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みなさんは、“ロボット” と聞いて、何を思い浮かべますか? 鉄腕アトム? ガンダム?『ターミネイター』 のシュワちゃん???
私の場合は、“ロボコン” ですね。読者の大半は、「なんやねん、それ・・・?!」って感じかもしれませんが・・・(知ってる人、何人いるだろうか・・・不安)。
小学生の頃、『がんばれ、ロボコン!』というTV番組がありまして、夢中で観ていた思い出があります。ロボット学校に通っているロボットたちが、人間界に派遣され、一人前になっていくプロセスを描いたこの作品、原作者は、あの石森正太郎先生!なんですよ。コメディタッチの実写ドラマとして、非常に人気がありました。
ウィキペディアによると、全118話、足掛け3年にわたって続いた長寿番組のようで、それをリアルタイムで視聴していた私たち世代の人たちにとっては、それなりにインパクトあったんですよねぇ・・・。
主人公のロボコンは、ロボット世界の落第生。毎回、どれだけ 良い行いをしたか? = 人間界の役に立ったか? という観点で、百点満点中何点か、という採点をされるくだりがあって、いい点数をもらえるよう、ロボコンに声援を送っていたように記憶しています。
少しだけ脱線させてもらうと、冒頭に挙げた アトム ガンダム ターミネイター にも、相応に思い入れはあります。
特にガンダムは、“ガンプラ”(ガンダムのプラモデル)に代表される 戦闘ロボットのデザインに評価が向かいがちなのですが、それは見方が浅い!甘い!ガンダムの凄さは、ストーリーの秀逸さ、組織における人間の愚かさ・醜さを見事に描ききった部分であり、その点こそ堪能すべきポイントなのです。
主人公であるアムロ(ガンダムの操縦士)、宿敵のシャア、アムロ側についているものの実はシャアの妹であるセイラなど、魅力的なキャラが多数登場するのですが、ガンダムの主役は何と言っても、「ブライト中尉」です!このブライトさん、ホワイトベース(通称 “木馬”)という、ガンダムを載せている宇宙船の船長で、いわば現場のマネージャー店長さんみたいな役割です。
現場では、アムロをはじめとする搭乗員には突き上げを食らい、本部のお偉方からは無茶を言われ放題・・・、まさに企業における中間管理職の悲哀を描いているといっていい。私は中学生時代に、ガンダムをリアルタイムで観ていましたが、ロボットのカッコよさよりも、人間のエゴを描いた部分が妙に目について、大人になるのがイヤになりましたもん、マジで・・・。
組織論としてのガンダムは、鈴木浩毅さんというコンサルタントという方が本(※)にまとめていらして、気になる方はそちらをご覧ください。ガンダム知らなくても、面白いですよ!
(※)『ガンダムが教えてくれたこと一年戦争に学ぶ“勝ち残る組織”のつくり方』(日本実業出版社)、『シャアに学ぶ“逆境”に克つ仕事術』(日本実業出版社)
ガンダムに対して、それほどの思い入れがあるにもかかわらず、“ロボット”と聞いて “ロボコン” を真っ先に思い浮かべてしまう私・・・。この深層心理やいかに?!・・・なんですが、この反応自体は、私なりに説明がつきます。それは、潜在意識として、
「戦争戦闘ロボットというものに対して、抵抗感というか、一種の嫌悪感を持っているから」
なのだと思います。
ガンダム、ターミネイター・・・、とかくカッコいいロボットというのは、その裏側に戦争のイメージを併せ持っています。人工知能の開発が進めば、単一のコンピュータが全人類の知能の総和を超えるという “シンギュラリティ” についても、その結果、ロボットによって人類の大部分が殺戮されるといった SF映画のイメージが強いため、人工知能・ロボット脅威論が声高に言われているように思います。
グーグルのアルファ碁が、囲碁の名人に勝利した = 近い将来、あらゆる分野において、人工知能やロボットが人間を駆逐する・・・確かに、その可能性は否定しませんが、モータリゼーションしかり、航空機しかり、原子力しかり・・・、高度なテクノロジーというのは、ひとたび制御方法を間違えると、人類にとって脅威となるのは、技術全般に当てはまることなのだと思います。まずは、変な先入観は捨てて、積極的にロボットと共存する意識を持つことが、最初の一歩として重要なのかな、と思っています。
さて、本題に入りましょう。今回のコラムでは、“ロボット” について取り上げてみたいと思います。中でも、ガンダムのような 戦闘ロボットではなく、ロボコンのような人間の役に立つ、人間と共存するロボットについて考えてみましょう。
また、Business Use のお話、それも、ホワイトカラーのデスクワーク が対象です。実は昨年来、欧米において、“ロボット・オペレーション” という仕組みが流行の兆しを見せています。これは一体何なのか?
“ロボット” と聞いて、何を思い浮かべますか? 欧米の人に、この質問を投げかけると、日本人とは相当違った反応を返してきます。
一体、何だと思います? 次回のコラムでは、この質問の回答から始めたいと思います。みなさんも、いろいろと想像してみてください。では!
(次回続く)
1968年7月 奈良県生まれ。
大学卒業後、某大手銀行に入行したものの、「愛想が悪く、顔がこわい」という理由から、お客様と接する仕事に就かせてもらえず、銀行システム部門のエンジニアとして社会人生活スタート。その後、マーケット部門に異動。金利デリバティブのトレーダーとして、外資系銀行への出向も経験。銀行の海外撤退に伴い退職し、外資系コンサルティング会社に入社。10年前に同業のライバル企業に転職し、現在に至る ( 外資系2社目 )。肩書きは、パートナー(役員クラス)。 昨年、うつ病にて半年の休職に至るも、奇跡の復活を遂げる。
みなさん、こんにちは ! 奈良タカシです。あさ出版より『外資流 ! 「タカシの外資系物語」』という本が出版されています。
出版のお話をいただいた当初は、ダイジョブのコラムを編集して掲載すればいいんだろう ・・・ などと安易に考えていたのですが、編集のご担当がそりゃもう厳しい方でして、「半分以上は書き下ろしじゃ ! 」なんて条件が出されたものですから、ヒィヒィ泣きながら(T-T)執筆していました。
結果的には、半分が書き下ろし、すでにコラムとして発表している残りの分についても、発表後にいただいた意見や質問を踏まえ、大幅に加筆・修正しています。 ま、そんな苦労 ( ? ) の甲斐あって、外資系企業に対する自分の考え方を体系化できたと満足しています。
書店にてお手にとっていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
奈良タカシ