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タカシ流 スキル UP の方法 ( その 1 )

タカシ、スキル獲得に励む ?

みなさん、『タカシの外資系物語』 も、今回で 400 回を迎えることになりました ! パチパチパチ ! 年間 50 回として、約 8 年。私はもうすぐ 40 歳になりますので、30 代のほぼ大半が、このコラムに凝縮されていることになります。今後とも、よろしくお願いいたします !

( 単行本 『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』 ( あさ出版 ) </A>もよろしくお願いしますね ! )

さて、400 回のメモリアル、どんなお題で行こうかと悩んだのですが、最近個人的に気になって仕方がないことをお話したいと思います。それは、「スキルって、どうすれば身に付くんだろう ? 」ということです。

実は私自身、何か目的を持ってスキル UP をはかったことは一度もありません。大学時代に英会話のサークル ( ESS ) に入っていて、ゼミで数学を専攻したものですから、その流れで ( ? ) 就職した銀行では、システム部で海外業務のシステム開発をしたり、デリバティブのトレーダーをやったりしていました。その後、銀行が破綻してしまったので、銀行を顧客とした金融機関向けの IT コンサルタントになって、現在に至ります。

端的に言うと、私は「その時点で自分が持っているスキルを最も活かせそうな」分野の仕事に就いています。この行動は、「たまたま」ではなくて、かなり「恣意的」です。それは、以下のような思考から、導かれた結果です。

( 前提 ) 私は「ムダ」なことが大嫌いである ! 一方で、飛び抜けて頭がいいわけでもなく、元来ナマケモノである (T-T) 勝負運もない(T-T)(T-T)

( スタート = 学生時代 )
・せっかく大学に入ったのだから、楽しく過ごしたいという思いから、どこかのサークルに入ろうと考えた。ESS なら、楽しみながら英語が身に付くと考えた → 【結果】 他の「お遊び系」サークルよりは、間違いなく退屈で面倒だったが、人並み以上の英語力はついた。

・経済学部の専門課程において、ゼミ選択の際、就職に強い楽チンなゼミを希望したが、ジャンケンにことごとく破れ、不人気なゼミに回された。経済史や理論をやるぐらいなら、数学をやった方がいいと考え、数理経済学のゼミに泣く泣く入った → 【結果】 高校時代に文系科目しかやっていなかったので、数理経済学の本質は一切理解できなかったが、コンピュータをいじる機会があったので、人並み以上の IT リテラシーはついた。

・親から「大学生というのは “大” がついている以上、大人なんだ。だから、小遣いはやらん ! 授業料も自分で稼げ ! 」 というものすごい論理で迫られ、一切資金援助がなかったため、バイトに明け暮れざるをえなかった。一番手っ取り早く、短時間で稼げるのは「塾講師」だったので、塾で働きまくった。 → 【結果】子供相手にわかりやすく伝えるスキル、面白おかしくプレゼンするスキルが身に付いた。( 実は、「ノリ」で教員免許まで取ったのですが、この資格は活用されていない )

タカシ、スキルにムダなし?

そして就職を迎えたわけですが、そのときの視点は「一番お金になりそうな職業」ということでした。マスコミ、商社などいくつか選択肢があったのですが、いずれも落ちた(T-T)ので、仕方なく銀行に入りました。

当時、銀行での花形は、プロジェクト・ファイナンスなどの投資業務でした。しかし、私の大学のレベルでは、そんな部署への配属は 100% 無理でした。そのようなエリート社員以外の、その他大勢は「支店配属」になって、窓口でお金を数えたり、黒い革かばんを持って営業をしたりすることになります。

