Global Career Guide
前回、紹介したManglish。「こんな英語もありなんだ!」と勇気をもらう日本人も少なくないようです。
マレーシア在住の日本人の日本語ブログに、マレーシア人がManglishでコメントして、日本人が間違った英語で返信していたりします。英語ネイティブとやりとりするよりも、気楽に英語でコミュニケーションができるようです。
Manglishは英語の文法や語順なんて無視です。
・He very sick yesterday.
動詞なくても意味わかるし(笑)。マレーシア人のネット上のコメントを見ていると、動詞がない文章が実に多い。私の大家さんの家族の英語も、こんな感じで単語をつなげるだけ。
・Shirt unbutton, chest can see. 「シャツのボタンをかけてないから(?)胸が見える」
これは、まさに日本語を英語に置き換えたのと同じではありませんか!
飲食店で注文をするとき、”Two iced coffees”と注文しても、”Kopi ice two”の語順で(かつ単数で)復唱されるので、私も今では”Kopi ice two”と注文するようにしています。個数が後に来るのも日本語と同じですよね。*
その他、冠詞もほとんど使われませんし、単数と複数の区別もいい加減です。(冠詞なくても意味通じるし、複数にしなくても、個数をつければ数はわかるし。)
仮定法なんて、「何、それ?」みたいな感じですし、大半の日本人が使いこなせない使役動詞は、英語圏の大学を出ている人でも使いません。(ネイティブは使いまくるので、ネイティブとのやりとりでは少なくとも理解することは必須。)
I had my car washed this morning.(今朝、洗車した。車を洗ってもらった。)
細かい文法にこだわっている自分がバカらしくなりませんか?
(日本語は間違えても平気なのに)英語を間違えることに異常な恐怖心を抱いている人には、マレーシアやシンガポールは英語を話すことに自信をつける場として、お勧めです。
マレー語には英語からの借入語がたくさんあります。日本語のカタカナのように、現地語発音式で綴られるので、たとえばBus はBasとつづられます。マレー語の発音ではuはspoonのooの発音になり、Busと綴ると「ブース」になってしまうからです。
IceをAisと綴っている屋台も見かけたことがありますが、マレー語のaの発音はひとつだけです。英語ではCupとCapの発音はまったく違うように、BusとBasの発音も違いますが、日本語になると、どちらも「ア」になるのと同じです。その他、about 、fatherのaも、日本語ではすべて「ア」になってしまいますが、マレー語でも同様です。
つまり、マレーシアでは、たいてい英語の発音もマレー語(や中国語)の発音で置き換えられているわけですが、それでも意思の疎通はできているわけです。
11月にマレーシア代議会の晩餐会で英語のメニューに「Scissors Salad」という表記があり、ソーシャルメディアで拡散され、ニュースになりました。日本でもありそうなミスですが、ScissorsとCaesar’sの発音はまったく違うのに間違えたということは、発音がちゃんとできてないということでしょう。(ま、マレーシアではCaesar’s Saladは、あまり見かけないから知らなくても仕方ないかと。)
「文法や発音がちゃんとできるまで英語は話さない」などと言っていたら、話すときは永遠に来ないでしょうから、英語が話せるようになりたいのであれば、Japlish/Japanglishでいいので、とりあえず話し出すことです。「話す機会がない」というのであれば、ソーシャルメディアが使えます。
ManglishやSinglishを聞いたことのない人は、YouTubeにサンプルがいくつもありますので、ぜひ聞いてみてください。
*マレー語ではCはChの発音になるので、英語のCはKで表され、たとえばComputerはKomputer、ClinicはKlinik。
大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。訪問した国は70ヵ国以上。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など30冊。