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2014年4月、消費税がいよいよ5%から8%に増税されました。テレビや新聞で大々的に報道され、大規模な増税前セールなどもありましたので、3月までに色々と買い物をされた方も多いと思います。
今回の増税により、今後の日本経済はこれまでの駆け込み需要の反動が懸念されています。
そして政府はその反動を抑えるために財政出動や法人税の減税などを検討しており、今後の行方が注目されています。
では、今回の消費税増税は外資系企業にはどのような影響を与えるのでしょうか。
今回はそれについて考えてみたいと思います。
まず、そもそも消費税増税がどのような業種に影響を与えるかを考えてみます。
今回の増税は、一部の外国などとは違い、基本的にすべてのモノやサービスに適用されています。
よって、ざっくりと一般的に考えると、増税の影響は以下のようになります。
すべてのモノ、サービスが3%値上げされる。
↓
生活必需品はどうしても買わなければいけないので、出費を抑えながらも消費する。
↓
これまでよりも生活必需品にかかる出費が増える。
↓
生活必需品への出費が増えたことにより、必需品ではない贅沢品や嗜好品などの消費を抑える。
↓
結果的に、贅沢品や嗜好品の消費が落ち込む。
という流れです。
わかりやすく言うと、「ティッシュペーペーの値段が上がってしまったので、これまで買っていた牛肉が買えなくなり、豚肉にした」というような人が増えるということです。
よって、影響を受けやすいのは、「贅沢品や嗜好品を扱う業種」ということになります。
では、外資系企業への影響はどのように考えればよいでしょうか。
外資系企業と言っても様々な業種がありますが、まずここでは以下のケースを考えてみます。
A.外国に本社を持ち、本社で製品を作り、日本で販売している外資系企業
B.日本で製品を作り、日本で販売している日本企業
ここで、Aに当たる外資系企業をA社、Bに当たる日本企業をB社とします。
まず、外資系のA社であっても、製品を日本で販売するのであれば、当然消費税はかかります。
よって、日本で製品を売る場合は、A社でもB社でも、価格が消費税分上昇するのは同じです。製品価格で考えると、「A社=B社」です。
違うのは、製品ができるまでの過程です。A社は外国で製品を作っています。
よって、製品が完成される前の過程で日本の消費税がかかることはありません。しかしB社の場合は、原材料などを日本で仕入れ、外注などを使って製品を完成させます。
この場合、その原材料費や外注費にも消費税はかかります。
よって、製品にかかるコストは、B社がA社よりも多くなります。
企業としての利益で考えると、「A社>B社」です。
よって結論としては、「日本での費用がかからない外資系企業が有利になる」ということになります。
単純に考えると、外資系企業と日本企業では、日本でのコストがかからない外資系企業の方が有利ということになりました。
では、次のようなケースはどうでしょう。
C.日本での認知度が高く、すでにファンとなっている顧客が多い外資系企業
D.日本の雑誌に広告を出すなどしてマーケティング活動を積極的に行い、その露出の高さで顧客を獲得している外資系企業
この場合も、Cに当たる外資系企業をC社、Dに当たる外資系企業をD社と考えます。
C社はすでにファンである顧客がたくさんついています。
そしてこのようなファンは、一度ファンになればなかなかその態度を変えないとされています。
よって、C社はそれらの固定化されているファンに対し、定期的にコンタクトをとるなどのケアを行っていけば、さほど増税による影響は受けません。
これに対し、D社は雑誌などにどんどん広告を出すことによって顧客を獲得しています。
この場合、広告作成を日本向けに日本で行い、日本の雑誌などに広告を掲載するわけなので、それらすべてに消費税がかかることになります。
企業としての利益で考えると、「C社>D社」です。
よってここでの結論としては、「認知度が高く、看板ブランドなどを持つ外資系企業が有利になる」ということになります。
ここまで、外資系企業と日本企業、外資系企業と外資系企業の比較で消費税増税による影響を比較してきました。
結局、外資系企業が日本の消費税増税に対して必要な対策は、「顧客ロイヤルティを高めること」ということになります。
顧客ロイヤルティとは、顧客のその企業やブランドに対する忠誠心です。
「このブランドじゃなきゃ嫌!」という顧客は顧客ロイヤルティが高い、という言い方をします。
顧客に「このブランドじゃなきゃ嫌!」と思わせることができる企業が勝つということです。
そのような意味では、まだ日本に進出してから日が浅く、これから認知度を上げようとしている企業の中には、苦戦もしくは撤退を余儀なくされる企業も出てくる可能性があるということです。
日本で活動している外資系企業は、贅沢品や嗜好品を取り扱っている企業が多いことから、その影響は少なくないと考えられます。しかし、企業やブランドに強い求心力を持つ企業は、相対的には増税の影響はさほどではないと言えそうです。
そしてこれは、製造業だけではなく、サービス業にも言えることです。
例えば、高い提案力を持つコンサルティング企業やソリューション企業は、その競争力を保つことができます。
また、同じ外資系企業でも、金融機関などの場合はむしろ為替や世界全体の経済状況の方が影響を与えます。
特に日本のマーケットは、世界の経済状況に敏感に反応するとされています。
外資系金融機関は、消費税だけではなく、そのようなグローバルな観点から物事を見ているのです。
消費税増税が日本経済と外資系企業に与える影響は、まだ未知数です。
しかし、消費の動向を見極め、日本の消費者目線で行動できる企業が有利となることは間違いないのではないでしょうか。