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鈴木美加子のグローバル人材塾

自分の器、客観的にわかっていますか? 〜 籠に乗る人、担ぐ人 〜2015.04.21

 

ただいま、オーストラリアから親友が来日しており、先週は金沢に行き、格子戸が美しい東茶屋街に宿泊しました。

 

兼六園など有名な観光名所を見て歩き、日本の美を堪能した素晴らしい旅で、オーストラリア人も大満足。

 

そこまでかと思いきや、さらに期待値を超える素晴らしい経験が出来ました。

 

お茶屋さんが週に2回、外国人観光客向けに行っているGEISHA  NIGHTに参加したのです。

 

そこに、一度に50名の予約客、15名の立ち見客、総勢65名を集められる女将さんがいらっしゃいます。40代半ばの美しき女将は、なんと英語がペラペラ。

 

金沢に3箇所もある茶屋街ですが、英語ができる女将さん・芸妓さんはそうはいないので、彼女の企画を金沢ホテル協会が全面的に応援し、入り口の混雑整理や支払いなどを一手に引き受けてくれている様子でした。

 

私はお茶屋さんに入るのは当然初めてでした。

 

もてなす側で表に出てくる人に男性はいない、完全な女性社会。

 

女性は3種類。仲居さん、芸者さん、女将さんです。

 

仲居さんは、普段はお料理を運んだりするんでしょうが、GEISHA NIGHTにお料理はついてないので、外国人用の座布団を運んだり、手拍子をして場を盛り上げたりがメインのお仕事のようでした。

 

芸者さんは、美しくいること(笑)の他に、三味線・小唄・太鼓・お茶・お花・香道・掛け軸・焼き物と、芸事に秀でる必要があるので、かなりの修行が必要そうでした。おしゃべりの技も当然磨かないといけないでしょう。

 

若い方が、芸者さんの道を選ばない理由が、よーくわかりました(笑)

 

修行が大変そうですもの。

 

とは言うものの、呼ばれたお座敷に出て、美しく振る舞い芸事を披露すれば良いので、華やかではありますが、見ているとやっぱり「駒」です。

 

これが、女将さんとなると、求められることが全く違うのがわかりました。

 

この方は英語がお出来になるので、外国人に向かってオープニング・トークでお茶屋のことを説明するのが、まず最初のお仕事。

 

イギリス英語がはんなりして、10分の間に5回も観客を英語で笑わせられる、エンターテナー本職です。

 

それから必要なのは、ビジネスパーソンとしての才覚。

 

どのように、三味線・小唄・踊り・太鼓を混ぜるか、一方的では飽きてしまうので、どう外国人に参加してもらうのかを考える企画も彼女の腕にかかっています。

 

よく構成されていて、本当に楽しかったです。

 

一見さんお断りのお茶屋さんが、フラッシュ無しの写真撮影をOKしているのは、たぶんSNSに流して欲しいからで、広報も兼ねているわけです。

 

拝見していて、あーこの女性は、会社で言う社長なんだなと思いました。

 

Playing President とでも言うのでしょうか。

 

一晩に推定30万円もかかるお茶屋遊びをできる方が、今の時代にそんなにたくさんいるとは思えないので、昼間はカフェを併設し、お土産を作りと、かなりのやり手。

 

そして、仲居さんと芸者さんとの明らかな違いは、全体を見て気配りをしている事です。

 

65人のお客さんが、楽しく等しく扱ってもらえると感じられるかどうかは、彼女にかかっています。言うのは易しいですが、大変な仕事です。

 

観客に、100歳の日本人のおばあちゃんが娘さんといらしていて、舞台の上で太鼓叩きをされたのですが、全てが終わり芸者さんとの写真撮影になった時、順番待ちなく100歳のおばあちゃんを最初にしてあげようと配慮したのは、女将。

 

いつも通り、座布団を片付けるのに夢中で、女将さんから、はんなり(笑)呼ばれているのに気がつかないのが仲居さん。

 

この場面を見ながら、「籠に乗る人、担ぐ人」という言葉が頭に浮かびました。

 

外資系の人事に25年いて、人には生まれもっての器があると思っています。

 

「ポジションが人を作る」とよく言われ、確かにそういう面もあるかもしれませんが、「本来リーダーシップを持って生まれているから、そのポジションに就けた」がより当たっているようなケースを、たくさん見てきました。

 

全員が社長の器だったら、社会は回りません。籠に乗る人、担ぐ人、両方いるから回るのです。

 

自分の器、リーダーシップの有る無し、強みと弱みを客観的に判断できることが、職業人として成功する鍵だと信じています。

 

決して、リーダーでなくてはいけないと思い込まれませんように。

 

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この記事の筆者

鈴木美加子
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEに入社して人事のキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレーなどを経て、日本DHL人事本部長を務める。帰国子女でも海外赴任経験者でもないが、TOEIC960点をマークし外資系企業でキャリアアップした経験を元に、個人のキャリアアップを支援している。2011年から18か月、オーストラリアに居住し、海外勤務・海外からの帰国希望者のキャリア相談にも乗ることができる。
個人向けのキャリア相談の他、企業向けに、リーダーシップ研修、チームビルディング、組織分析、異文化マネジメント、グローバルコミュニケーション研修を行っている。ルミナスパーク、ルミナリーダー公認講師、ホフステード異文化モデル公認講師、STAR面接法・認定講師

株式会社AT Globe http://atglobe.jp/

強みを最大限に活かし、個の力を発揮出来る人材を一人でも増やすことで、母国を元気にすることをミッションとする。ルミナというアセスメント・ツールを使い、個人・法人向けの人材育成事業を行う。

 

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