グローバル転職NAVI
元・外資人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマは、「ネガティブなフィードバックをする時こそポジティブを意識する」です。
上司・同僚・部下にフィードバックをしたい時、内容がポジティブであれば気は楽ですが、ネガティブなフィードバックの場合は準備が大切です。
日本人はホフステードの異文化モデルからも言えることなのですが、「秀でる」ことを良しとする国民性を持ち100点満点でないと満足しない傾向にあります。気をつけないと、フィードバックの仕方も減点主義になりがちです。
人間は褒められた方が嬉しいに決まっています。最初から重箱の隅をつつくようなネガティブなことから会話が始まったら、思わず聞く側の耳も閉じてしまいます。
ネガティブなフィードバックを上手にするためのコツを、先日グローバル人材塾の朝活で取り上げましたので内容をシェアします。
1. ポジティブな内容を3つ、ネガティブなもの1つにする。
会話の出だしには3つぐらいポジティブなことを並べます。例えば、プレゼンに関するフィードバックをしたい時「とても簡潔によくまとまっていて、データだけではなく現場の声も反映されている、ビジュアル的にも美しいプレゼンだったよ」とスタートします。
そのあとで、「スライドの文字量が多いので、見出しぐらいを載せるようにするとさらに良くなると思う」と、ネガティブな事は1つだけ伝えるのです。
2. プラッシング
プラッシングとは、プラスするから生まれた英単語でPlussingと書きます。ピクサーなどクリエイティブなフィールドで取り入れられているフィードバックの手法です。誰かが新しいアイディアを思いついた時、即座に全否定するのではなく、そのアイディアに何かを足す出すことによって、もっと良いものにする発想です。クリエイティブな世界ではアイディア出しが大事で、誰かに批判されることを恐れて口に出さない環境を作りたくないことから生まれたフィードバックの手法だそうです。
ビジネスの現場でも、出されるアイディアが的外れなことはあまり多くないでしょう。全否定せず、何かを足したらもっと良いアイディアにならないかなと考えてみましょう。
3. サンドイッチ
パンとパンで具材をサンドイッチするかのように、ポジティブなこと → ネガティブなフィードバック → ポジティブなこと、と、会話のエンディングがネガティブで終わらないようにする工夫をして、相手のモチベーションを下げないように配慮するやり方です。
この手法は、私の最後の上司が得意でした。オーストラリア人でオンラインや電話でミーティングする時、最初に必ず何か褒めてくれます。「この間のレポートわかりやすかったわよ」「採用のスピードが早くなったと、Aさん(マーケティング本部長)から褒められたわよ」など。それから私に伝えたいネガティブなフィードバックを挟むのです。「全ての部門からの採用リクエストにスピーディーに対応するのは難しいことだけど、Bさん(営業本部長)から候補者があがってこないって言われたから、フォローしてあげて。」そして最後に「日本の採用チームは一人当たりの採用コストを下げているし、よくやってくれてるわ」とポジティブなコメントを必ず言ってくれました。
ネガティブなフィードバックと日本語では書きますが、英語ではConstructive Criticism(建設的な批判)と呼びます。人格を否定しようとか他の仕事の実績の評価まで落とそうという意図はないのです。さらに良くするためのポジティブなコメントなのだと意識すると、伝える時も受け取る時も自分や相手の人格と切り離して「仕事」にフォーカスした内容にできます。
フィードバックは必ずしも一方的に上司から部下にされるものではなく、同僚同士でも必要になります。ネガティブなことも上手に伝えることができる、エンパワメント型の人材を目指しましょう。
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日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師
株式会社AT Globe http://atglobe.jp/
強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。