Global Career Guide
Daijob.comでは、同サイトの登録者を対象に、「生成AIの利用状況」について独自調査を行いました。
■生成AIの利用率は日系企業より外資系企業勤務者の方が、10%上回った
■「テキスト作成に関する業務」で生成AIが使われることが多く、すでに利用している人で「ほぼ毎日」使う人は56%にのぼり、日常的に使うツールとして浸透している
■生成AIの利用により「業務改善が進んだ人」は40%、「キャリアプランに変化があった人」は50%おり、キャリア形成に大きく影響している
米OpenAIから発表された対話型AI「ChatGPT3.5」が史上最速で1億人のユーザーを獲得してから約1年半が経ち、2024年5月には既存モデルの性能を上回る「GPT-4o」が発表されました。これに加え、米Google社の「Gemini」や米Anthropic(アンソロピック)社の「Claude 3.5 Sonnet」など、生成AIはかつてないスピードで進化しています。
すでに世の中に浸透しているスマートフォンの利用やGoogle検索などのテクノロジーと同様に、生成AIが日常生活にますます普及すると予想される一方、誤情報や著作権侵害の懸念も浮上しています。また、生成AIを利用できる言語環境は英語が先行しており、日本語対応は追随している状況もあります。
このような状況を踏まえて当社では、グローバル人材の生成AIの利用実態について、Daijob.comの登録ユーザーを対象に調査を行いました。
人材の属性別に会社での生成AI利用有無を聞いたところ、「外資系企業」「日系企業」別では、外資系企業での利用が40%、日系企業での利用が30%となりました。英語レベル別でみるとレベル別で大差はないものの、「流暢レベル」の人が44%で最も利用率が高い結果が出ました。ユーザーが英語でのプロンプト作成も可能になると、生成AIの活用度を強化できることが考えられます。
生成AI利用者の中で最も使われているサービスは、ChatGPT3.5が80%で、群を抜いて多い結果となりました。続いて「ChatGPT-4o」「Microsoft Copilot」「Gemini」となっています。「その他」の回答であげられていたサービスは、対話型の「Claude」、画像生成AIの「Midjourney」、Braveブラウザの生成AI「Brave Leo」でした。その他には、画像生成AIのサービスが複数あげられていました。
生成AIを利用している(していた)人に絞って、使用頻度を聞いたところ、「ほぼ毎日」が半数以上の56%、「週に2、3日」が21%となり、77%の人が生成AIの利用方法を習得し、日常的に利用するツールとして浸透していることがわかりました。
何の業務で利用しているのか、という質問に対する回答は、テキストに関する業務が上位を占めており、「文章作成(メール以外)」「翻訳」「メールの文章作成」「文章の要約」「文章の校正」などが、あげられていました。生成AIはテキスト作成に関連した業務との相性が良いことが明らかになっています。
テキスト作成以外では「画像作成」「プレゼン資料作成」「エクセル関数作成」などが続いており、職種問わず必要な業務で活用されていることが分かりました。その他の利用事例には、「業務計画の作成」「顧客とのコミュニケーション案の作成」「情報検索」などがありました。
利用していない理由を問いかけると、最も多かったのは「利用できる業務がないから」(41%)でした。利用していない理由として、自由記述の中には以下の回答がありました。
・勤務している会社で、利用規定が決まってないから
・クライアントから使わないように指示を受けている
・取引先のある国では著作権侵害になり得る生成AIの風当たりが悪く、悪い印象を持たれるから
利用していない人であっても、「とても興味がある」(40%)「少し興味がある」(26%)を合わせると66%になり、半数以上が興味を持っているようです。
「5」「6」の結果を踏まえると、前述した「利用できる業務がないから」(41%)の中には、生成AIに関心があるものの、職場の環境やルール整備の有無によって、利用状況が左右されていることが推測されます。
業務に利用している人、利用していない人に関わらず、生成AIの普及による業務への影響を聞いたところ、「進んだ」と答えた人が40%いました(「とても進んだ」(26%)「少し進んだ」(24%)の合計)。「あまり影響ない」(8%)「まったく影響ない」(16%)と答えた人は、合計22%という結果になったため、生成AIの普及は業務改善に役立っていると考えられます。
キャリアプランに関する生成AIの影響について質問したところ、「とても影響した」と答えた人は26%、「少し影響があった」と答えた人は24%おり、テクノロジーの進化がキャリアプランにも影響を与え始めているようです。また、「今のところないが、今後は影響しそう」と答えた人が最も多い39%になり、具体的にどう変化するかは把握しきれてないものの、生成AIの浸透度によって何かしらの影響を受ける自覚を持っている人が多いことがわかりました。
今後、ますます多くの業務で生成AIを活用できそうな中、今後「最も身につけるべきスキルや能力」として、最も多かったのは「人間ならではのクリエイティブ力」(32%)でした。画像や映像作成、文章作成などのクリエイティブ制作に限らず、個々人の経験や蓄積された知見による発想や行動力、ネットワークを作る力なども含めて、人間にしかできない物理的な能力が、改めて重要視されることも予想されます。
他国と比べると、日本の企業は生成AIの利用に消極的
総務省が2024年7月5日に発表した「令和6年版 情報通信白書」によると、各国の企業を対象にした活用方針では、「積極的に活用する方針」と回答した日本の企業は15.7%と低く、中国(71.2%)やアメリカ(46.3%)と大きな差が開いている状況であり、今回の調査で外資系企業と日系企業の利用率に差が生じたこととも整合性が見られます。外資系やグローバル企業では、AIを積極的に活用できる環境にあり、活躍の幅が広がる可能性も考えられます。
ヒューマングローバルタレント株式会社 代表取締役 / 一般社団法人外国人雇用協議会 理事 横川 友樹
「生成AIがビジネスの現場でどのように活用されているか、特にグローバル人材がどのようにこの技術を取り入れているかを調査しました。生成AIの普及が進む中、テキスト作成や翻訳業務といった日常的な業務での利用が拡大し、多くのビジネス・プロフェッショナルがこの技術を駆使して業務改善を実現しています。このような変化に伴い、私たちの役割は、求職者が生成AIを効果的に活用しながらキャリアを形成できる環境を提供することにあります。Daijob.comでは生成AIで履歴書を作成できる機能が実装されておりますが、今後もより効率的に最適な求人マッチングができるよう改善を続けて参ります。
<プロフィール>
2007年に早稲田大学スポーツ科学部卒業。株式会社ベイカレント・コンサルティングにてビジネスプロデューサー職を担当後、2010年よりヒューマングローバルタレント株式会社にて勤務。メディア営業部、事業推進室、人材紹介部にて営業・マーケティング業務を経て、2020年より現職。グローバル人材の採用において、1,200社以上に携わってきた経験を活かし、当社主催イベントをはじめ、経済産業省、厚生労働省が後援するビジネスサミットに多数登壇するなど、グローバル人材の転職市場に深い知見を持つ。
【本調査の概要】
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【期間】2024年7月3日~2024年8月9日
【機関】ヒューマングローバルタレント株式会社
【対象】Daijob.comの登録者
【有効回答数】509人(日本人:134人、外国人:375人)※質問によって一部無回答もあり
【方法】Web入力フォームによる回収
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【本調査対象者の属性詳細】
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【本調査に関する問い合わせ】
ヒューマングローバルタレント株式会社 事業推進室 岩木 info@daijob.com