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有元美津世のGet Global!

海外にサービス残業はあるのか?(3)--当然の権利ではない有給休暇2014.10.07

前回、「海外にサービス残業はあるのか?」という質問を取り上げましたが、「海外」といっても世界には200カ国近くの国があり、経済発展度も、文化も宗教もさまざまです。

日本では「海外」という場合、たいてい欧米のことであり、「欧米」を十派一絡げにして話す人が多いですが、ヨーロッパとアメリカでは、文化や思考、労働倫理、法律もかなり違います。(もちろん、ヨーロッパの国々の中でも言語も文化も多様です。)

いまだに、「欧米では休暇が1ヶ月」などと言っている人もいますが、それは労働者の権利の強い(社会主義的な)ヨーロッパの話で、アメリカで、そんなに長い休暇を取れる人には、有給、無給にかかわらず、お目にかかったことがありません。2週間休暇がとれる人がいれば、ラッキーな人です。

ちなみに、アメリカでは法律で有給は義務付けられておらず、社員に有給を提供するか否かは雇用主の一存で決まります。実際には、福利厚生の一環として有給を提供する企業が多いのですが、米就労者の4分の1近くは有給がないとのことです。有給がないのは、小規模企業や低賃金職種に多く(低賃金労働者では半分以上)、私が知っている時給払いの人たちは、病気だろうが入院だろうが、休むと無給です。

下記のグラフは、法律で義務付けられたOECD国の有給休暇と有給の休日を比較したものですが、”Paid Vacation”は有給(米語、イギリス英語では”paid holiday”)、“Paid Holidays”は有給の祝日という意味で使われています。


(http://www.cepr.net/index.php/publications/reports/no-vacation-nation-2013)

アメリカでは、連邦政府職員は年に10日の祝日は有給扱いですが、民間企業は法的に祝日を休日にする義務も、祝日に給料を払う義務もありません。その結果、Veteran’s DayやColumbus Dayなどの祝日は、政府機関や金融機関は休みですが、ほとんどの民間企業は休みではありません。どの祝日が休みかは、各企業が従業員マニュアルなどで定めています。これで大変なのは、子持ちの共働き家庭で、学校が休みでも親は出勤しなければならないため、子供を見てくれる人を見つけないといけません。見つからなければ、無給で会社を休まざるを得ない人もいるわけです。

一部の米議員は「アメリカは、先進国で唯一有給が法律で義務付けられていない国」というのを問題視し、義務付ける法案を通そうとしています。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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