Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマは、英語面接に備えすぎないです。
日本企業の会計年度がもうすぐ変わるので、それを機に外資系転職しようとする方が多く、今月は英語での模擬面接のリクエストが多いです。本日は皆さんに共通する注意点を挙げます。
面接官によって聞くポイントは違うので、誰が出てくるのかはぜひぜひ確認したいです。
1.人事
候補者の専門性を確認することはできないので、専門的な話にはなりません。人事の役割は企業文化とのフィット、コミュニケーション能力の高さ、チームプレイヤーかどうかなどになります「この人、感じ悪いなぁ」と思わせると不利になので、ほどよい印象を与えられるようにしたいです。
2.直属の上司
まず確認したい事は、どのぐらい即戦力になるかです。専門エリアの話を詳しく聞かれると思ってください。彼/彼女から見たら直属の部下になるわけなので、自分との相性は常に意識しながら話しているでしょう、またチームの中に入ったときに、スキル・個性から見てバランスが取れるかどうかも見ています。
3.海外と英語での面接
日本国内で一通りの面接が終わった後、英語で海外と面接になる場合、相手はそれなりの高いポジションにいます。彼らの視座は当然高いので、日々の細かいオペレーションの話ばかりする候補者は、器が小さいと思いがちです。志望動機のようなものは聞かれず、将来のキャリアの方向性、業界の動向についてどう思っているかなど、マクロなことを聞かれます。
先方のフルネームがわかったら、LinkedInで探してバックグラウンドを確認したいです。業界を変えたことはあるのか、現職に何年在籍しているのか、転職は多い人なのかなど、沢山のことがわかります。
英語での面接に慣れていないと不安が先立ち、つい想定質問をたくさん考えて、答えを英語で丸暗記しがちです。
これお勧めできません。
答えを丸暗記しているかどうかは、面接官にすぐわかります。外国語で話しているのに、立て板に水の如くペラペラ早い速度で話せるのは不自然だからです。
面接官の役割は真の英語力を理解することなので、ここで彼/彼女がするのは変化球を投げるです。候補者が用意していないと思える質問をいきなり聞きます。
ここで本来の英語力と想定外対応能力が試されるのです。驚いたとしても何とか建て直して自分の英語で答え、つかえても答えきれる人と、崩れてしまう人に別れます。
自分なりの想定質問を考えすぎる危険性は、もう1つあります。実は質問の内容が少し違うのによく聞いていないのか気がつかず、自分が用意した質問と対になっている答えを繰り出してしまうことがあります。相手がネイティブスピーカーの場合は特に、傾聴力が無いと誤解するので要注意です。
慣れない英語面接を前に準備したい気持ちはよくわかりますが、こういう質問にはざっくりこういう風に答える位にして、アドリブが効く余白をぜひ残した状態で英語面接に臨んでください。外資は想定外が多いので、100%準備しないと面接を受けられないマインドでは、そもそも入社したら厳しいかもしれません。
今、持てる英語力を最大限に発揮して自分のスキル・経験値・コミュニケーション力をPRするにあたり、一番重要なのは「平常心」です。あがっていなければ相手の英語もちゃんと聞き取れるし、ペラペラでなくても自分をしっかり見てもらうことができるので、英語面接の準備はほどほどにして臨んでください。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。