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有元美津世のGet Global!

クルーズ船でグローバル力を養う (3) — 「乗客として」(後編)2015.02.17

 

日本でクルーズが普及しない理由には、言葉の問題もあるでしょう。「英語ができないから船上でコミュニケーションが図れない…」 でも、グローバルキャリアを目指す読者の皆さんのこと、日本人添乗員付きのツアーもあるようですが(ドイツやイタリアの添乗員付きツアーが乗っている場合もあり)、ぜひ個人で参加して、他国の乗客に混じって船上ライフを楽しんでいただきたいと思います。

 

従来のクルーズでは、夕食は食事の時間が固定で、席も決まっている”Traditional Dining”が主流でした。これは、クルーズ船が決めた席に見知らぬ人たちと相席させられ、毎晩同じ時間に同じメンバーで食事をするスタイルです。相席者と相性が合わないと苦痛ですし(言えば席は変えてもらえますが)、英語でペラペラ会話ができないと辛いでしょう。

 

しかし、最近は自分が好きな時間に食事ができる”Flexible Dining”が増えていますし、知らない人との食事を敬遠する人も増えているので二人席が増えています。また、船上で仲良くなった人と一緒に食事をすることもできます。

 

近年、アメリカやカナダ在住のアジア人乗客も増えていますし、今回もインドネシアからはるばるフロリダまで飛んできたグループもいました。アメリカの船でも英語ネイティブでない乗客はいますので、ネイティブの英語のスピードや会話の内容についていけなければ、こうした人たちと交流することもできます。

 

アメリカのクルーズ船の場合、船内アナウンスやエンタテーメントはすべて英語で行われ、乗客の構成によってスペイン語やドイツ語などでアナウンスが添えられます。今回、乗船したのもアメリカの船だったため(避寒のカナダ人も大勢)、ショーのエンタテーナーも9割がアメリカ人で、逸話もジョークもアメリカ人向けで、一部の国の人が気を悪くするようなジョークもありました。50カ国以上の国籍の乗客が乗っていたというのにです。

 

多文化空間を楽しむ

 

アメリカの船は、どれもこうなので(世界どこに行っても船内は「アメリカ」のまま)、私はヨーロッパ系の船の方が好きです。イタリア系の船に乗ると、アナウンスはすべて、英語、イタリア語、フランス語、スペイン語の四カ国で行われます。

 

(すると「長すぎる」と怒るアメリカ人やイギリス人が!さらに彼らは「横入りする乗客=イタリア人がいて困る」と愚痴ります。それで、ヨーロッパ系船には、船内も「アメリカ」でないと気のすまないアメリカ人乗客は少ないのです。)

 

船上では、一日中、いろいろなイベント(activities)が行われているのですが、私はいつもTriviaに参加します。アメリカの船だと質問もアメリカに関するものがほとんどで、ちょこっとイギリスやカナダに関する質問が入るくらいです。

 

今回あった頭字語のクイズで、EPAやFBIなどNATO以外すべて米政府機関だったのには驚きました。(あまりにも偏りすぎ。)

 

イタリア系の船では、Triviaに参加するとイタリア人チームやフランス人チーム、スイス人チームと対戦することになるのですが、イタリア人の司会者が質問を4カ国で読み上げるのです!

 

それに対しイタリア人チームはイタリア語で、フランスチームはフランス語で、スイスチームはドイツ語で、イギリス人やオーストラリア人などの英語チームは英語で回答します。質問内容も、ヨーロッパ偏向はあるものの、アメリカの船より国際的です。

 

私は、こうした国際的、多国籍的な雰囲気が好きなので、ヨーロッパ船の方が好きなのです。また、概してマズイ船上の食事ですが、イタリア系の船は結構おいしいです。

 

実は、私が初めてクルーズに行ったのが30の時なのですが、あまり楽しいとは思いませんでした。各寄港地では時間が限られるため、ゆっくり観光ができずバタバタするのが嫌だったのです。当然、クルーズが嫌いな人もいます。

「クルーズに行ってみたいけど楽しめるかどうかわからない」という人は、まずは短期間のクルーズを試してみてはどうでしょうか。

 

 

Bon Voyage! 

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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