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日本人だけじゃない ― 英語学習者に共通する間違い(5)

今回は、 読者の方からいただいた下記の質問に答えたいと思います。 

(1)I don’t think+肯定文

(2)I think +否定文

を比較した場合、(1)のほうを見かける確率のほうが高いような気がするのですが、一般的には(1)が使われるのでしょうか。

これも、いろいろな国の非英語ネイティブが、ネットで質問しているものです。ロシアのE友・ナディアも、よく下記のような文章を送ってきます。

X    I think it’s not easy to move around there without bike.

〇 I don’t think it’s easy to get around there without bike.

(そこは、自転車なしでは回りにくいと思う。) 

X    I think any tourist in Japan has no problem with taking the airport bus.

〇 I don’t think any tourist in Japan has any problem taking the airport bus.

(日本では、空港バス乗車で困る観光客はいないと思う。) 

X    I think the air was not so bad then.

〇 I don’t think the air was as bad then. 

(その頃、空気は、それほど汚くなかったと思う。)

日本語の訳はすべて「~ないと思う」になっているので、英語でも(2)の形を使いたくなるでしょう。でも、私は、ネイティブスピーカーが(2)の形を使っているのを、ほとんど聞いたことがありません。

その理由は、(2)の形は挑戦的で、強すぎるからです。これを”I think not”の形で見てみましょう。

I think not


“I think not” は、相手に不同意、異存を伝えるもので、”You’re wrong” (それは違う、間違ってる)くらいの強い口調です。

たとえば、下記のような場合、ただ「どう思う?」と聞いているだけなので、”I think not”は使われません。

Do you think it’s going to rain today? (今日、雨降ると思う?)
I don’t think so.  ( 思わない。)

I think Trump will win 2020. (2020年トランプが勝つと思う。再選されると思う。)

I think not! (そんなわけないよ!) 

冒頭の(2)も同じように考えるといいでしょう。

最近、アメリカの銀行に勤めるロシア生まれの人と知り合ったのですが、アメリカに15年以上住む彼女も、「いまだにRの発音ができないし、英語の冠詞もちゃんと使えない」と言っていました。

それでも、彼女はアメリカ人顧客(英語ネイティブでない人も多々)を相手に、問題なく銀行業務をこなしています。大事なのは、発音や冠詞よりも、コミュニケーション能力や職務遂行能力なのです。

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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