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有元美津世のGet Global!

アイスランドの英語事情(1)2018.10.02


 「アイスランドって何語が話されてるの?」と思う人もいるかもしれませんが、アイスランド語(Icelandic)です。アイスランド語は、9世紀にノルウェーから移住したバイキングが話していた古ノルド語(Old Norse)が起源。島国のため、海外の影響を受けることが少なく、他の北欧語とは違い、何世紀もたった今でも古い形のまま残っているそうです。

 アイスランド語は文法が複雑で、英語話者にとっても、習得するのが世界でもっとも難しい言語のひとつと言われています。一応、アルファベットなのですが、文字はなんとなく読めてもちゃんと発音できないところがベトナム語と同じ...

 レストランで働いていたリトアニア人に「アイスランド語、話せるの?」と(英語で)聞くと、「私は大学でノルウェー語を勉強したんで、似てるからちょっとはわかる」と言ってましたが、ノルウェー語が一番近いようです。

小学校から英語


 ただしアイスランドは、だいたいどこでも英語が通じるので、アジアと違い、コミュニケーションは楽です。それもアメリカ英語が主流。第二次世界大戦時に(イギリス軍に侵攻された後)、4年間、アメリカ軍に占領されたことが一因しているようです。

 ヨーロッパなので、イギリス英語の方がいいかと思って、レストランで”take away”を使うと、ウエイターから”To go?”と聞き返される始末。

 別のカフェでも、すごいアメリカ(ボストン)訛りの(かつ非標準のアメリカ英語を話す)ウエイトレスがいたので、「アメリカに住んでたことあった?」と聞くと、「ボストンとか、よく行くから」と。

 そのウエイトレスは「アイスランドでは、小学2年から英語を習うから、誰でも英語を話せる」と言っていましたが、英語が義務教育で取り入れられたのが2000年ごろなので(それまではデンマーク語が第一外国語)、中年以上では話せない人もいます。

 やはり英語のネイティブスピーカーではないので、パンフレットや店の看板・表示などには間違いもあります。レストランのメニューも、たいてい英語版があって助かるのですが、stewと書いてあるのでシチューだと思って注文したら、まったく違うものが出てきたことも。

外国人就労者も英語


 2008年の金融危機で、大手銀行3行すべてが破綻し(一国による歴史最大の金融破綻)、世界的に名を知らしめたアイスランド。その後3年でGDPは10%下落しました。その頃から観光業に力を入れ始めたのですが、今では人口の8倍もの観光客(年間250万人)が訪れるようになり、観光業がGDPの10%を占めるに至っています。

 アイスランドはEUには加盟していませんが、EAA(欧州経済領域)加盟国であり、加盟国の市民はビザなしでアイスランドでの居住や就労が可能です。そのため、観光業界・サービス業界では欧州人、とくに東欧の人が多数、働いています。(主に建設業や製造業で働く)ポーランド人に次ぎ多いのが、リトアニア人だそうで、* レンタカー会社の社員やウエイトレスとして働くリトアニアの若者たちと話す機会がありました。彼らの中には「今、アイスランド語勉強中」という人もいて、彼らとのコミュニケーションは英語です。

 

 

 

* リストアでは、もう何年も人口流出危機を迎えており、過去10年で人口が12%減少(日本は0.3%)。今も「高校生の8割以上が国を離れるつもり」というほど。東欧諸国では、人口流出に加えて出生率も低く、人口減、労働力不足が深刻。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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