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有元美津世のGet Global!

てこ入れされる米ホワイトカラー・エグゼンプション2015.08.18

 

ホワイトカラー・エグゼンプション(White-Collar Exemption)については、以前、書きました

 

日本で審議されている「高度プロフェッショナル制度」では、対象者は年収1075万円以上の高度専門職従事者に限られるようです。アメリカでは、以前、書いたように、年収23,600ドル以上が対象です。

 

「え~、そんなに低いの?」と皆さんが思うのはもっともで、オバマ政権では、2016年より、この額を5万ドル(週970ドル)に引き上げることを決めました。最低額が23,600ドルに引き上げられたのが2004年で、それ以降、インフレに追いついていないというのが主な理由です。

 

正直、管理職(Executive)や専門職(Professional)で年収23,000ドルというのは、2004年当時でも考えられないです。法律では「名ばかり管理職ではExempt扱いにはならない」と定められているのですが、この給料では「名ばかり」としか思えません。

 

今回の法改正によって、初年度480万人の就労者が、新たに残業代を受け取れることになるということです。また、残業代を受け取れる人が、フルタイム就労者の8%から40%に増えるともいわれています。(ちなみに、1980年には33%だったそうです。)

 

企業は概して、この法改正に反対しているのですが、とくに小売・飲食業者貝が反発しています。残業代が増えると人件費が増え、従業員の労働時間を削減せざるを得なくなり、パートタイム勤務者が増えるというのです。また、従業員らが管理職に昇進する機会が減るとも。法改正支持派は、既存の従業員の労働時間は減るかもしれないが、新たな雇用(主にパートタイム)が生まれると主張しています。

 

CEOと社員との給料格差

 

オバマ政権では、他にも、1928年来、最悪のレベルに達した貧富の差を是正するための努力を行っています。米証券取引委員会(SEC)では、2017年から、CEOの年収が社員の年収(中央値)の何倍であるかを開示することを上場企業に義務付けました。開示することによって、株主や世間の批判にさらし、CEOの報酬を抑えるのが狙いです。(CEOの報酬自体は、以前から公開情報ですし、比率を開示するだけで、そんな抑止力があるのかどうかは疑問ですが。)

 

 2014年、S&P500(米証券取引所に上場する代表的な500銘柄)企業のCEOの給料が200万ドル、報酬総額平均2260万ドルで、社員の年収の373倍に達しています。下記のグラフで見るように、これは1965年には20倍であったのが、90年代半ばに急上昇したのがわかります。

 

対従業員CEO報酬比(1965~2014年)

 

(epi.org)

 

なお、国別対従業員のCEO報酬比は、下記のとおりです。世界的にアメリカが突出しているのがわかります。グラフの上にある”It pays to be a CEO in the U.S.”というのは、「米国ではCEOになるのは得、なるだけの価値がある」という意味ですが、payを使って給料のpayとかけて言葉遊び(word play)をしています。

 

(washingtonpost.com)

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この記事の筆者

有元美津世

大学卒業後、外資系企業勤務を経て渡米。MBA取得後、16年にわたり日米企業間の戦略提携コンサルティング業を営む。社員採用の経験を基に経営者、採用者の視点で就活アドバイス。現在は投資家として、投資家希望者のメンタリングを通じ、資産形成、人生設計を視野に入れたキャリアアドバイスも提供。在米30年の後、東南アジアをノマド中。
著書に『英文履歴書の書き方Ver.3.0』『面接の英語』『プレゼンの英語』『ビジネスに対応 英語でソーシャルメディア』『英語でTwitter!』(ジャパンタイムズ)、『ロジカル・イングリッシュ』(ダイヤモンド)、『英語でもっとSNS!どんどん書き込む英語表現』(語研)など多数。

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