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タカシの外資系物語

超ビッグなご褒美 ! 外資の Award Party ( その 1 )2006.05.09

Award Partyへの招待状

Congratulations on your being selected as a guest at “ Award party ” this year. Attached is the congratulatory letter from General Manager, Asia Pacific


「… ん ? なんじゃ、こりゃ ? 」


1 ヶ月ほど前のこと、私のもとに、こんなメールが送られてきました。


「ふむふむ、“Award party” に選ばれて、アジア・パシフィックの代表からお手紙が来たわけね、どれどれ … 」


メールに添付されていた「お手紙」には、以下のように書かれていました。


Dear Takashi


Congratulations on your outstanding achievement in 2005. You demonstrated your focus on winning by creating high business value for our clients.


In recognition of your efforts and contributions, you and your guest are invited to the Award party event. Hosted by a senior executive, the event will provide an opportunity for you to celebrate success in a relaxed and informal way.


Thank you for your outstanding performance and commitment to XX consulting success. Keep up the great work.


( 抄訳: タカシさんへ  いやぁー、 2005 年はよく頑張ってくれたね。お客さんも喜んでいらっしゃるよ。で、ごほうびと言っちゃあなんだが、 Award party に招待してあげることになったんで、喜んでねーー。このイベントには役員も参加すっけど、インフォーマルな雰囲気で楽しんでいいからさ。んじゃ、これからも頑張ってね、期待してるよーーー ! )


… ということで、今回から数回にわたって、私が参加してきた “Award party” についてレポートしてみたいと思います。

Award Party って何 ?

そもそも “ Award party ” とは何なのでしょうか ? 一般的に外資系企業では、顕著な業績を上げた社員に対して、“ Staff Recognition ” とか “ Staff Award ” という形で、「ご褒美」を与える制度があります。もちろん、日系企業でも同じような制度はあるでしょうが、外資の場合は、その与え方に特徴があるのです。


まず、受賞した社員は、極めて大々的に社内に対してアナウンスされます。「今期、タカシはものすごい業績を上げたぜ、 Yeah ! みんな、ノッテるかい ? 」みたいな感じで、全社メールや社内 LAN、社内報などで発表されるのです。部門ミーティングで表彰されるのを手始めに、Award を取った後の数ヶ月ぐらいは、ことあるごとに「 Award を取ったタカシです ! 」みたいな紹介がなされ、コイツはすごいんだぞー、ということが社内に周知されるように仕向けられるのです ( No. 294 『スポットライトを浴びるヤツ』参照 )。


ま、褒められてイヤな気はしませんから、それなりに優越感にひたれるわけですが、一方で、そんなに褒められるほどのことか、という気がしないわけでもありません。数十億円クラスの案件を獲得したのならいざ知らず、他の人に比べて、ほんの数千万円ぐらい売り上げが多かったぐらいで、これほど「ホメ殺し」にされるのもいかがなもんか … 報奨金も十万円程度のもんですから、お金だけくれて、そっとしておいてほしいというのも正直なところです。


外資がどうしてこのようなバカ騒ぎをするかというと、次のような理由が考えられます。 1 つは、「ほんの少しであっても、他の人より売り上げが多かったのは事実。もう少し頑張れば、あなたもメチャクチャ褒められるんだよーー。だから頑張ろうねーー ! 」てな感じで、受賞を逃した社員に対して「ニンジン」をぶら下げ、士気を高める効果。もう 1 つは、福利厚生の一環です。外資系企業では、日系企業のような「万人に対して平等に与える福利厚生」は存在しません。なぜなら、社員全員に福利厚生を与えていたのでは、金がかかって仕方がないからです。その代わり、業績の良かったごく一部の社員に対して、非常に手厚い福利厚生 ( = ご褒美) を準備しているというわけです。


「非常に手厚い福利厚生、って言ったって、報奨金十万円程度のもんだろ ? 大したことねぇじゃん … 」


と思われるアナタ。実は表彰された社員のうち、何人かについては、さらに豪華なご褒美が待っているのです。それこそ、“Award party” に他なりません。

南の島にご招待 !

今回私が選ばれた“Award party” の中身は、こんな感じです。


( 1 )  行き先 ・・・ 某リゾート地○○○(南の島系。日本ではメジャーではないが、結構有名なところ)


( 2 )  招待される人 … Awardを受けた社員とその配偶者


( 3 )  日程 … 1 週間


( 4 )  費用 … タダ


つまり、選ばれた社員は、奥さん ( またはダンナさん ) と一緒に、会社のカネで遊んできてもいいよーー、と言っているわけです。何ともゴージャズな話ではありませんか ! 社員の一部だけを Award で表彰し、またその中の一部だけを南の島に招待する ・・・ これぞ、外資の「超エコひいき福利厚生」というわけなのです。


また、夫婦一緒というのが何とも外資らしいところ。「社員が働けるのは家族あってのこと」という、外資の考え方が端的に現れているといえます。


私は早速、妻のトモミにこのことを告げました。


私 「あのさ … 出張なんだけど」


トモミ 「どこ ? 」


私 「○○○ ・・・ 」


トモミ 「○○○って ・・・ 何もそんな遠くまで行って会議しなくても ・・・ 」


私 「いやいや、夫婦一緒に行くんだよ。 Award のご褒美だってさ ・・・ 」


トモミ 「にゃ、にゃんですとぉーーーーーーーーーーっ ! 」


妻のトモミとは、前職の外資系企業で社内結婚だったので、彼女自身も外資の Award についてはそれなりに理解しているはずです。しかし、○○○に夫婦同伴で、それもタダで行けるなんざぁ、一生に一度あるかないかの出来事です。私はトモミの喜ぶ顔を見て、「選ばれて良かったな ・・・ 」という実感がわいてきました。


「よーーし、こうなったら徹底的に楽しむぞーー(^-^)。よかった、よかった ・・・ って、この忙しい時期に 1 週間も休めるんかぁーーー(T-T)」


その日から Award party に参加するまでの 2 週間、連日徹夜で仕事を片付ける羽目に陥ったというわけです、トホホ ・・・ 。ま、○○○に行けるんだから我慢しなきゃね … ワクワク !

 

( 次回続く )

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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