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有元美津世のGet Global!

ビザなしで一年滞在できるジョージア2023.09.19

 

  私は、今夏、中央アジア(Central Asia)に行く前に、7月にジョージア(Georgia)を旅行したので、今回はジョージアについて話したいと思います。

 

ビザなしで一年滞在可能

 

  ジョージアは、まだ多くの国がコロナ禍の入国制限を行なう中、2020年にデジタルノマドビザを発行したことで世界的に注目を浴びました(当時、ジョージアも観光目的の入国は制限していた)。しかし、その後、各国の入国制限が解かれ、デジタルノマドビザを発行する国も増えたため、ジョージアの影は薄くなったような気がします。

  なお、今では、ジョージアには、日本を含む100カ国近くの人たちが、観光・留学・就労目的で、ビザなしで一年滞在可能です。ビザなしで、就労していいという国は珍しいですね。

  元々、ジョージアは、世界的に知名度が低い国です。アメリカで「ジョージア」というと、ジョージア州に間違えられますし、「ジョージア」という国があることすら知らない人の方が多いですから。首都トビリシ(Tbilisi)の名前を挙げても知らない人が大半です。(※1) 航空会社の人も知らないのにはビックリ!

  ジョージアは、元ソ連、ロシア語圏であり、観光客の多くは近隣諸国のロシア語圏(+トルコ)の人たちです(欧米の観光客に人気の国ではない)。とくに、ウクライナ戦争が始まってから、周辺国に脱出するロシア人が増えましたが、一年滞在できるジョージアは人気です。「ロシア人が増えて家賃が高騰した」とトビリシの住民には不評ですが。

 

元グルジア

 

  ジョージアは、南コーカサス(カフカス)に位置し、北はロシアと国境を接し、南はトルコ、アルメニア、アゼルバイジャンと接しています。そのため、アゼルバイジャン系、アルメニア系の住人が、人口の10%ほどを占めています。

  20世紀初期には「グルジア民主共和国」という国が存在しましたが、その後、ソ連の一部となり、1991年にソ連の崩壊とともに独立国家となりました。ソ連下で自治州だった北部がジョージアからの独立を目指したことから紛争が起こり、2008年には南オセアチア紛争(ロシア・グルジア争)へと発展しました。ロシアが北部二地域の独立を一方的に承認したため、ジョージアはロシアと断交することになり、国名をロシア語の「グルジア」から「ジョージア」に変更しました。

  ジョージアの面積は北海道よりも小さく、人口は370万人と横浜市の規模です。経済は農業や鉱業が中心ですが、コロナ前は観光業もGDPの12%を占めていました。一人あたりの名目GDPは7300米ドルで、ボスニアやタイ、ベラルース、ペルーよりも低い位置付けです。また、2022年の失業率は19%と高めです。

  日本からの輸入額は、日本への輸出額の10倍以上で、主に自動車や機器を輸入しています。ジョージアを走っている車の大半がトヨタで(タクシーの大半も)、それもプリウスの多いこと。割合で行くと、トヨタのシェアは日本より大きいと思います。

  なお、2017年まで、ODA拠出額では、日本がアメリカ、ドイツに次ぎ、3位でした。

 

ジョージア料理

 

  私がジョージアに行ってみたいと思ったのは、コーカサス/カフカス(Caucus)地域の料理が好きで(アメリカのロシア料理店で食べられる)、本場の料理を食べてみたいと思ったからです。正直、本場の味にはガッカリしたのですが(すべて味が薄い)、唯一、トリブシから東100kmほどのところにあるワインの生産で有名な中世の町、シグナギ(Sighnaghi)の料理はおいしかったです。(ジョージア人も皆、トリブシに比べて安くておいしい、と言うらしい。)

  数年前、日本ではジョージア料理がブームとなり、コンビニなどでシュクメルリ(shkmeruli)が販売されましたが、シグナギで食べたシュクメルリは絶品でした。また、ヒンカリ(khinkali)が生まれた土地と言われパサナウリ(Pasanauri)村にも、カスベギ(Kazbegi)に行く途中で寄ったのですが、ジョージア出身の運転手がうなるくらいのおいしさでした。(が、私はロシアのペルメニの方が好き。)

 

ロシア語

 

  ジョージアの公用語はジョージア(グルジア)語ですが、中年以上は皆、ロシア語を話します。若い世代は学校で英語教育を受けており、英語を話せる人が多いとは言うものの、流ちょうな人は少ないです。

  ジョージアや中央アジアを含むロシア圏では、ロシア製のYandexというUberのような配車アプリサービスがあります。Yandexは、地元のタクシー会社と提携しており、日本で展開しているUberのサービスと似ています。

  ジョージアでは、Yandex以外にも、エストニア発のBoltが使えます。Yandex(タクシー)の運転手は中高年が多く英語が話せませんが、Boltの運転手は若い人が多く、少しは英語が話せる人もいます。また、概して車が新しくきれいなので(エアコンを入れてくれる運転手も多い)、エアコンが効いたきれいな車に乗りたい人はBoltがお勧めです。(※2)(ちなみに、Boltはタイにも参入してます。)

 

近隣国との関係性

 

  カズベキは、ロシアとの国境から、わずか10kmなので、ロシア人観光客が多いのはわかるのですが、ウクライナ人観光客もいるのには驚きました。(日本のアニメが好きという)トリブシの20代の青年が「自国が戦争しているというのに他国に逃げてくる気が知れない。自分だったら、国に残って戦う。ウクライナ人にもロシア人にも、出て行ってほしい」と言っていたのが印象的でした。

  ちなみに、ジョージアとウクライナは、2013年にジョージアの元大統領がウクライナに亡命してから関係が悪化しているのですが、今年7月には、その元大統領をめぐって、ゼレンスキー大統領がジョージア大使をキーウ(Kyiv)から追放する事態にまで発展しています。

  英語を多少話せる若い世代の人から「お金のことを言ってるんじゃない。私は物質主義じゃないから」というセリフを何度か聞きました。「物質主義=悪、軽蔑に値する」という考えが浸透しているのかと思いました。他の元ソ連圏の国では聞いたことないので、共産主義の名残りというわけでもなさそうです。




(※1) Tbilisiを「トブリシ」と表記するのは「誤表記」と言えるレベル。「ト」と発音したら通じない。発音する人によっては「チ」に聞こえるので、「チブリシ」の方がまだマシ。

(※2)トリブシの夏は、気温は32-33度までしか上がらないが、結構、蒸し暑いので、車の窓を開けただけでは暑い。また、建物の構造のせいか、室外よりも室内が異様に暑く、エアコンがないと(エアコンがあまり好きでない私でも)寝るのはキツイ。

 

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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