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【失敗しない企業分析】コーポレートサイト・有価証券報告書のチェックポイント2014.05.07

転職を考える際、会社案内や採用情報だけではその企業の本当の姿は判断しにくいものです。
そこで今回は、それ以外に公開されている企業のコーポレートサイトと有価証券報告書を使った企業分析を考えてみましょう。
キーワードは、「コーポレートサイトで事業を理解し、有価証券報告書で経営状況を理解する」です。

コーポレートサイトで事業を理解する

まず、コーポレートサイトは可能な限りすべて確認しましょう。

コーポレートサイトは今や「企業の顔」なので、各社力を入れているはずです。そこで例えばリンク漏れが多い、何となくわかりにくい、などの場合はその企業内部もわかりにくい環境になっている可能性があります。そしてコーポレートサイトにはほとんどの場合、「製品情報」や「企業案内」のページがあります。「製品情報」にはその企業の製品やサービスが記載されており、「企業案内」には企業理念や経営者のメッセージなどが記載されています。

そして、これらの情報から企業を知る近道は、「製品やサービスは経営理念から生まれている」ということを理解することです。

一般に、経営理念は漠然としています。よって、「経営理念に共感した」と言っても、志望理由としては説得力に欠けたものとなりがちです。

しかし、製品やサービスは、経営理念という目標のために経営方針が策定され、その経営方針に沿った経営戦略が練られ、初めて形になっているものです。

ですから経営理念とその製品やサービスの関係性に理解・共感できれば、必然的にその企業の経営方針や経営戦略にも溶け込めるという証明になります。

このことを念頭に置き、「経営理念から製品やサービスへの流れを見る」という観点で企業を研究してみましょう。そうすることで、自分なりの志望動機が見えてくるはずです。またその過程で例えば経営理念とその製品やサービスにミスマッチを感じる場合は、どこかで無理が生じている、もしくは自分がその企業には合わないということかもしれません。その場合は、慎重な検討が必要です。

なお、企業によっては、トップページやIR情報などのページに、「プレスリリース」や「お知らせ」などといった項目を立て、情報を配信しています。それらの情報は「外部に知らせたい」というポジティブな情報が多くなっています。企業が強調したい内容であることが多いので、「今会社が力を入れていること」を理解するようにしましょう。

有価証券報告書で経営状況を理解する

有価証券報告書で経営状況を理解する

有価証券報告書は、原則として上場企業と大企業に作成と提出が義務付けられている書類です。これはEDINETという金融庁のシステムへの提出が義務付けられていますが、実際はほとんどの企業が自社のコーポレートサイトでも公開しています。逆に言うと、コーポレートサイトに公開していない上場企業や大企業は、外部に対してあまり親切ではないということになります。

また、上場していない中小企業には有価証券報告書の作成義務がありません。本来は決算公告の義務があり、官報などで確認することが可能ですが、実際はなかなか目にすることができません。有価証券報告書が閲覧できるのは、上場企業と大企業のみと考えましょう。

有価証券報告書は企業によっても異なりますが、通常100ページ以上あり、そこにはその企業の事業や近況、現在の株主などがぎっしりと書かれています。よって、時間がある場合はすべてに目を通し、時間がない場合は、少なくとも以下の2点を確認しましょう。

主要な経営指標の推移
有価証券報告書の最初のほうに、「主要な経営指標の推移」というページがあります。
ここで過去5年分の財務状況に関するおおまかなことがわかります。
そして、以下の2点を見ると、その企業の大まかな経営状況が確認できます。

<Point1 経常利益>
経常利益とは、その企業が本業としてのビジネスで得た利益から、支払利息などの企業継続に必要な費用や収益を加減算して出した利益です。いわば、「企業が恒常的に出していける利益」ということになります。経常利益は、企業に融資を行う「金融機関」が最も着目する数値です。

金融機関は、「その企業が今後利息を返済できるか」=「安全性」を最も重視するので、この経常利益がコンスタントに出せている企業は、本業だけではなく、借入など営業活動以外でもしっかりとした計画を立てて経営されていると判断できます。

また、5年分確認できますので、景気によってその企業の経常利益がどう変化しているかを見ると、景気変動に影響されやすいか、されにくいかの判断もできます。

<Point2 キャッシュフロー>
キャッシュフロー(CF)とは、いわばその企業に出入りするお金の流れです。貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)は実際のお金の流れがわかりにくいので、その流れを明確にするために設けられた指標です。こちらはより企業の実態を映しているとして最近重要視されているので、ぜひチェックしましょう。

CFは、以下の点に着目します。
営業CF→「+」であれば、本業としてのビジネスでキャッシュインできている証拠です。
投資CF→「-」であれば、本業としてのビジネスで出したキャッシュを将来に向けた投資に振り向けている証拠です。
財務CF→「-」であれば、本業としてのビジネスで出したキャッシュを借入金の返済や配当に振り向けている証拠です。

このように、営業CFが「+」、投資CFが「-」、財務CFが「―」、かつトータルで「+」が理想です。
しかし、基本的なスタンスとしては、営業CFが「+」であることを確認し、過去5年分を見て、「-」の年度が多く目につけば、本業で稼ぎ出す力が足りないと理解しましょう。

ただし、例えばバイオ企業など、現在はまだ研究開発が主な企業は営業CFが「-」の場合がほとんどです。このような企業は、「将来利益を出す」ことを前提にしているので、ある意味例外と言えます。CFは、特に「投資家」が着目する指標です。投資家は、企業が本業としてのビジネスで利益を出し、適切に投資や株主に利益を還元していることを重視するので、「CFが健全である」=「今後の成長が期待できる(投資に値する)」と判断できるのです。

従業員の状況

こちらも有価証券報告書の最初のほうに、「従業員の状況」というページがあります。ここでは従業員数、平均年齢、平均勤続年数、平均年間給与が記載されています。これらは業種などにより異なりますので、同業種の企業と比較し、例えば平均勤続年数が短い場合は、企業が採用者を増やしている(従業員数が増えている)から短いのか、退職者が多い(従業員数が減っている)から短いのかを確認しましょう。もちろん好ましいのは前者ということになります。

仮に後者の場合、その理由によってはいわゆるブラック企業という可能性も0ではありませんので、慎重な検討が必要です。

まとめ

企業のコーポレートサイトや有価証券報告書は、あくまでも「資料」です。ご自身が「本当に行きたい企業」であれば、ポジティブな面に目を向けて自己アピールにつなげましょう。

ただし、資料はごまかすことができないものなので、本当の企業の姿を映し出しているとも言えます。だからこそ冷静な目で見ることも大切です。今後のご自身の人生を考え、「転職に値する企業かどうか」ということも視野に入れて、これらの資料を分析しましょう。

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