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外資・グローバル転職で役立つ英語表現(29)-- Friendship Recession2023.01.31

 

  今回は、最近、米メディアで、よく目にする表現、”friendship recession”を紹介したいと思います。”Recession”(不況)は、日本語でも「リセッション」として使われることがあるので、皆さんも知ってますよね。今年は、世界的に不況になると言われています。


The majority of economists see a recession coming this year.
(エコノミストの大半が、今年、不況になると見ている。)


Almost half of Americans think the U.S. is already in recession.
(アメリカ人の半数近くが、アメリカは、すにで不況に突入していると感じている。)


  アメリカでは、2007年の不動産バブルの崩壊、金融危機によって起こった大不況は“Great Recession”と呼ばれました。


The Great Recession, lasting for two years, was the longest recession since World War II.
(2年続いた大不況は、第二次世界大戦以降、最長の不況だった。)

 

友人がいない

 

  そして、“friendship recession”とrecessionに”friendship”がつくことで、「友情の不況」、つまり「友人がいないこと」を指します。

  こうした造語が生まれたのは、友人がいない人が増えているからです。昨年5月にアメリカで行われたアンケート調査では、回答者の半数近く(47%)が、2021年から2022年にかけて「友人と連絡が途絶えた、疎遠になった」と答えました。もちろん、直接の原因はコロナ(による隔離・自粛)ですが、友人が減っている人、友人がいない人は、年々、増えており、コロナのせいだけではなさそうです。

  この調査では、約半数(49%)のアメリカ人が「親しい友人は3人以下」、36%が「4~9人」と答えたのですが、この数字は30年前に比べて減っているのです。1990年には、「友人が3人以下」と答えた人は27%、「10人以上」と答えた人は33%いました。一方、「一人もいない」と答えた人は、この30年で3%から12%に増えています。

  これは、とくに男性の間で顕著で、「親しい友人が6人以上いる」という男性は、1990年の55%に比べ、27%に半減しており、「親しい友人は一人もいない」という男性は3%から15%に増えています。この傾向は、とくに独身男性の間に多く、「独身で恋人もいない」という男性の20%が「親しい友人は一人もいない」と答えています。


The survey shows that more American men suffer a friendship recession than women.
(アンケート調査では、アメリカ人男性の方が、女性よりも友人が少ないという結果だった。)


  考えられる要因として、ライフスタイルの変化が挙げられています。晩婚、転居の増加、労働時間の増加、出張の増加などです。

  アンケート調査でわかったのは、友人を作る場所として一番多いのが職場で、「自分または配偶者の職場で親しい友人と出会った」という人が半数以上(54%)に達していました。(47%が学校、40%が友人を通じて、35%が近所で。)ということは、転居や転職が増えると職場の友人を失うことになり、またリモートワークが増えると、職場で新たな友人と出会う機会が減るということです。

  なお、69%の回答者が、「職場、学校、ジム、公園など一定の場所で会う友人がいる」と答えました。(私も、ジムで立ち話する人が数人いるが、「友人」でなく「知人」(acquaintance)。ジム以外でも交流するようになれば「友人」だが。)51%が「スポーツや趣味、地域サービスを行う際に会う友人(activity friend)」がおり、39%が「オンラインでのみ交流するオンラインの友人(E友)」がいると答えました。

 

Loneliness Epidemic

 

  友人がいない人が増えているのは、アメリカだけでなく、イギリスでも、同様の調査結果が得られています。イギリスでは、孤独を公衆衛生上の大きな課題として、2018年に孤独担当大臣(Minister for Loneliness)を任命したくらいです。(日本でも2021年に任命。) 孤独は、メンタルヘルスだけでなく、身体にも影響を与え、寿命が15年縮まると言われています。肥満やタバコを一日15本吸うくらい悪影響を与えるものなのです。

  アメリカで”loneliness epidemic”(孤独のエピデミック、蔓延)という言葉が生まれたのも2018年です。アメリカでも、孤独は「公衆衛生上の緊急課題(public health emergency)」と考えられています。


Loneliness has reached dangerous, “epidemic” levels across America.
(孤独は、アメリカ各地で、危険な”エピデミック”レベルに達している。)


We’re in the midst of a loneliness epidemic.
(孤独エピデミックが進行中である。)


  アメリカで、昨年、行われた別の調査では、回答者の半数以上(58%)が「孤独を感じている」と答えました。孤独を感じているのは若い世代の方が多く、66歳以上では41%であるのに対し、18~24歳では79%にも達しています。「いつものけ者にされている(left out)と感じている」という人も、55歳以上では16%に対し、18~34歳では42%でした。イギリスでも、孤独を感じているのは若者の方が多いのです。

  アメリカでは、今年に入って、すでに48もの銃乱射事件(mass shooting)が起こっていますが、こうした事件を起こす人たちの多くが、社会的に孤立しいている(socially isolated)男性です。(日本では「メンタルヘルス、生きづらさ=自殺」と考えられているが、国によっては無差別殺人や薬物依存という形で現れる。)

  WHO(世界保健機関)でも、高齢者の孤独や社会的孤立(social isolation)を公衆衛生上の課題として取り上げていますが、調査結果にも見るように、こうした問題は高齢者に限ったものではないようです。

 

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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