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有元美津世のGet Global!

相変わらず日本語オンリーで内弁慶(5)- 疑いの目で自分で検証2020.03.31


 今月頭に、日本国内でネットで行われたアンケートによると、新型コロナウイルス(COVID-19)に関する主な情報源は「テレビ66%、ネット25%、SNS6%、新聞1%、会話1%」という結果が出たそうです。

  上記の回答者の年齢は不明ですが、テレビ離れが進んでいるという若者の間では、情報源はネットが中心だと思っていました。ところが、ある(大卒の)若者(29歳)が、私に米軍のアフガニスタン撤退について得々として語るので、「それは、どこで得た情報?」と聞くと、『池上彰のニュース そうだったのか!!』という番組とのこと。彼は、ニュースは見ないそうですが、池上氏の言うことには絶対の信頼を寄せているようです。

鵜呑みにしない


 私は、テレビのニュースは報道ではなくエンタメだと思っているので、見なくてもかまわないと思っています(というより見ない方がいい)。ただ、ニュースにしろ、他の番組にしろ、流される情報を疑うことなく、信じてしまうのは危険です。

 池上氏は、海外在住の経験はないようですが、アメリカに住んでいたことのある”専門家”でも、間違ったことを伝えている人なんて、いくらでもいます。たとえば、”米専門家”としてテレビで語っている人たちには、数年、アメリカに留学や駐在をしていたという人が多いのですが、アメリカのエリートと付き合って、社会の上部だけサラッと見て帰ってきた人たちが主です。アメリカの庶民のことは、ほぼわかってないし、オバマケアにも加入したことがないから、その実態も仕組みも知らないし。(オバマケケアは、日本で正しく伝わっていない多数の事象のうちの代表格。*

 10年前の世界金融危機(日本でいう「リーマンショック」)の際には、アメリカで不動産を購入したり、住宅ローンを組んだこともない人たちが(わかるわけがない)、その解説を試みていましたが、正確に理解している人はいなかったのでは。**

 その国で起こっていることを理解するには、社会の仕組みや背景などを知らずには無理なのです。

 

 もちろん、鵜呑みにすべきでないのは、テレビの情報だけではありません。ソーシャルメディアを含むネットも同じです。デマ情報はネットの方が多いくらいですから、ネット世代の方が騙されにくいということはないようです。世代、情報源にかかわらず、大事なのはメディアリテラシーではないでしょうか。

自分で検証してみよう


 ひとつわかりやすい例を挙げてみましょう。今月、日本の大手新聞が、下記のような報道をしました。

 新型コロナウイルス対策として米政府が欧州からの入国を制限すると発表したことを受け、米国内の空港では欧州からの帰国者への検査などで長蛇の列ができる混乱が起きた。トランプ氏は15日、「(検査で)時間がかかり、遅れたことを許してほしい」とツイートした。

(www.asahi.com)

 「え~、トランプ大統領が『許して』なんて言うか!?」と思って、原文を見たところ、

We are doing very precise Medical Screenings at our airports. Pardon the interruptions and delays, we are moving as quickly as possible, but it is very important that we be vigilant and careful. We must get it right. Safety first! (@realDonaldTrump)

 Pardonと「許して」では、ニュアンスが違います。アメリカでは、工事現場でよく"Pardon our dust"という看板を見かけますが、これは日本の「工事中、ご迷惑をおかけしております」にあたります。

 "Pardon the interruptions and delays" というのは、「支障や遅れが出ておりますが、ご了承ください」といったニュアンスです。ツイッター全文を見ると、「安全のためにやっているのだから、文句言うな」という感じで、申し訳なさは感じられません。

 このように、英語のツイートを見た人と、日本語の訳文を見た人とでは、同じ内容でも受け取るメッセージは違ってくるわけです。(トランプ大統領に対する印象も。)

 日本のメディアは、「〇〇紙は、こう伝えている」と海外のメディアを引用するだけのことも多いので、「本当に、そう報じていたのか」を検証することは簡単です。もちろん、外国語の読解力が必要ですが、今は、翻訳アプリもありますし、やる気さえあれば、できますよ。

 

 



* オバマケアについては、勤務先からのマシな健康保険に加入しているアメリカ人も理解していない。「トランプ大統領が骨抜きにするまで素晴らしかった」と言っている人たちの大半が、オバマケアに加入したことがない。私は加入6年で脱退。年々高騰する保険料だけ取られて使えないから。

 

* 当時、私は不動産バブルに参加し、目の前で狂気の沙汰を見ており、それをまとめたのが著書『欲張りで懲りないアメリカ人』(2009年)。編集者に変なタイトルをつけられたが(著者あるある)、金融危機の話。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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