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絵文字には気を付けよう

日本で生まれた「絵文字」という言葉が、そのまま海外でも”emoji”として使われているのは知っていますよね? 

元々は、英語では、インターネットが登場した頃に”emoticon””smiley”と言われたものがあったのですが、これは”:)” のようにASCII(アスキー)コードを使ったものでした。(私も、10年ほど前に書いた『英語でツイッター』には、emoticonのリストを掲載していました。)日本語では2バイト(全角)文字も使えたので、より多くの(もっと複雑な)絵文字が生まれましたが、その一部が海外でも普及しました。

そして、その後、今の画像の絵文字が普及したわけですが、元々、日本語のジェスチャーとしてはなかった親指を立てた(thumps up)絵文字 👍 が日本でも普及したのは、フェイスブックの「いいね(like)」に使われたからではないかと思います。インスタやツイッターなどでも使われていますから、今ではすっかり定着していますね。(フェイスブックは、昨年、メタに社名を変更した際に、「いいね」のボタンも変えましたが。)

しかし、この親指を立てた絵文字は、若い人からすれば「中高年(親の世代)の証」だそうで、また「主張が強すぎる」「なめてると思われる」という意見もあるというのにビックリ…  というのは、英語圏のZ世代にも、親指を立てる絵文字を「失礼(rude)」「敵対的(hostile)」と思う人がいるからなのです。国境を超えてZ世代に共通した心理なのでしょうか?

Thumbs Upは”キャンセル”すべき?

ネットのコミュニティ(アメリカ人が大半)で、最近、就職した若い人が「職場でのやりとりで、皆が”thumbs up”の絵文字を使いまくっていて戸惑っている」という投稿をして物議をかもしました。(「自分はハートマークを使う」って、そっちの方がビックリだけど。)

他のZ世代(20代前半)からも「私も慣れるまで時間がかかった。初めは、送ってきた人は私に対して怒っているのかと思った」「受動的攻撃性(passive aggressiveness)の表れ」「X世代がよく使うやつ」という声が聞かれました。Z世代の間では、「親の世代に対してのみ使う」、または「皮肉的に使う」ということです。

一方、X世代を含む上の世代からは「こいつらヘタレすぎる」「まったくメンタルの弱い奴らだな」「Z世代は絵文字までキャンセルする(葬る)のか?!」という意見が大半です。「Z世代だけど使うよ」という人もいますが、世代によってとらえられ方が違うのは明らかなので、使わない方が無難ですね。

私も、thumbs upの絵文字は友人知人の間では使いますが、仕事関連のメールで使うことはないです。

親指を立てるというのは、「承認」(approval)、”OK (got it)”(了解)、”Good job”(よくやった、いい出来)を表すものなので(上から目線)、同僚間や上司から部下に送るのはいいですが、部下から上司に送るには適していません。

「仕事のメールを送って、返信が絵文字だけ」というのに憤慨し、「返信は、ちゃんと言葉で返すべき」なんていうZ世代もいて、意外…

中高年の証

2021年にイギリスで行われたアンケート調査によると、16~29歳の人にとって、下記の絵文字を使う人は「化石」だそうです。(実際の絵文字が入ってて明白なので、日本語訳は加えていません。)

1.Thumbs-up  👍
2.Red heart  ❤
3.OK hand  👌
4.Tick/Checkmark  ✅
5.Poo  💩
6.Loud crying face  😭
7.Monkey covering eyes  🙈
8.Clapping hands  👏
9.Lipstick kiss mark  💋
10.Grimacing face   😬

「1よりも2のハートマークの方が不適切」という人もいますが、職場でハートマーク使う人がいるのには驚きです。場合によっては、セクハラととらえられかねないですから。絵文字というのは、世代だけでなく、男女でもとらえ方が違うという調査結果もあります。

私のマレーシアの知人(親世代)は、1の代わりに3(OK)のみを使いますが、これはこれで、よくない意味にとられる国もあるので、異文化間コミュニケーションになると、さらに難しいですね。ちなみに、私のロシアのE友(40代)は、7と8を頻繁に使います。

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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