Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。
キャリアフェアが2/17(金) 16:30から大手町サンケイビルで開催されます。今日は外資系に転職をするにあたって、考慮すべき要素について考えてみたいと思います。
私がグローバル人材の育成に力を注いでいるのは、日本の国力が衰える中、選択肢が増やせるよう明るい未来を描けるようにとの、強い想いがあるからです。世界のビジネスパーソンにとって英語ができるのはある程度当たり前なので、引け目を感じることなく外国人と対等に仕事ができるようになって欲しいと痛切に願っています。
転職するときにみなさんが気にかける項目は、どんな感じになるでしょうか?
自分の若い頃を思い出すと、会社のネームバリュー、給与、昇進などのきっかけで転職しています。無駄ではなかったけれど、自分に合わなかったという意味では失敗もあります(笑)もっとスムーズに転職するには、どうすれば良かったのかを考えてみました。
1. 自分に合っている会社かどうかを見極める
新入社員として入社してまだ一度も転職していらっしゃらない方は、これを見極めるのは非常に難しいのですが、まとめると、下記のようになります。
a) 自分の経験値・スキルが上がる仕事ができるかどうかを確認する
なんと言ってもこれが大切です。特に若い時代、自分に力を蓄える時代は他の付随する条件よりもこの点を吟味すべきだと思います。お金や役職は、自分に力があれば必ずいつか追いついてくるからです。目先のものに惑わされて、肝心の実力が上がらないようだと、将来苦労することになってしまいます。
b) 自分が興味ある商品を扱っている会社かどうか
これは非常に大切で、セールスパーソンでなくても、マーケティングならその商品をさらに売れるにはどうしたらいいかを考えるわけですし、人事なら候補者に会社概要を説明しないといけません、物流部門にいたら商品を目にすることが頻繁にあるかもしれません。例えば精密機械に全く興味ない方が、経理だから関係ないと化粧品会社から転職しても、気持ちの入り方が変わってくるでしょう。私も、あまりに高度なIT企業に転職して、恥ずかしながら製品をマーケティング・マネジャーに説明していただいても、翌日には思い出せないという経験があります。候補者に会社のことを説明するのは、非常に大変でした。自分に興味がない製品を扱っている会社に楽しみを見出しながら、長く勤務するのは難しいかもしれません。
c) 企業の持つスピードが自分に合っている
早いから良いとか遅いから良いというものではなく、自分に合っているかが重要なポイントです。多分、最も早いスピードを要求されるのが、金融・コンサルティング・ITだと思います。モノづくりをしている企業は、中間です。10年に一度メガヒット薬を生み出せば良い製薬企業は、最も長期的視野で変化もゆっくりなことが多いと思います。これもどちらが良い悪いではなく、自分に合ってるかどうかを尺度にしてください。
d) 会社のサイズ
主だった特徴を挙げると以下になります。
大規模 (目安 1,000人以上) – 各自の仕事が細分化されている傾向にあり、比較すると「自分は組織の歯車である」という感覚を持つでしょう。安定していますが、この時代なので将来的にM&Aで買われる側に回らないかは考慮する必要があります。外資もこの規模になると日本的になるというのが、私の実体験です。
小規模 (目安 50名まで) – 経験がなくても若くても、仕事を任せないと回らないので経験値が上がるのは早いかもしれません。そういう意味では「歯車感」はあまりないかもしれません。業績の見通しに注意する必要はあります。日本に進出したは良いけれど、「やっぱり上手くいかないから撤退」は、外資ではあり得るシナリオだからです。
2. 惑わされないで欲しい要素
a) 給与
前にも申し上げた通り、元人事部長としてたくさんの社員の方を拝見してきた経験から、給与とその方の経験値・スキルとは相関関係にあると言い切れます。確かに不遇な場合は考えられます。例えば、一社が長くその外資系企業の前身が日本企業であったため、給与システムが未だに少し年功序列型で現在の給与がマーケットに相場より低いことはありえます。ただこれも、どこかで是正をちゃんとしようという動きが本社か社長か人事主導で起こり、改められることが多いです。
給与が高いということは、期待される成果が非常に大きいか、何か我慢しなければいけないことがあることを示しているので、ご家族の理由でどうしても必要という「頑張れる理由」がない限り、目先に惑わされないでくださいねと申し上げたいです。
b) 役職
起業すると役職にあまり意味がないことがわかってしまうのですが、会社員であるからには気になるという方も多いでしょう。今より役職がいきなりジャンプする場合は、転職先の組織が小さいか、まだ本社の目が届かなくて日本が自由にできているなど、プラス・マイナスいろいろなことを表しますので注意されてくださいね。
まとめますと、目先の条件に惑わされないで、将来自分の経験値・スキルが上がっているだろうかを見極めて転職されてください。慌てると、また再び転職することになってしまいますので、冷静に見極めることが大切です。面接は本来は双方向で、候補者が会社をよく見ることができる大切な場です。キャリアフェアのような場で、たくさんの採用担当者と直接話す機会を持つことはとても勉強になると思います。
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。