Global Career Guide
書店でもネットでも「日本人に多い英語の間違い」「日本人が間違えやすい英語表現」「日本人特有の訛」といった表現が溢れています。しかし、アジア各地に滞在して思うのは、英語学習者は、国にかかわらず同じような間違いをするということ。下記のような間違いは、英語圏の大学に留学経験のあるマレーシア人などにも見られます。
I didn’t like it.
x Me, too. → Me, neither.
x You liked it, isn’t it? → You liked it, didn’t you?
また、ロシア人のE友と2年間、WhatsAppでやりとりし、ロシア語話者も、同様の英語の間違いを犯すことを目のあたりにしました。大半の間違いは、非ネイティブに共通している、とつくづく思います。
「日本人特有の訛」という人がいいますが、たとえば英語圏では「アジア系はLとRの区別、発音ができない」と日本人というよりもアジア人の特徴と考えられています。*
しかし、英語のR の発音ができないのはアジア人だけではありません。ロシア語にも、英語のRにあたる発音がないようで、アメリカ人が英語初心者のロシア人にRの発音を教えようとしたものの、どうしても相手が聞き取れず、うまく行きませんでした…
また、ナディアは、よく”jim”と書いてきますが、これは”gym”のこと。JとGの発音の区別ができないのも日本人と同じですね。米大学院を出てアメリカに長年住む日本人にも”origin”を”orijin”と書いている人がいましたが、これはoriginの発音がちゃんとできていないということ…
2カ月前、ナディアがタイ旅行から戻った後に、下記のメッセージを送ってきました
I want to come back to Thailand!
日本語でも「タイに戻りたい」と言いますが、ロシア語でも同じようです。英語では、これは”I want to go back”になります。
英語では話し手の視点で変わってくるので、自分が今もタイにいるなら”I want to come back”です。ナディアには、これまでにも何度か説明したのですが、なかなか理解できないようで… ちなみに、”I want to return to Thailand” であれば、話し手の居場所に関係なく使えます。
これも、ナディアがしょっちゅう間違えるもので、これまでにも何度も説明したのですが、覚えてもらえず… 現在完了形は、日本でも不必要に乱用する人が多いです。下記のように、過去の特定の時点で起こった事象に現在完了形は使えません。つまり、Saturday, during my trip, last weekのような過去の一点を表す表現とともには使えないのです。
x I’ve come back home on Saturday. → I came home on Saturday.
x I’ve met some guys during my trip. → I met some guys during my trip.
x I’ve started learning English last week. → I started learning English last week.
各国の非英語ネイティブスピーカーと話せば話すほど、(「日本だけ」症候群の人たちが言うような)「日本人特有」の間違いなんてあるのだろうか、と思わずにはいられません。外国語を学ぶ上で間違わないわけはないのですから、間違えることなど気にせずに、どんどん実践に励むのみです。
* 韓国語ではLはあるがRがない、中国語では北京語か広東語か福建語かで違ってくるなど、言語による。
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。