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外資・グローバル転職で役立つ英語表現(36)地名—現地語 vs 英語2023.04.04

 

  昨年、日本政府はウクライナの首都、Kiev(ウクライナ語ではКиїв )の表記をロシア語に基づいた「キエフ(Kiev)」からウクライナ語の「キーウ(Kyiv)」に変更しました。

  ソビエト連邦が崩壊し、1991年にウクライナが独立してから、ウクライナ政府は、表記を”Kiev”から”Kyiv”に正式に変更しました。世界的にも、表記は”Kiev”で浸透していたのですが、数年前にウクライナ政府がウクライナ語の”Kyiv”を使用するよう英語メディアなどに呼びかけ(#KyivNotKievを使ったオンラインキャンペーンも)、次第に”Kyiv”が使われるようになりました。

  なお、英語での発音は、”Kiev”も”Kyiv”も、”v”はvの発音で、”Keev”と発音する人が多いです。ウクライナ語の発音では、”B”は”w”なので(日本語では「ウ」が一番近い)、「発音もウクライナ語に準じよう」という人は”v”の発音はしないようですが。

  そこまで言うのなら、「国名もウクライナ語に準じたら」と思いますが、そういう声は聞かれず、「ウクライナ」は英語では”Ukraine”で、発音は「ユークレイン」になります。*  なので、「ウクライナ」と言っても、英語ネイティブには通じません。

  *(私は、外国語を、発音がまったく異なるカタカナ表記するのには大反対なのですが、発音記号ではわからない人が多いと思うので、ここでは仕方なくカタカナ表記を使います。)

 

現地語表記 vs 英語表記

 

  このように、言語によって、地名の呼称が違うことは多々あります。前回、中欧の話をしましたが、スラブ語やドイツ語の地名は、英語での呼称が異なる場合が多いのです。

  日本語は現地語に追従する場合が多いのですが、ときどき、なぜか英語に準じている場合があります。たとえば、「イタリア」は、英語のItalyでなく、イタリア語の”Italia”に準じていますが、「スペイン」は、スペイン語の”España”ではなく、英語の”Spain”を使っています。

  現地語と英語では、まったく呼称や発音が違うものを一部、下記に挙げておきます。

 

日本語現地語英語(発音)
プラハ Praha Prague(プラーグ)
     
ワルシャワ Warszawa Warsaw(ワーソー)
ウィーン Wien Vienna(ヴィエナ)
     
ドイツ Deutschland Germany
ミュンヘン München Munich(ミューニック)
チーリッヒ Zürich Zurich(ズーリック)
ジュネーブ Genève Geneva(ジェニバ)

 

 イタリアの地名も、現地語と英語では表記が違う場合がほとんどです。

 

日本語イタリア語英語
イタリア Italia Italy
フィレンチェ Firenze Florence
ジェノバ Genova Genoa
ナポリ Napoli Naples
ミラノ Milano Milan
ローマ Roma Rome
ベネチア(ベニス) Venezia Venice

 

  「自分たちの国、アイデンティティを尊重してほしい」という国はウクライナに限りません。日本の英語名”Japan”は、漢音を基にしたマルコ・ポーロの”Zipangri”を由来とすると言われていますが、「日本に来たこともない人が作った呼称で呼ばれたくない」という声は日本では聞かれないですね。日本人の氏名英語表記も、名字を先に書くように変更になったのに、なかなか浸透しないですし...

 

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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