「これじゃ普通だな … 一応、コンピュータは人並み以上にできるんだし …」 ということで、システム部を希望しました。

( 社会人生活開始 = 銀行員時代 )
・システム部を志望し、配属された。多少英語ができたので、海外業務のシステム担当となる。アジア部門の担当となり、香港・シンガポール・インドネシアなどへの出張も経験 ( 実は、これら出張が、生まれて初めての海外旅行だった ) → 【結果】 およそ銀行とは思えない薄暗い職場で、日夜プログラミング、システムテスト、過労で倒れる、点滴打って復活 … を繰り返す。一方で、銀行業務全般、システム開発のイロハは一応学べた。海外ビジネスにおける「ハッタリ」( =かまし方。できそうにない事をできると思わせる能力とも言えよう ) も身につける。

・マーケット部門が、「システムに明るい、英語のできるスタッフ」という条件でトレーダーを公募していたので応募。面接で「ハッタリ」とプレゼン能力が功を奏し、採用される。 → 【結果】 やっと華やかな職場で働けるようになったものの、なまじシステムを知っているために、日中はトレーダー、夜はシステムのお守り ( メンテナンス ) をさせられ、いいようにコキ使われた。 → 【結果】 外部のトレーダー ( 外国人 ) とやり合う中で、「ハッタリ」スキルが増した。「5 分でシステム直せ !」など、無理なオーダーに対応できるスキル ( 要領のよさ ) が身についた。

… 以上のような経緯を経て、「外資系コンサルに勤務する金融機関を専門とした IT コンサルタント・奈良タカシ」の誕生となるわけです。「英語力」「IT リテラシー」「システム開発」「銀行業務」「ハッタリ」「プレゼンスキル」等々、自分で身につけたスキルを、それなりに効率的に使っていることがご理解いただけると思います。

若手にありがちな「願望」

ここで誤解頂きたくないのですが、私は自分が辿った道を自慢しているわけでは決してありません。本心はむしろその逆で、「もっと計画的にスキル UP を考えて生きるべきだったな …」と、猛反省しています。「要領よく生きてきた」といえば耳障り良く聞こえますが、要は「何も考えずに、何の努力もしなかっただけ」のことで、少しでもタイミングが悪ければ、ボロボロのキャリアになっていたように思います。説明の通り、私のスキルにはほとんど「ムダ」はないのですが、逆に言うと、それしかできないわけで、少なくとも若いスタッフにオススメできるような人生設計ではありません。

さて本題に戻りましょう。「スキルって、どうすれば身に付くんだろう ? 」でした。最近、スタッフと面談すると、次のような相談を受けるケースが、極めて多くなっています。

「タカシさん、次のプロジェクトは、スキル UP につながるようなものを紹介してください !」
「私はコンサルタントとして一本立ちできるスキルを身に付けたいので、そういう指導をして下さい ! 」 等々 … うーーむ …、「スキル」って、何やねん !

私 「うーーん、君の言うスキルって、何なのかな ?」

ありがちなスタッフ A くん 「コンサルタントとしてのスキルですよ」

私 「( だから、具体的に何や ? って、聞いとんのや、イライラ~ ) 業務知識なの ? 分析力なの ? プレゼン能力、ファシリテーション能力、「ハッタリ」をかます能力 …」

ありがちなスタッフ A くん 「全部です ! 少なくとも、その全部について、タカシさん程度のスキルはつけたいので …」

私 「( 「タカシさん程度」っちゅうのは、明らかに失礼だろ ! コノヤロ …( 怒 )) そういうスキルって、プロジェクトを経験する中で自然に身についていく部分もあるだろ ? 」

ありがちなスタッフ A くん 「自然に身に付いていくんじゃ、遅いんですよ。もっと効率よく、スピーディに身に付けたいんで …」

私 「… ( あ、あのなぁ … )」

ありがちなスタッフ A くんの気持ちもわからんでもないですが、ちょっと違いますよね。次回のコラムでは、若いスタッフが陥りやすいこのような誤解と、じゃどうすればいいのか ? についてお話したいと思います。

( 次回続く )

★タカシさん、連載 400 回おめでとうございます ! 今後も引き続き、面白くてタメになり、時に家族愛に涙する連載を期待しています ! ( 編集部より )

奈良タカシ

1968年7月 奈良県生まれ。

大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。

みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。 出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。
書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ

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