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タカシの外資系物語

“青いキリン” を手に入れる方法 (その2)2014.12.02

メダルを手に入れるため、中国人の子供は何と言ったか?!

前回の続き) 1年前にアメリカへ転勤したママ友一家。うちの娘と同い年の ○○ちゃん は、現地の小学校に通いながら、放課後に補習として、英会話学校にも行っています。時世を反映してか、その英会話学校に通う生徒の大半は、中国人ビジネスパーソンの子供たち。20年前なら、日本の大手企業の海外支社や工場の周辺には、日本からの赴任家族によって構成された “ニホン村” が存在したものですが、今や “チャイナ村” に取って代わられたとのこと。本当に隔世の感があるなぁ・・・ と話していたところ、○○ちゃんのママが、にわかには信じられないようなエピソードを披露してくれました。果たして、そのエピソードとは・・・?

 

ママさん 「・・・その英会話クラスでは、授業の終わりに、毎回テストをするのよ」

うちの奥さん 「ふーん、学校でもテスト、放課後もテスト・・・ ○○ちゃんも慣れない土地で大変だわねぇ・・・」

ママさん 「で、うちの○○、日本にいるときから英語を習っていたのもあって、毎回ほとんど満点なわけ。ま、現地の中国人の子供たちに合わせてるのか、レベルがかなり低いせいもあるんだけど・・・」

私 「でも、すごい、すごい! さすが ○○ちゃん」

ママさん 「でね、満点取ると、おもちゃのメダルがもらえるわけ。プラスチックに金の塗料を塗っただけの、おもちゃなんだけど、子供にとっちゃ、宝物なのよね。その枚数の多い・少ないが、結構気になるってわけよ・・・」

 

わかる、わかる、その気持ち! 私の子供時代も、メンコに始まり、スーパーカーや怪獣の消しゴムまで、競うように集めていました。ポイントは、質 よりも 量 なんですよね。たくさん持っているやつが偉い! でも最近、小学生の間で流行っているカード系のゲームやコレクションは、“レアもの” とかいって、質が重視される傾向にあるとか。なんでも、激レアのカードは、数万円で取引されたりして、問題になってるらしく、PTAで注意喚起してましたね・・・

 

ママさん 「つまり、みんなメダルが欲しいのよね。その結果、メダルを最も多く持っている ○○ が狙われるのよ・・・」

私 「えっ?! ○○ちゃん、いじめられたりしたの?」

ママさん 「違う、違う! 中国人の子供たちが大挙してやってきて、うちの ○○ に、

 

『メダルを売ってくれ!』

 

って、言ってんの! 『1枚10ドル、いや、20ドルでどうか?!』 とか、話してんのよ! 私、ホントにびっくりしちゃった! でも次の瞬間、ホントに売っちゃおうかしら、なんて思っちゃったりして・・・(笑) でも、ビックリよねぇ、そうくるか、って感じ・・・」

かつて日本も通ってきた道

私が横浜に住むようになって、早や十数年経とうとしています。横浜は日本でも有数の観光地でもありますから、休日には、非常に多くの観光客を目にします。十数年前と比較して、最も変わったこと、それは間違いなく、中国人をはじめとするアジア人観光客が増えたことでしょう。横浜でも有数のホテルやレストランも、休日は多くの中国人が訪れるようです。

 

以前、このコラムでも紹介しましたが、アジアから出張してきた同僚が、日本で最も行きたいところは、浅草寺でも、スカイツリーでも、六本木ヒルズでもなく、“100円ショップ” です。こう書くと、アジアはまだまだ貧しくて、先進国の域に達していいないんだな・・・と思われる方が多いのですが、それは大きな誤解です。彼ら・彼女らが100円ショップに行くのは、商品の “質” がよく、ついでに価格も安いから。つまり、最も優先順位が高いのは、“質” であって、価格については、安いにこしたことはないが、“質” が毀損されるぐらいなら、お金はいくらでも出す というスタンスです。

 

