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中東欧というと、共産圏のイメージで、「暗い、貧しい」と思っている人が少なくないようです。(とくに中高年?) 実は私も、10年以上前にロシア(サンクトペテルブルク)を訪れたときに、暗くて殺伐とした感じだったので(かつロシア人ガイドなしに自由に動き回れなかった)、そういうイメージがありました。
ネットで「スロバキアに対する事実ではないステレオタイプ(というより偏見)」* というのが掲載されていたのですが、その一つが「生活の質が低い」というものです。
これはスロバキアだけでなく、旧ソ連圏に共通するステレオタイプですね。
しかし、実際に訪れれば、そうでないことがわかります。バルカン半島の一部の国を除き、西欧とあまり変わらないです。それどころか、公共交通機関の発達には感動しましたし、街は、おしゃれなカフェやバーで溢れています。内陸の国が多いので、食事は(大量の)肉がメインですが、ベジタリアンの店も多く(グルテンフリーの店も)、スーパーにはオーガニック食品もたくさん並んでいました。
そこで、中東欧各国の国民一人あたりの購買力平価(PPP)を見てみると…
GDP per capita PPP (2018年)
国際ドル | |
チェコ | 37,423 |
スロベニア | 36,826 |
スロバキア | 35,099 |
(ポルトガル) | 32,023 |
ポーランド | 31,647 |
ハンガリー | 31,561 |
(ギリシャ) | 29,112 |
(ロシア) | 29,032 |
クロアチア | 26,216 |
ルーマニア | 26,176 |
ブルガリア | 23,207 |
べラルース | 20,176 |
モンテネグロ | 18,862 |
セルビア | 16,090 |
マケドニア | 15,523 |
ボスニア・ヘルツコビナ | 13,513 |
アルバニア | 13,330 |
コソボ | 11,505 |
ウクライナ | 9,182 |
モルドバ | 7,104 |
(出典:IMF)
上位の国は、財政危機に見舞われたポルトガルやギリシャは、すでに抜いていますし、首位のチェコに至っては、韓国(36,777)も抜いており、日本(39,294)に迫る勢いです。また、大半の国が、タイ(16,905)や中国(16,187)よりも上です。このように、ほとんどの中欧の国は貧しくないのです。
スロベニア、とくに首都のリブリャナの雰囲気は、西欧の都市とまったく変わらず(が、物価は西欧に比べて安い)、私が、今回訪れた国では、もっとも西欧化した印象を受けました。
バルカン半島に入ると、少し荒れた、貧しい感じを受けますが、世界遺産のドゥブロブニク(クロアチア)やコトル(モンテネグロ)は、世界からの観光客であふれ(大型クルーズ船が寄港)、物価も高めです。
中東欧の魅力として、「西欧より物価が安い都市で、ヨーロッパの雰囲気を味わえる」というのがありますが、それには、国や都市を選んで行く必要があるでしょう。
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。