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有元美津世のGet Global!

語学力よりコミュニケーション力 (2) - 大事な伝えたいという気持ち 2015.07.21

 

これまで、英語が通じない要因が、論理やコミュニケーション力など語学力とは別のところにある場合があると書きました。実は、もうひとつ、多くの日本人にとって英語上達の妨げとなっている点があります。

 

控えめ・Shyな日本人

 

日本で英語を教えた経験のあるアメリカ人英語教師のフェイスブックのページを見ていると、当初、コメントを書く人は日本人や韓国人が多かったのに、いつの間にか中近東の人たちが増えていることに気づきました。中近東の英語学習者同士がコメント欄でディベートをしていたりするのです。彼らは、英語が間違っていても平気です。

 

その教師は、オンラインと教室ベースで英語を教えているのですが、生徒の半分以上は日本人にもかかわらず、彼のフェイスブックページにコメントを投稿するのは、ほとんどが日本人以外なのです。彼は、オンラインに限らず、教室でも「日本人は大人しくて、あまり発言しない」と言います。これは、アメリカの大学や大学院などでもよく見られる光景です。(日本人だけでなく、アジア人全体にその傾向があるのですが。)

 

私の英語のツイッターのアカウントは、日本人以外に、英語練習のパートナーを求める他の国の英語学習者もフォローをしてきます。日本のフォロワーの方々に、そうした人たちをツイッターで紹介するのですが、積極的に話しかけて行く人は少数派です。プロフィールには「いろいろな国の人たちと友達になりたい!」と書いてあるのに…

 

もちろん、中には、フェイスブックで、世界各国の人と交流し、実際に彼らを訪問している人もいます。ある男性は、元々、スカイプのチャットで他の国の人たちと会話を始めたところ、そこからフェイスブックにつながり、加速度的にいろいろな国の人たちとの友だちの輪が広がったそうです。

 

彼がネットでの他の国の人たちとのやりとりを通じて学んだのは、「ネイティブに比べて、英語が間違っているのは当たり前」「それぞれの国ごとに固有の英語がある」ということだそうです。日本人の多くは、「英語を少なくとも中高6年間学び、中学英語は身に付けているはず」というのは、まさにその通りで、日本人に足らないのは、間違いを恐れず、積極的に話しかける、外に向けての発信力なのです。

 

コミュニケーションの真髄を見た

 

昔、ロサンジェルスの空港で面白い光景を目にしました。売店では、レジに列ができていて、レジの女性(Cashier)は忙しそうにしていました。そこへ、Candy Bar(チョコレート)の棚を物色していた日本人のおばさんが、唐突にCashierに向けてつかんだCandy Barを掲げ、「これ、いくら?」と日本語で聞いたのでした!

 

すると、Cashierは表情を変えることもなく、レジを打ちながら”Two Fifty”と英語で答えました。おばさんは答えを理解したようで、日本語と英語でちゃんとコミュニケーションが成り立ったのです! その時、コミュニケーションの真髄を見た、と思いました。

 

私の経験では、概して男性の方がshyのようです。私は、コンサルタント時代、日本からの出張者と米国内を回ることがよくありましたが、男性(おじさん)は、レジで店員に質問をされても、うんともすんとも言わず、無表情で黙っている人が多いのです。相手の言っていることがわからないならわからないで、「わからない」と意思表示することが必要です。日本語で「わからない」と言ってもいいですし、手を振るなどジェスチャーでもかまいません。無表情で何も言わずにいるのは不気味です。

 

私は、コミュニケーションで一番大事なのは「伝えたい」という気持ちだと思っています。その気持ちがあれば、たとえブロークンの英語でも、どんなことをしてでも伝えようとするでしょう。

日ごろ、話している日本語が間違っていても平気なのに、英語になると途端に間違いに神経質になるのはおかしいと思いませんか?大事なのは完璧な英語を話すことではなく(そんな日はまず訪れないと断言しましょう!)、発信することなのです。発信なしに上達はないのですから、間違いを恐れず、どんどん発信してください。

 

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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