グローバル転職NAVI

キービジュアル キービジュアル

有元美津世のGet Global!

「他者指向」と「内弁慶」から脱却しよう2018.07.24


 W杯での「世界を敵に回した」「世界から非難ごうごう」で使われた「世界」と同様に、日本では「外国・海外では」という表現がよく使われます。いつも「どこの国のことを言っているのか?」と思うのですが、世界190ヵ国以上あり、言語も文化も宗教もさまざまで、一くくりにできる「海外」というのは存在しません。*

自分で判断できない?


 しかし、多くの日本人にとって、「ウチ(日本)」に対する漠然とした「ソト(外国)」というのがあるようです。そして、それはたいてい欧米のことであり、概して「欧米が言うこと、やることは正しい」という刷り込みが強く、「欧米がやってるから」と受け入れることが多々。** つまり、物事の判断基準が自分たちの中ではなく、他者にあるということでしょう(他者指向型)。

 日本では、一時流行った「ここがヘンだよ日本人」系のテレビ番組が、最近では「世界が驚いたニッポン!スゴイ」系に取って代わりましたが、どちらにしても「外国人からどう思われているか」が気になって仕方がなく、日本の価値は外国人が決めるようです。

 W杯に関する記事に関しても「スペイン紙は○〇と伝えた」「BBCは○○とコメントした」「○○選手は海外から批判されている」といった他国のメディアがどう考えているかを伝えるものが多かったのですが、自分たちの評価や分析はないのでしょうか?(もちろん、面白い意見・分析を披露している専門誌も一部あり。)

 BBCが流した韓国に関する記事を和訳してるメディアまでありましたが、他国が隣国をどう見ているかまで気になる?!

国を率いるリーダーも


 日本では、よく説得(納得)材料として「そういう慣例だから、昔からそうだから」「世間的・常識的にそうだから」「皆、そうしている」「そういうものだから」「そうするのがあたりまえ」というのが使われますが、「海外ではそうしている」というのも同様ですね。

 「日本の官僚や政治家は何かをやるときに、前例、とくに外国での前例を調べる。外国で例がないと認めてもらえない。世界初のことはやりたがらない。『日本って面白いですね。我が国は世界で初めてのことをやろうとする』とヨーロッパの官僚に言われた」という元通産省官僚の話には目が点になったのですが、他国がやれば「正解」になるからなのか、目立ちたくないからなのか、先頭を切って失敗したくないからなのか…

叩くのは身内ばかり


 そして、常に海外(世間)の目を気にする日本のメディア(日本人)が叩くのは、ほぼ自国(身内)のみ(と近隣諸国)。他の国は叩かれると反論するメディア・人が多いですが、日本の場合、他国と一緒に(「海外は~」と)自国を叩くケースが多く見られます。

 私はアメリカで各国出身の人たちと接し、かつ60ヵ国を訪問し、日本人ほど自国のことをボロクソに言う国民はいないと思っています。*** 中南米やアジアの貧しい国の人たちも自国に対しもっと誇りを持っていますし、ベトナム滞在中に青年海外協力隊としてガーナで2年過ごした日本人の看護師の方と知り合ったのですが、その方も「(毎晩、計画停電があり、女性も立ちションするような)ガーナ人も自分の国が一番だと思っている」と。 

 日本の場合、「自国を批判することが知識層・エリートの証、かっこいい」みたいになってしまっていますが、一歩国外に出ると、そうした行為は異様に映り、「かっこよくなく」(謙遜は通じないし)、リスペクトはされないです。

内弁慶な日本


 W杯中、インドの記者が「イギリス対ベルギーの試合は恥辱。ファンは観戦料を払った価値がないどころじゃない。練習試合のような、つまらない茶番になってしまった」という記事を書いていました。一方、日本のメディアが欧米に対して英語で批判記事を書くことは稀です。そんなことをする語学力もなければ度胸もない? 

 国内で偉そうなことを言っている報道陣や”専門家”の多くが、国外に出た途端、借りてきた猫のようになり、反論はおろか、簡単な意思疎通すらできません。

 海外に羽ばたこうという皆さんは、決して、そんなことはないように、自分で判断する力、語学力、反論力を日ごろから磨いてください。


 

* 海外はハワイにしか行ったことがない人が「海外の気候は...」と言ったりするのをよく耳にしますが、「ハワイ=海外」ということのようで…

** アメリカとヨーロッパでは、文化や価値観、社会制度も大きく違うのに。

*** これは、未だに根強い欧米コンプレックス、身内は褒めない謙遜の文化、外国人と一緒になって日本を批判していれば海外に対して反論しなくて楽、といのが要因かと。世界大戦敗戦後、「愛国=軍国主義、右翼」と刷り込まれてしまったのも大きい。(そんな国は他にまずない。)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

外資・グローバル企業の求人1万件以上。今すぐ検索!

この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

合わせて読みたい

---