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有元美津世のGet Global!

ビジネススクール(2) - MBAの価値2013.10.29

日本でも、近年、「MBAは取得する価値があるのか?」という議論がされていますが、アメリカでも同様の議論がなされて、何年になるでしょうか。

 

ビジネススクールが生まれた当時、フルタイムの2年制プログラムしかなかったのが、90年代に、パートタイムプログラムやエグゼクティブプログラムが設けられ、インターネットが普及してからは、手軽なオンラインプログラムが人気を得ました。


それと共に、MBA取得者は増え、アメリカでは、2011年には12万人を超え、2001年比74%増となりました。以前は、MBAといえば、特別な存在だったのが、今では誰でも取れ、石を投げればMBA取得者にあたるわけですから、それだけ価値が薄まるのは無理もありません。


アメリカの大企業の管理職クラスであれば、大半が持っています。15年ほど前の話ですが、私の米最大手企業に勤める日本人の友人も、「昇進させるには、皆の手前、MBAを取得してもらわないと困る」と言われ、当時、まだ珍しかったオンラインで取得しました。

MBAをとっても就職先がない

2012年、米ビジネススクールの卒業生の62%が、卒業時に就職先が決まっていて、関係者らはホッとしたそうですが、38%は決まっていなかったわけです。


ハーバードビジネススクールの同年の卒業生で、卒業後3ヶ月して就職していなかった人は、5%未満ですが、南カリフォルニア大学(USC)では、これが23%に達しました。USCは、地元南カリフォルニアでは有名で、各誌ビジネススクールランク付けで30位くらいには入っています。同じく南カリフォルニアにあるクレアモント大学院のビジネススクールは、有名な故ピーター・ドラッカー教授の名前がついていますが、全米100位程度で、2012年、卒業生の87%以上が、卒業時に就職先が決まっていませんでした。


金融危機後の大不況で、「MBA所有の中高年が、失業して仕事がなく、ビルの清掃をしている」という話がアメリカでは流れましたが、学校名が出ていなかったので、有名校ではないのでしょう。(ハーバードビジネススクールの卒業生がビルの清掃をしていたら、特ダネです!) 

伸び悩む給料と高騰する学費

MBAを取得後、どれだけ稼げるかが、MBAの価値の目安としてよく使われますが、実務経験が1~4年の卒業生の場合、2012年の年収の中央値は5万ドルほどで、数年前より低下しています。金融危機後の不況の影響もあり、実務経験が長いMBA保有者でも、給与レベルは横ばいか低下傾向にあります。


一方、ビジネススクールの学費は、過去3年だけでも24%上昇し、給料アップのペースを上回っています。有名私立ビジネススクールであれば、年間5万ドル以上し、6万ドル近いところもあります。州立大学でも、上位のビジネススクールだと年間5万ドルほどします。


そのため、有名私立ビジネススクールでは、学生らが借りる学資ローンの平均額が10万ドルを超えており、一番借金額が多いペンシルバニア大学のウォートンでは、12万ドル近くに達しています。MITでは2012年の卒業生の77%、デュークでは72%が借金を抱えていたそうです。


トップ校の卒業生は、年間10万ドルは軽く稼ぐでしょうから、投資対効果は悪くないかもしれません。しかし、そうでない二番手(second tier)の私立のビジネススクールでも、8万ドル以上の借金を背負っている学生らがいます。


上位100校のフルタイムの米MBAプログラム卒業生の平均借金額は約5万ドルで、ソーシャルワーク(社会福祉)のような給料の低い分野でも、修士を取得するのに5万ドルくらい借金をしているアメリカ人を私はいくらでも知っていますので、それに比べれば投資対効果は悪くないかもしれません。

 
「教育の価値は金で決まるのか?!」という人もいるでしょう。教育の価値は、投資対効果で測れるものではないと私も思いますが、これだけ学費が高くなると、考えないわけにはいかないでしょう。 

 

 

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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