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外資・グローバル転職で役立つ英語表現(8)- “i”の発音2022.02.08


 まだまだ世界を騒がしているオミクロンですが、昨年、オミクロンが登場したころ、アメリカやイギリスでは、”Omicron”の発音に関して論争が起きました。米英のニュースキャスターには、”Omicron”を”Oh-muh kraan”や”Oh-my-kraan”と発音する人たちがいて、「正しい発音は、一体どれなんだ?」という声があがったのです。(YouTubeに多数の動画がありますので、見てみてください。)
 アメリカの辞書、Merriam-Websterでは、「ä-mə-ˌkrän」(AH-muh-kraan)と「ō-mə-ˌkrän」(OH-muh-kraan)と掲載されており、イギリスのOxford English Dictionaryでは、「əʊˈmaɪkrɒn」(OH-my-kraan)という発音も掲載されています。(実際に、発音が聞けるので、辞書のサイトに行って聞いてみてください。)
  “Omicron”というのは、元々、ギリシャ語のアルファベットですから、結局、「ギリシャ人に聞こう」ということで、ギリシャ生まれでギリシャ育ちのファイザーのCEOに聞いて決着を着けた新聞社もあります。(日本語の発音に近いです。)
 こうした混乱から、”Omicron”は、アメリカのキャプション会社による「2021年、もっとも発音を間違えられた(mispronounced)言葉」リストにランクインしました。ニュースキャスターにとって発音しにくい言葉だったそうです。

“i”の発音


 日本では、「Omicronにオミクロン以外の読み方なんてあるのか?」と驚く人もいるでしょう。しかし、英語の”i”は、日本語の「イ」に相当するとは限らないのです。
  たとえば、”ice”や”rice”、”ivory””ivy”は、よく知られた単語なので、皆さんも、”i”の発音が”ai”であることを知ってますよね。(英語をまったく知らない人なら、”aisu”と書く人もいるのだろうけど。ちなみに、マレーシアでは”ice”を”ais”と表記している店が多々。)他にも、”mouse”の複数形、”mice”も同様です。
 しかし、それ以外にも、”i”が”ai”の発音になる単語は、たくさんあります。 痛み止めの”ibuprofen”も、英語では”ai”の発音で、「àibjuːpróufən」です。これも、オンラインの英語辞書で聞いてみてください。日本語のまま「イブプロフェン」と言っても、英語圏では絶対に通じないことがわかると思います。
 ロシアをはじめ、スラブ圏によくある男性の名前、Ivan は、スラブ語圏だけでなく、ロマンス語系を含め大半の言語で「イヴァン」なのですが、英語では”ai”の発音になります。(メキシコ国籍で、親がメキシコ系、スペイン系のタレントが、なぜ英語読みのイヴァンにしているのか謎。)日本語では、ロシアの民話「イワンのばか」のように「イワン」表記もありますね。(ロシア語だと、vとwの間の発音という感じ。)
 同様に、ヘブライ語による旧約聖書に登場する族長の一人で、ユダヤ系の男子の名前、Isaacも、英語では”ai”になりますが、世界の大半の言語では”i”の発音です。日本語は、旧約聖書では「イサク」ですが、それ以外は英語に追従してか「アイザック」のようですね。
 ネスレの粉末飲料、Miloも、日本では「ミロ」として知られていますが、英語では”ai”の発音です。日本などよりも、東南アジア、南アジアで、ずっと愛されているMiloですが、ベトナムを除く、ほとんどの国で”ai”の発音です。(ベトナムは、日本と同じ、「ミロ」。) 
 ちなみに、東南アジアや南アジアでは、(海外から輸入されたカフェではない)以前からある地元式のカフェでは、各種コーヒー(大半がインスタント系)や紅茶と並んで、ほぼ必ずMiloがメニューに載っています。(実は、私は今、スリランカにいるのですが、歴史ある紅茶文化のため、おいしいコーヒーにはなかなか巡り合えません。カフェにはiced coffeeはなくても、iced Miloはあるという… 皆、どれだけミロが好きなのか。ネスレのマーケティング力に脱帽。)

Most Mispronounced


 余談ですが、その他、「2021年もっとも発音を間違えられた言葉」にランクインした言葉には、Billie Eilish、仮想通貨のEthereum(イーサリアム)、 Chiptoleなどがあります。

 Chiptoleは、90年代からあるファーストフード(アメリカ化したメキシコ料理)のチェーンですので、今さらランクインする理由がよくわからないのですが、tʃɪˈpoʊtleɪ」(chih-POHT-lay)という発音は、ベビーブーム世代には難しいのだとか… (tの音は、ほとんど聞こえません。)

 なお、英語の発音をカタカナで覚える限り、いつまでたっても正しい英語の発音はできませんので、あえてカタカナは使わずに発音記号を使いました。ちなみに、私は、中学時代から英語の発音は、発音記号で覚えるようにしました。ほとんどの音は日本語にはないものなので、カタカナで表すのは、そもそも無理な話です。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。

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