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タカシの外資系物語

Show the FLAG!2001.12.07

先ごろのことですが、「ショウ・ザ・フラッグ !」という言葉が、ニュースを賑わしました。これは、米テロ事件に関連して、アーミテージ米国務副長官が、日本の柳井駐米大使に発した言葉で、「旗を見せろ !」すなわち、「俺につくならつくとハッキリ言え ! = 日本の具体的な支援策を示してほしい」という意味の発言でした。


実際には、「日の丸を見せろ !」と解釈して、あわてて自衛隊の後方支援を約束した、なんていう勘違いのオマケまでついたわけですが、このこと自体は外資系企業 ( 特にアメリカ企業 ) の根底を流れる考え方を如実に表しているような気がするのです。


外資系企業に勤めていると、つねに自分の考えを明確に示しておくことが重要です。これは、「その意見はある意味では正しいが、違う見方をすれば間違っている」なんていう、中途半端な見解ではなく、要は「YES なのか ? NO なのか ?」ということをハッキリさせることなのです。


とかく日本人は、物事を曖昧にすることに馴れており、それを心地よく考える風潮すら見られます。「まぁ、そんなにはっきりさせなくてもいいじゃない。曖昧に、グレーに行きましょうや !」みたいな考えです。


一方、外資系企業では、そのような曖昧さはもっとも嫌われることのひとつです。「YES なのか ? NO なのか ?」これが言えない人は、まず評価されないと言ってもいいでしょう。


そして、これはよくある誤解なのですが、上司が「YES」と言っていた場合でも、「NO」と言ってもかまわないのです。無理に合わせる必要はないのです。その代わり、「NO」と言うからには、それなりに説得力のある理由が必要なのは事実ですが。回答を曖昧にしてごまかすことの方が、評価は低くなる傾向があります。


またそのような反面、「上司に逆らって、外資系をクビになった」という話も聞きます。しかし、この議論でクローズアップされているのは、単に「傲慢な上司」という側面だけであって、本当のところは「上司が正しいにもかかわらず、反論したらクビになった」のかもしれません。間違ったのはその人が悪いのですから、クビになったからといって文句を言える筋合いのものではないのです。このようなケースで、上司があなたの意見を受け入れなかったから、その会社が倒産した、なんていう例はほとんどないように思います。ということは、やはり間違ったことを言って上司に楯突いた、その人が悪いのではないでしょうか。クビになった人のひがみが多分に含まれている可能性が高いと思われます。


それでは、本当に「YES なのか ? NO なのか ? 」わからない時には、どのようにすれば良いのでしょうか ? 実は、私の経験では、このようなケースが結構多いのです。このとき、「わからない」「どちらでもない」という回答は最悪です。冒頭の例のように、どちらか一方の「フラッグ」を示さねばならないのです。


自分で回答を導き出せない場合、私は「上司」の意見に賛成するようにしています。理由は、少なくとも自分より上の立場にいるのだから、自分より能力も高いし、思慮も深いはず、ということ。また、どちらか決められない時に、どちらかを選択していることに対して敬意を表している、という面もあるでしょうか。


本当にメリット・デメリットが拮抗している場合には、「Pros & Cons 表 ( メリットとデメリットを書き出したマトリクス ) 」を示したうえで、「両者にはそれぞれこのような Pros & Cons があります。私はここまでは理解できますが、どちらがいいか判断できません。なので、上司であるあなたに従います」という言い方をするようにしています。


それから、もう 1 つ。いろんな上司に対して、いろんな「フラッグ」を示して渡り歩いているような人。こういう人はたいてい長続きしない、と言うことも忘れてはいけないでしょう。

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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