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昨年、日本政府はウクライナの首都、Kiev(ウクライナ語ではКиїв )の表記をロシア語に基づいた「キエフ(Kiev)」からウクライナ語の「キーウ(Kyiv)」に変更しました。
ソビエト連邦が崩壊し、1991年にウクライナが独立してから、ウクライナ政府は、表記を”Kiev”から”Kyiv”に正式に変更しました。世界的にも、表記は”Kiev”で浸透していたのですが、数年前にウクライナ政府がウクライナ語の”Kyiv”を使用するよう英語メディアなどに呼びかけ(#KyivNotKievを使ったオンラインキャンペーンも)、次第に”Kyiv”が使われるようになりました。
なお、英語での発音は、”Kiev”も”Kyiv”も、”v”はvの発音で、”Keev”と発音する人が多いです。ウクライナ語の発音では、”B”は”w”なので(日本語では「ウ」が一番近い)、「発音もウクライナ語に準じよう」という人は”v”の発音はしないようですが。
そこまで言うのなら、「国名もウクライナ語に準じたら」と思いますが、そういう声は聞かれず、「ウクライナ」は英語では”Ukraine”で、発音は「ユークレイン」になります。* なので、「ウクライナ」と言っても、英語ネイティブには通じません。
*(私は、外国語を、発音がまったく異なるカタカナ表記するのには大反対なのですが、発音記号ではわからない人が多いと思うので、ここでは仕方なくカタカナ表記を使います。)
このように、言語によって、地名の呼称が違うことは多々あります。前回、中欧の話をしましたが、スラブ語やドイツ語の地名は、英語での呼称が異なる場合が多いのです。
日本語は現地語に追従する場合が多いのですが、ときどき、なぜか英語に準じている場合があります。たとえば、「イタリア」は、英語のItalyでなく、イタリア語の”Italia”に準じていますが、「スペイン」は、スペイン語の”España”ではなく、英語の”Spain”を使っています。
現地語と英語では、まったく呼称や発音が違うものを一部、下記に挙げておきます。
日本語 | 現地語 | 英語(発音) |
---|---|---|
プラハ | Praha | Prague(プラーグ) |
ワルシャワ | Warszawa | Warsaw(ワーソー) |
ウィーン | Wien | Vienna(ヴィエナ) |
ドイツ | Deutschland | Germany |
ミュンヘン | München | Munich(ミューニック) |
チーリッヒ | Zürich | Zurich(ズーリック) |
ジュネーブ | Genève | Geneva(ジェニバ) |
イタリアの地名も、現地語と英語では表記が違う場合がほとんどです。
日本語 | イタリア語 | 英語 |
---|---|---|
イタリア | Italia | Italy |
フィレンチェ | Firenze | Florence |
ジェノバ | Genova | Genoa |
ナポリ | Napoli | Naples |
ミラノ | Milano | Milan |
ローマ | Roma | Rome |
ベネチア(ベニス) | Venezia | Venice |
「自分たちの国、アイデンティティを尊重してほしい」という国はウクライナに限りません。日本の英語名”Japan”は、漢音を基にしたマルコ・ポーロの”Zipangri”を由来とすると言われていますが、「日本に来たこともない人が作った呼称で呼ばれたくない」という声は日本では聞かれないですね。日本人の氏名英語表記も、名字を先に書くように変更になったのに、なかなか浸透しないですし...
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大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。