Global Career Guide

キービジュアル キービジュアル

完璧主義は実力発揮を妨げる

元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマは、完璧を目指さずリラックスした方が英語がらみの仕事は上手くいく、です。

日本人は、ホフステード異文化モデルで言うところの男性性が高いので、つい「極めよう」とします。簡単に言うと常に100点を目指しがちということです。一見、素晴らしいマインドのように思えますが、実は自分を縛るプレッシャーにもなります。

具体例を2つ見ていきましょう。

まずは、英語でのプレゼンです。企業のグローバル研修の一環で、英語でのプレゼンテーションを学び実際にデリバリーするシーンがありました。

研修そのものが英語なので、それぞれの参加者の英語力はわかっていました。ある留学経験者で英語上級者の方が、緊張したのか英語がよく出てこなくなり驚きました。彼女の英語力からは考えられないです。どうしたのかは簡単でした。完璧を目指してしまい「間違いなく出来るだろうか」とネガティブな思考が頭を持ち上げ、緊張してしまったのです。非ネイティブが本番であがると、持ち前の英語力を発揮できません。

もう一つの具体例は、週末に行った英語の模擬面接です。こちらも英語上級者なので普通なら英語面接自体、問題ないはずです。この方の場合は、準備しすぎでした。前もって想定問答集を作って、全部暗記するほどの気合の入れようなのは良いのですが、想定問答集にない質問をすると意表をつかれてあたふたしてしまい、本来は返せるはずの英語が出てこないようでした。

最初から100点を目指し想定問答集を丸暗記したとしても、面接官がその通りの質問をしてくれるとは限らないので、想定外の質問をされた時に慌てて返事が出てこない可能性があります。想定問答集を作るのは良いですが、載っていない質問もされることは当然あるのでリストに頼りすぎないことは大事です。

英語力がある方ほどペラペラでないといけないと思い込んでいます。非ネイティブだとわかっている候補者に、完璧な英語など求められていません。英語はあくまでもコミニケーションのツールで、大事なのは面接での受け答えの中身です。

完璧主義から抜け出すためには、以下の方法を試してみると良いでしょう。

1.自己批判を減らす

自己批判的な思考を減らし、自分に対して優しくなりましょう。日本人は教育の影響で減点主義になりがちで、自分に厳しい人が多いですが第三者から見れば過小評価に思えることも多いです。マインドはポジティブな方が物事うまく行くので自分に厳しくなりすぎないようにしたいです。

2.時間管理

完璧を追求しすぎると時間がかかることが多く、疲弊します。タイムリミットを設定し、休憩時間を組み込みましょう。例えば月曜日が面接だからと、週末ずっと家にこもって面接の練習ばかりしていると視野が狭くなりがちで、緊張感が増します。敢えて外出してカフェに行く、公園で散歩するなど短い時間でも気分転換に当てた方が、結局は成果があがります。

3.ポジティブな自己対話

「完璧でなくても大丈夫」「私はベストを尽くしている」といったポジティブな自己対話を行いましょう。自分を励まし、自信を持つことが大切です。想いは叶うとよく言いますが、自分が出来ると思えることしか出来ないのでポジティブでいることは重要です。

4.プロセスを楽しむ

結果だけでなく、プロセス自体を楽しむように心がけましょう。言うは易く行うは難しいですが、ゆとりがある方が効率も成果も上がります。例えば英語でのプレゼンならスライドに挿入する画像選びを楽しむとか、英語での面接なら想定問答集を作りながら、現時点での自分の価値観を振り返ったりと、プロセスを楽しもうとすることで緊張感を少し和らげることができます。

100点を目指すとプレッシャーを感じがちです。92点でいいやと思えるとリラックスできますし、十分高得点です。自分を追い込み過ぎないで、実力を発揮できるようマインドセットを変えましょう。

X(旧Twitter)

Xでも毎日発信しています。 ID: @Mikako_Suzuki  良かったらフォローしてください。

鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

カテゴリー一覧