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鈴木美加子のグローバル人材塾

「謙虚の美徳」マインドは外資系で損2023.10.10

 

元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日は、日本人の自己肯定感をテーマにします。

 

ハイコンテクストな日本人、ローコンテクストなドイツ人

 

英語の模擬面接を行うと、日本人としては英語上級者なのに自信なさげにスタートする方が非常に多いです。英語圏は程良く「自信」があることを良しとする文化なので、自身をPRする場である面接で過度に謙虚すぎるのは評価を下げます。外資に入社してからも、自己肯定感が高めの方が上手くいきます。

まず日本人とドイツ人を比較してみましょう。「ドイツ人はなぜ自己肯定感が高いのか」(キューリング恵美子著、小学館新書)にわかりやすいデータが出ています。3つの問いに対してドイツ人と日本人がどのように答えているかを見てみましょう。

Q1. 私は自分自身に満足している

ドイツ人 81.8%
日本人 45.1%

Q2. 自分には長所があると感じている

ドイツ人 91.4%
日本人 62.2%

Q3. 自分は役に立つ人間だと感じる

ドイツ人 68.2%
日本人 48.2.%

世界でも最たるハイコンテクストの空気を読む日本文化の中で、周りからの評価を気にして高みを目指すと、自分に満足できない人が生まれます。自信が持てなかったり、生活水準への期待値が高過ぎたりすると、幸福度が低くなりがちです。

それに対して、世界でも名だたるローコンテクストのドイツでは、自分で調べる習慣をつける、人前でわかりやすく説明できるようになる、質疑応答に対処できるようになること全てが、教育の要だそうです。自分の意見を主張するように教育されない日本人が、同じことをするのはかなり難しく後天的に身につける必要があります。

次にアメリカとの比較ですが、在米25年の日本人と対談をした際、「ミッキーさんは、たくさんの候補者を面接してきたと思いますが、日本人の肯定感は、1から10のスケールで何点ぐらいが平均でしょうか?」と聞かれました。私は「すでに外資にいる方は自己PR力を身につけているので7。日本企業から初めて外資に転職される方の場合、個人差はありますが2~3だと思います」と答えました。

どうして同じ日本人なのにこのような差が生まれるのでしょうか。 大きな理由は2つ考えられます。

 

1. 環境の影響

 

外資系に初めて入社した日本人は、最初のうちこそ「謙虚の美徳」を捨てられないでいますが、だんだん自己PRが得意な外国人や日本人に囲まれて仕事をしているうちに、変わります。アサーティブネス、以前より高い肯定感、ポジティブなフィードバックの仕方などを身につけないと、彼らと対等に仕事ができないので、自分が働いている環境に合わせて変化するわけです。

新卒で日本企業に入社して、上下関係に配慮したり、無意識で出る杭にならないように振る舞っているうちに、本来の性格と関係なく職場でのペルソナとして「目立たないようにする」自分が出来上がります。日本人同士の方が、減点主義の傾向が強いのも自信を持ちにくくなる原因です。

 

2. 練習する場が少ない

 

以前、プレゼンテーションの研修を行ったことがあります。参加者の1人が子供時代の10年をアメリカで過ごした帰国子女でした。日本語での彼女のプレゼンテーションは、自信がなくおどおどしていて、帰国子女だと信じられないほどおとなしい印象でした。

講座の終盤で質問してみたところ、実は頭の中で日本語の単語を探していてることが多く、自分の日本語に自信が全く持てないことが原因だとわかりました。試しに英語で少しプレゼンをしてもらえますかと休憩時間にめちゃぶりしたら、即興OK、卒倒するほど見事な英語のプレゼンでした。

彼女曰く、幼稚園の頃から「私の家族」のようなお題でクラスメイト全員の前で発表してきたので、英語でのプレゼンには全く抵抗がありませんとの事でした。まさに「練習」の場がたくさんあったことを物語っています。

そして肝心なことは、お子さんに対しても、職場での上司・同僚・部下に対するフィードバックはポジティブであることです。子供時代に、今思えば、稚拙だったであろうプレゼンをけなされたり、批判されたことは無いそうです。減点主義ではなく、トライしたことを褒める環境で育つと「とりあえずやってみよう」「失敗は怖くない」人が育つ典型例です。

私たちも周囲への評価を、褒めることから始められるよう努力したいです。そして私たち自身も控えめになりすぎることなく、内側に静かな自信を秘めた人になりたいものです。英語での面接の時に、謙虚すぎるのは自分に自信がないと誤解されることになることを記憶に留めてください。

 

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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