このことがよくわかる典型的な例は、日本製の粉ミルクを買い求める中国人旅行客でしょう。家族や親戚縁者に乳児がいる中国人観光客は、日本製の粉ミルクを桁違いに “大人買いし” ます。量販店が売り切れなら、通常の薬局、薬局が売り切れならデパート・・・ と、「それはあまりにも高すぎるぞ!」という価格であっても、躊躇なく購入します。加えて、量がハンパなく多い(10個入りのダンボールを10箱とか、平気で買う)ので、現物よりも配送費の方が数倍高くかかる場合もある。でも、買うのです、お金をいくら積んででも・・・。 

 

このことは一方で、中国製の粉ミルクの品質があまりにもお粗末であることを意味しているのですが、ま、親であれば、子供に安全なものを与えたい、ぜいたくをさせてやりたいと思う心は万国共通なわけで、日本もかつて同じ道(カネに糸目なく、質のいい製品やぜいたく品を買いあさる)を通ってきたわけですから、まさに歴史は繰り返す というわけです。1つ違いがあるとすれば、日本製品の “質” は、世界一だったということでしょう。だから、海外で買いあさったのは、土地や美術品がターゲットになったというわけです。

負の歴史を繰り返さないために

ここ5年ほどの間、海外出張といえば、上海・クアラルンプール・バンコクなど、アジアばかり。ただ、普通に考えれば、ビジネスが成功する大きな要因の1つは、その場所が、他の国・地域よりも、より高いニーズを持っていること。つまり、私が学生時代に憧れた、外国としての欧米は、もはやノスタルジーに浸るために訪れる観光地であって、ビジネスの主戦場とはいえないのかもしれません。

 

一方で、20世紀以前に栄華を極めた欧米や日本は、自然破壊・資源乱用・CO2排出など、将来に大きな禍根を残して、低成長時代に突入しました。これから日米欧に追いつけ、追い越せと意気込んでいる新興国にとっては、いざフルスロットル! という段階で、「CO2排出権が・・・」「京都議定書が・・・」と注文をつけられても、納得いかないでしょう(私なら、暴れます!)。

加えて、上海の目抜き通りから2、3本入ると、依然として、裸足で走っている子供たちを見かけます。狭い雑居ビルに、一体何人住んどるねん! と思うほど、密集したスラム街にも、徒歩で行くことができます。

そして、物心ついたときから銃を手にして育った少年兵、学ぶという人間の根源的な欲求すら許されないアラブの女性たち・・・ 20世紀よりも、貧富の差は拡大し、いわゆる南北問題も全く解決していません。

 

外資に勤務していると、しばしば上記のような、マクロ的な問題を考えさせられる機会があります。職場が多様性に満ちていて、それはそれで面倒なことも多いのですが、ときに日本びいきの狭い視点で物事を捉えている自分を戒めるには、絶好の環境を与えてもらっていると思います。私ができることなど、微々たることにすぎません。でも、マクロな視点を、自分の家族や子供、自分が所属するコミュニティに広げることは、決してムダではないと思っています。

 

前回のコラム、冒頭でお話した “青いキリン” の寓話 に戻りましょう。

 

“あるとき、大富豪がこんなことを言いました。

 

「もしも私に “青いキリン” 見せてくれたら、何でも欲しいものをやろう」

 

それを聞いた各国の人々は、次のような行動を取りました。

 

  • ●アメリカ人は、軍を出動させ、世界中に派遣して、青いキリン を探し回りました
  • ●かつて、 青いペンキ を買いに行って苦笑された中国人は、あの頃とはうって変わり、「“青いキリン” 見せてくれたら、大富豪以上のお金を出そう!」 と言い出しました。
  • ●さて、日本は・・・ 日本は、「各国の強みと特徴を活かして、地球規模の チーム で問題を解決しよう!」 と提案しました。

(おしまい)

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この記事の筆者

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。

書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

「タカシの外資系物語」の作者、奈良タカシさんへメッセージをお寄せください。

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