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売れてますねぇ・・・ え? 何が、って?! 前回のコラムでご紹介した “ピケティ本” (『21世紀の資本』(みすず書房刊 原題:『Capital in the Twenty-First Century』 by Thomas Piketty)ですよ! 1/8付のAmazon総合ランキングで、アドラーの『嫌われる勇気』(岸見一郎ほか著 ダイヤモンド社刊)を抜いて、堂々の5位ですからね。こりゃ、すごい!
私もやっと読み終わりました(ホッ!)。結局、もう一方の “柔らかい宿題” である 『ソロモンの偽証』(宮部みゆき著 新潮文庫)は、全く読めませんでしたが・・・(T-T)
で、迎えた新年一発目の電話会議! 予想通り、アメリカ本社の同僚から来ましたよ、鶴の一声!!
キターーーーーーーーーーーーーーーーッ! ビブリオバトル(Biblio battle)※ の開始です!!
※輪読会・読書会、または勉強会の形式で「知的書評合戦」とも呼ばれている。Wikipedia見て初めて知ったのですが、ビブリオバトルって、日本では京都大学が起源のようですね。その後、立命館や大阪大にも広がって、東京に来たのは関西に比べて、かなり遅れてのことだったようです。
自分も含め、関西の人って、自分の好きなものを、好きなように(≒半ば、相手の意向を無視してでも・・・)プレゼンするの、大好きなんですよね。私が子供の頃に、『ウィークエンダー』という、テレビで新聞の三面記事(エロねた含む)を紹介する関西弁丸出しの番組があったのですが、ビブリオバトルって、まさに 本のウィークエンダー ですからね・・・
弊社における電話会議のビブリオバトルは、全員参加必須の早い者勝ち! Hesitateしていては、自分が準備しておいた 虎の子本 を、先に紹介されてしまいます。私はわれ先にと、ピケティ本の紹介と感想を話しました。実際、このために英語の原稿を書いて電話会議に臨んだわけで・・・、年始早々、いい大人がノンキなもんです。ま、こういう遊び、というか、余裕が、外資の強さでもあるんですけどね。
私の次は、インド支社のVivek(ビベック)でした。ビブリオバトルって、限られた時間内で言いたい放題しゃべりまくるという性質のもの。いきおいVivekも、強烈なマシンガン・トークで説明を始めたのですが・・・。そもそもインド人の英語って、日本人にとっては、パラパラパラパラと早口で何を言っているのかわからんところに拍車をかけて猛烈なスピードで話すわけで、情けないことに、私はVivekが取り上げた本の作者はおろか、タイトルさえも聞き取れませんでした・・・トホホ・・・(T-T)
仕方がないので、シンガポールから電話会議に参加しているKimさんに、
「Vivekが紹介している本のタイトルと作者を教えて?」
と、チャットでメッセージを送ったところ、以下の返事が来て愕然!!
「mmm・・・, I have no idea, too ・・・」
うそーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん?! (T-T)(T-T)(T-T) すわ!! Vivek暴走か!!! とアタフタしていたら、Kimさんが中国支社から参加している王さん(Wangさん)に私のメッセージを転送してくれたらしく、王さんから返信が来ました。
「Hi, Takashi. Happy new year in Japan ! (中国の正月はもっと先、と言いたいのでしょうか・・・) Vivek book is “A Thousand Splendid Suns” by Khaled Hosseini ・・・」
ん? カ、カーレッド・ほっせいに?? それ、誰???
このコラムでも繰り返し述べている通り、私の読書量はハンパではありません。読んでいない本であっても、Amazonで日々チェックしていますし、『ダ・ヴィンチ』(本の紹介雑誌)も毎号欠かさず読んでいるし、週に3回は丸善か八重洲ブックセンターに通っているし! その私が知らない本がある??! そんな、バカな・・・ そっか、まだ日本語に翻訳されていないんだな、そうに違いない!!
私はかなり狼狽していました。そして、王さんに “Khaled Hosseini・・・, Who ? ” というメッセージを送ろうとした、ちょうどその瞬間・・・、王さんから追加のメッセージが届きました。
「“The Kate Runner” なら知ってるでしょ? 彼のデビュー作で、映画にもなったんだし・・・ タカシって、Movie Freak (Freak っちゅうのは、○○狂、って感じの意味ですかね・・・) じゃなかったっけ?」
・・・え、映画にもなっとるんか? し、知らん・・・(T-T)(T-T)(T-T) ガタン!!! (←プライドがズタズタに崩れ去った音)
グローバル規模でのビブリオバトル・・・じゃなかった、電話会議終了後、私はKhaled Hosseiniとやらについて、急ぎ調べてみることにしました。
Khaled Hosseini(カレイド・ホッセイニ)は、アフガニスタンの世界的作家。王さんの言っていた、“The Kite Runner” というのは、『君のためなら千回でも』 という邦題で映画化されていました。それも、監督は名匠と名高き かの マーク・フォスター・・・ 観てないし! 存在すら、知らんかったし!!
Vivekがビブリオバトルで紹介してくれた “A Thousand Splendid Suns” という本も、『千の輝く太陽』 というタイトルで、ハヤカワepi文庫 からとっくの昔に刊行されていました。Amazonでも 4.8 という高評価だし!! あまりに悔しいので、電子版を即買いして、徹夜で読んじゃいましたよ。年始から、超眠いし!!!
後日調べたところによると、“A Thousand Splendid Suns” は、インドで1年以上も売上ベスト5に入っているとのこと。もう、ぐぅの音も出ません・・・。ピケティなんて騒いでいる場合ではない。要は、
私の知識・興味というのが、いかに欧米に偏っているか!
ということに尽きるのです。
しかし、この傾向は、私に限ったことではない(言い訳がましいですが・・・)。われわれ日本人にとって グローバル とは、欧米および中国・朝鮮半島のことであって、インドを含めたアジア、イスラム、南半球のことは、ほとんど何も知らないのです!!!
次回のコラムでは、日本人の偏ったグローバル観について、さらに踏み込んでみたいと思います。あ、ちなみに、『君のためなら千回でも』ですが、電子版がなかったので紙版を購入し、読了済み。DVDも鑑賞済み。負けず嫌い度は小学生並み、の タカシ でした・・・
(次回続く)
1968年7月 奈良県生まれ。
大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。
みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。
書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