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有元美津世のGet Global!

バイリンガル教育(2)─ どっちつかずの可能性も2016.05.31

 

グローバル社会で生き残れるよう「子供を日英バイリンガルに育てたい」という親御さんが増える昨今、「海外で暮らせば自然にバイリンガルになる」と思っている人も多いでしょうが、そういうわけではありません。たとえば、英語圏で育てば、通常、英語は自然にできるようになりますが、日本語は相当な努力をしないと維持できません。

 

私は、子供のバイリンガル化に失敗した日米カップルを何組も見てきました。家では日本語で話しかけるようにしていても「子供が日本語を話すのを拒否する」という話はよく聞きます(周りから浮きたくないので)。私の友人には、娘が幼稚園児のころ、朝の支度をするのに日本語だと時間がかかり、自分も出勤で忙しいため、根負けして英語で話すようになってしまったという人もいます。そのため、娘さんは日本語ができません。

 

こうなると、やはり“ただの”英語ネイティブです。(かつ見かけによってはアジア系というハンディも。)

こうした現象は親が二人とも日本人という家庭でも起こり得ます。家で親とは日本語で話すので、一応、日本語で会話はできても、日本語の読み書きができないという人たちは駐在員のお子さんにもいます。

 

アメリカで生まれていれば自動的に米国籍を取得するので、アメリカで英語だけで生きていくという選択肢もありますが、国籍・永住権が日本にしかない場合、他国では生活や就職ができず、日本語がまともにできないので日本でも就職できない、という状態に陥り得ます。

(簡単に教育移住する人たちは、ここまで考えてないように思えてなりません。)

 

どの言語も中途半端

 

移住の年齢によっては、日英ともに中途半端になってしまう可能性もあります。

たとえば、中学時代から親に送り込まれてアメリカに留学した日本人の青年。英語に訛りがあるのは仕方ないとしても、アメリカで大学を出ているものの英語を書くとブロークンで、プロフェッショナルとしては通用しないレベルです(日本でしっかりした英語教育を受けた人の方が知的な英語を書きます)。日本語も中学のレベルで止まっています。アメリカ企業でも日本企業でも、プロフェッショナルとしてやっていくのは難しいです。現に彼は就職に困っていました。

 

私はアメリカで、こうして“日米の谷間に落ちてしまった”人たちを何人も見てきました。 

 

こうした現象は日本人に限りません。私のアメリカでの友人に中国で生まれ、小学生高学年でパキスタンに移住した人がいます。パキスタンではカトリックスクールに行き、英語で授業を受けたため、北京語は話せるものの、中国語の読み書きはできません。*

話す中国語も小学生レベルで止まっているといっていいでしょう。大学はアメリカで出ているので英語の読み書きは問題なくできますが、長い文章の読み書きはしない… また、英語でも北京語でも訛りがあります。

 

実は、私は多言語国家マレーシアで、こういう人たちに何人も会いました。それについては次回…

 

* カトリックスクールに行ったのはキリスト教徒だからではなく優秀校だから。パキスタンの歴代指導者らの多くがカトリックスクール卒。

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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