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外資・グローバル転職で役立つ英語表現(36)地名—現地語 vs 英語

昨年、日本政府はウクライナの首都、Kiev(ウクライナ語ではКиїв )の表記をロシア語に基づいた「キエフ(Kiev)」からウクライナ語の「キーウ(Kyiv)」に変更しました。

ソビエト連邦が崩壊し、1991年にウクライナが独立してから、ウクライナ政府は、表記を”Kiev”から”Kyiv”に正式に変更しました。世界的にも、表記は”Kiev”で浸透していたのですが、数年前にウクライナ政府がウクライナ語の”Kyiv”を使用するよう英語メディアなどに呼びかけ(#KyivNotKievを使ったオンラインキャンペーンも)、次第に”Kyiv”が使われるようになりました。

なお、英語での発音は、”Kiev”も”Kyiv”も、”v”はvの発音で、”Keev”と発音する人が多いです。ウクライナ語の発音では、”B”は”w”なので(日本語では「ウ」が一番近い)、「発音もウクライナ語に準じよう」という人は”v”の発音はしないようですが。

そこまで言うのなら、「国名もウクライナ語に準じたら」と思いますが、そういう声は聞かれず、「ウクライナ」は英語では”Ukraine”で、発音は「ユークレイン」になります。*  なので、「ウクライナ」と言っても、英語ネイティブには通じません。

 *(私は、外国語を、発音がまったく異なるカタカナ表記するのには大反対なのですが、発音記号ではわからない人が多いと思うので、ここでは仕方なくカタカナ表記を使います。)

現地語表記 vs 英語表記

このように、言語によって、地名の呼称が違うことは多々あります。前回、中欧の話をしましたが、スラブ語やドイツ語の地名は、英語での呼称が異なる場合が多いのです。

日本語は現地語に追従する場合が多いのですが、ときどき、なぜか英語に準じている場合があります。たとえば、「イタリア」は、英語のItalyでなく、イタリア語の”Italia”に準じていますが、「スペイン」は、スペイン語の”España”ではなく、英語の”Spain”を使っています。

現地語と英語では、まったく呼称や発音が違うものを一部、下記に挙げておきます。

日本語現地語英語(発音)
プラハPrahaPrague(プラーグ)
   
ワルシャワWarszawaWarsaw(ワーソー)
ウィーンWienVienna(ヴィエナ)
   
ドイツDeutschlandGermany
ミュンヘンMünchenMunich(ミューニック)
チーリッヒZürichZurich(ズーリック)
ジュネーブGenèveGeneva(ジェニバ)

イタリアの地名も、現地語と英語では表記が違う場合がほとんどです。

日本語イタリア語英語
イタリアItaliaItaly
フィレンチェFirenzeFlorence
ジェノバGenovaGenoa
ナポリNapoliNaples
ミラノMilanoMilan
ローマRomaRome
ベネチア(ベニス)VeneziaVenice

「自分たちの国、アイデンティティを尊重してほしい」という国はウクライナに限りません。日本の英語名”Japan”は、漢音を基にしたマルコ・ポーロの”Zipangri”を由来とすると言われていますが、「日本に来たこともない人が作った呼称で呼ばれたくない」という声は日本では聞かれないですね。日本人の氏名英語表記も、名字を先に書くように変更になったのに、なかなか浸透しないですし…

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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