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有元美津世のGet Global!

ウイズコロナ時代の海外旅行(2) - リスク(前)2022.03.01


 前回、書いたように観光客に向けて開国するアジアの国が増えているわけですが、だからといって、コロナ前のような形で旅行ができるわけではありません。イギリスへの入国には、今月からワクチン接種完了者は渡航前の陰性証明は不要になりましたが、大半の国では、少なくとも渡航前のコロナ検査(PCRまたは抗原検査)の陰性証明を義務付けています。
 私は、アメリカの掲示板や旅行サイトのフォーラム(どちらも英語話者が対象)で、タイやスリランカなどの旅行事情を追い、かつ他の旅行者の質問に答えたりしていますが、以前のような形で入れると思っている人も少なからずいます。
 私の知り合いのカナダ人夫婦は、毎冬3ヵ月タイで過ごすのですが、昨夏に飛行機もいつも泊まるリゾートも予約していました。12月頭に出発だったので、11月に「ビザ取った?」と聞いたら、「Visa on Arrival(到着時ビザ)」(入国時に空港で発給されるビザ)という答えが返ってきました。今、タイでは、visa on arrivalは30日のビザ免除が該当しない国の人が対象で、15日間のみ発給されます。旅慣れた人でもこうなのかと驚いた次第です。

1. 入国条件の確認


 このように、まずは、渡航したい国の入国条件を確認することが第一です。多くの国がワクチン接種を入国の条件にしており、非接種者に対しては、入国不可、または別途条件を定めています。
 渡航国が定めた入国条件を満たしていないと、出発時に航空会社に搭乗を拒否されます。たとえば、渡航前のコロナ検査は、各国によって出発前24~96時間以内とマチマチです。この時間内の検査でなかったり、検査方法が条件通りでなかったために、実際に搭乗を拒否されている人たちがいます。
 前回も述べたように、タイのように入国条件が3週間ごとにコロコロ変わる国もあります。現に、先週の原稿を書いた後で、「3月1日からは入国後5日目のPCR検査を抗原検査(antigen test)で置き換え」が発表されました。(実は、11月に隔離免除プログラムが開始された当初も抗原検査だった。過渡期に入国した私は、ホテルのパッケージに抗原検査キットが含まれていたが、タイ政府の費用でPCR検査ということに。)
 なお、ネットの情報には、コロナ前の古い情報も溢れているので、注意が必要です。

・実体験情報
 私が、なぜネットの掲示板を追っているかというと、実際にタイを旅行中の人、新たなプログラムや変更された条件の下で入国した旅行者の実体験が聞けるからです。たとえば、私はプーケットで5日目のPCR検査を受けなければいけなかったのですが、まずプログラムによって検査の手続きも違います。*
 タイ政府は、PCR検査を受けられる病院リストを発表していましたが(これも空港にあるQRコードを掲示板に掲載してくれていた旅行者が)、実際に、そのリストの病院に行った人が、4院とも「PCR検査は行っていない」と言われたと投稿していたのです。それを読んでいなければ、私もリストの病院を回って、少なくとも丸一日、無駄にしたことでしょう。さらに、別の投稿者が「PCR検査はモールで受けられる」という情報を写真とともに投稿してくれていたので、モールに直行し、問題なく検査を受けることができました。私が、他の旅行者の質問に答えるのは、こうして私も他の投稿者に助けられたことが一因です。
 タイの日本人向け旅行会社などが日本語で情報発信もしていますが、英語の情報量とは比べものになりません。とくに上述のような実体験の話は、日本語ではかなり限られるでしょう。どうしても日本語で情報を入手したいという人も、少なくとも英語で情報を補完することをお勧めします。

2. 解約返金可能な航空券を航空会社から直接購入


 やはり上記の掲示板では、コロコロ変わるタイの入国条件のため、予約していた便、日程では入国ができなくなったという人が続出しました。日本の航空会社を含め大手(LCCでなくLegacy)は、通常、コロナ関連、渡航先の入国制限などが理由で渡航できなくなった場合、無料でフライト変更や返金をしてくれます。
 ところが、海外旅行に慣れていない人は、(格安料金に釣られ?)旅行サイトなど第三者から購入している人もおり、予約変更などができず、結局、10万円以上の損をしたという人も少なくありません。(なお、私は、とくにコロナ下では、米国内便を除き、変更・キャンセルが容易にできるマイル利用の飛行のみ。)

3. できるだけ渡航先まで直行便


・キャンセルのリスク
 私が過去2年の経験から一番リスクが高いと感じているのは、フライトのキャンセルや変更です。渡航国の入国制限や乗客が少ないといった理由で、2020年パンデミック勃発時には、次々にフライトがキャンセルされました(それで各国で足止めを食らった人たちが多数)。昨秋も、私はアメリカ~アルバニア~日本で飛ぶつもりだったのが、アルバニア~韓国便が変更されたため、アルバニア行きを取りやめる羽目になりました。(そこで、私は常に、便がキャンセルされた際のために控えの便を予約している。)
 私の場合、マイル利用なので、乗り継ぎが多いのがネックなのですが、乗る便が増えるほどキャンセルのリスクが高くなります。
 上述のカナダ人夫婦は、カナダへの帰国便が香港経由のキャセイ便だったため、結局、帰国便は別の航空会社(日本経由)で買い直すことになりました。というのも、香港がカナダを含む8ヵ国からの便の乗り入れを3月頭まで禁止したからです。(「キャセイには二度と乗らない!」と怒っている。)

・トランジット国の規制
 
 国際線乗り継ぎ客にも制限を設けている国や航空会社があります。エミレーツ航空でドバイ経由の場合、渡航国が義務付けていなくても、便によって渡航前のPCR検査陰性証明が必要です。シンガポールも、最近まで同じような条件を設けていました。
 北米西海岸からタイに飛ぶ人の多くは、JALやANAで羽田・成田経由でタイに飛んでいます(東海岸の人はドーハ経由)。 日本は、少なくとも海外から海外への乗り継ぎに関しては規制はないため、人気です。(とくにJAL国際便は、無料でコロナ医療保険がついてくるので。)
 また、ソウル経由で飛んだ人で、PCR検査が要件を満たしていないという理由で、タイ便への搭乗を拒否された人もいます。海外旅行は初めてだったそうですが、ウィズコロナの海外旅行は、初心者にはハードルが高いです。
 次回は、可能性としては大きくないものの、一番高くつき、恐ろしいリスク--旅先でコロナ陽性になった場合について書きたいと思います。


* Phuket SandboxとTest & Goの違いを知っている人向けの情報として、1)バンコクで入国するか、プーケットなど他の都市で入国するか、2)プーケットで入国の場合、T&Gで入国するか、Sandboxで入国するかでも手続が違う。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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