Global Career Guide
外資系企業で昇進を目指すのであれば、ただ一生懸命に働くだけでは足りません。自分が本気でキャリアにコミットしているという姿勢を、周囲にしっかりと見せることが不可欠です。本気度を見せるためには結果を出すことももちろん大切ですが、それ以上に、自分の覚悟や意欲を周りに伝える方法を学ぶ必要があります。今日は、実際に外資系企業で昇進を果たすために本気度をどのように見せるべきか、2つの実例を通じて考えてみましょう。
私の最初の職場はGE Japanです。私の上司は、当時すでに一人目のお子さんを育てるワーキングママでした。育休も時短勤務の制度もない中、子供を育てながらフルタイムで働いていた彼女の姿勢は、まさに「本気度そのもの」と言えるものでした。保育園に通うお子さんにありがちな頻繁に起きる体調不良の呼び出しも、二人のおばあちゃんの助けを借りて乗り切っていました。
ある日、彼女が私に言った言葉が印象に残っています。「あなたが本気でキャリアにコミットしていると周りがわかれば、誰かが必ず助けてくれます。これは全ての人に当てはまるわね」今より遥かにワーママが大変だった時代に育児と仕事を両立させた、彼女の言葉は今でも心に残っています。この言葉通り、自分がどれだけ本気でキャリアに向き合っているかを周囲に示すことは、周囲の理解を得るために重要だと気づきました。
IT部門で新しいシステムを導入するプロジェクトが立ち上がった際、担当者はシステム導入に対する社員の不満に直面しました。特に、テクニカルな部分に疎い社員からは「メリットがよくわからない」「忙しい中で手間を考えると面倒」といった声が上がり、導入への反発が強かったのです。このままではプロジェクトが進まないのは明白でした。
そこで、プロジェクト・マネージャーは「何がなんでもわかってもらう」という強い覚悟を持って、問題解決に動きました。彼は何度も説明会を開き、社員一人ひとりにシステム導入のメリットや、それがどのように日々の業務に役立つかを説明しました。説明会は合計10回にわたって行われ、彼は社員全員が納得するまで、しっかりと時間をかけて説明を重ねました。その結果、多くの社員が導入に賛同し、最終的にはスムーズにプロジェクトが進行しました。
このプロジェクト・マネージャーの姿勢は「本気度」を示す一例です。ただ単にシステムを導入するだけではなく、社員にしっかりと理解してもらうためにどれだけ努力したかが、彼のキャリアにおける大きなアピールポイントとなりました。彼は社内挙げてのプロジェクトを成功に収め、二段階昇進を果たしています。
では、外資系企業で昇進を目指すために「本気度」をどのように見せていけばよいのでしょうか。いくつかの重要なポイントを挙げてみましょう。
1.結果にこだわる
外資でキャリアを築くためには、結果を出すことが最も大切です。上司の期待以上の成果を上げることで、「この人は本気だ」と周囲に認識されます。成果を出すためには、目標を明確にし、それに向かって計画的に取り組むことが必要です。
2.挑戦を恐れない
外資系企業では、常に新しい挑戦が求められます。自分の能力や経験に不安を感じることもあるかもしれませんが、それを乗り越える覚悟が本気度を見せることにつながります。新しいプロジェクトやタスクに積極的に参加し、結果を出すことで、次のステップへと繋がります。
3.コミュニケーションを大切にする
本気度を見せるためには、周囲とのコミュニケーションも欠かせません。自分がどんな課題に取り組んでいるのか、どれだけ努力しているのかを適切に伝えることが大切です。また、建設的なフィードバックを受け入れ、それを改善に活かす謙虚な姿勢も重要です。
4.柔軟性と誠実さを持つ
どんなに本気であっても、時には自分のやり方や意見を見直すことも必要です。柔軟に対応し、誠実に問題を解決する姿勢を見せることで、周囲から信頼を得ることができます。
結果重視の外資で昇進を目指すのであれば、自分が本気でキャリアを築こうとしていることを周囲に示すことが必要不可欠です。実際の行動でその姿勢を見せることが最も効果的であり、努力を惜しまない姿勢、そして結果を出すことで、大きくアピールできます。今後、外資系企業で昇進を目指す際には、ぜひ「本気度」を意識し、積極的に行動していきましょう。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。