、ロンドンという街が非常に狭く、少し歩けばすぐに地下鉄の駅に行けるということがあります。また、ロンドンの町そのものが、雨が降ることを前提に構成されていて、店の軒下が長いのです。だから、普通に歩道を歩いていれば、雨が降っていても、それほど濡れずにすむというわけです。


クライアント先での重要なプレゼンテーションがあった日のこと。私は資料を人数分用意し、質問が出たときのために、それ以外の資料もたくさん抱え込んでオフィスを出ました。一緒に行く Simon は、プレゼンテーション資料とメモ帳しか持っていません。


「タカシ、何をそんなに持っていくんだい ? オレたちは、資料運びをしてるんじゃなくて、クライアントと話をしにいくんだぜ !」


「念のために ( Just to be sure )、だよ。」


地下鉄「St.Paul」の駅からクライアントのオフィスまでは、歩いて 10 分弱。案の定、雨が降っていました。われわれはしばらくの間、ロンドン流に傘も差さずに歩いていました。しかし、急に雨が本降りになってきたのです。


「タカシ、走ろうぜ。このままじゃ風邪ひいちゃう」


「ちょっと待って !」


私が差し出したのは、伝家の宝刀「折りたたみ傘」。


私はいつもカバンの奥に忍ばせているのです。


「タカシ、すごいな。いつも持ち歩いてるのかい ?」


「Just to be sure !」


恐れ入ったか、 Simon 。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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