Global Career Guide
日系企業から外資系企業に転職するかどうかを決める時、企業文化が著しく異なることを理解していると正しい判断ができます。本日は、外資系の企業文化について10の特徴を説明します。
外資系企業の特徴は、何といっても成果主義、結果主義であることです。結果に至るまでのプロセスが丁寧だったかどうか、一生懸命仕事したかどうかは評価項目になりません。年初に立てた目標を達成できたかどうかが大事です。
日系企業では昇進のタイミングが1年に2回などと、決まっていることが多いようです。外資系企業ではタイミングは関係なく、ある社員が昇進に値すると判断されれば、いつでも昇進することが可能ですし、昇進試験はありません。現職に何年いるかなどの制約もありません。
外資系企業で、部下の制裁権を握っているのは直属の上司です。少し極端に言うと、上司の胸三寸で昇進させることも降格させることもできます。常識的で自分と相性も良い上司ばかりとは限らないので、外資では直属の上司とほど良い人間関係を築くことが重要です。なんらかの理由で関係性がこじれた場合、キャリアは開けない可能性が高いので、相手が転職しそうになければ自分が動くしかないでしょう。
外資系企業ではそれぞれのポジションにJob Description(職務記述書)があり、ポジションに求められるタスクが書かれています。社員の職務範囲は、このJDを超えることはありません。上司に伝えることなく、職務範囲外のサポートなどに手間取り自分の仕事を完遂することができなかった場合、本人の責任になるので、日系出身でみんなでカバーするワークスタイルに慣れている方は気をつけたほうがよさそうです。
外資系企業において、キャリアの形成は社員本人の責任です。5年次研修、7年次研修など全員で受けるような研修はほぼ存在しません。社内の研修についても、社内異動においても自らが手を挙げ、積極的にアピールして機会を勝ち取っていく行けることが望まれます。
外資系企業で必須のコミュニケーション能力です。自分の主張・意見を、相手の役職の上下にかかわらず、上手に伝えることができる力を指し、特に英語でのコミュニケーションではアサーティブネスを持っていないと、相手に押されてばかりの人材になってしまいます。
日系企業では、詳細にわたりきちんと上司に報告することがよしとされているかもしれません。外資系企業では英語で短くわかりやすく説明できる能力が求められます。最初の頃、苦手な人が日本人には多いですが、これができないと地頭を疑われるので気をつけたいところです。周囲に端的に短く話すことが得意な人がいたら、真似をすることが上達への早道です。
外資系企業は国籍に関係なく個人主義の社員が多い印象です。当たり前のように同じ部署で飲みに行ったりすることは、あまりありません。会社の外で集うときは、「仕事の話はしない」ことをルールにしているリーダーもいます。会社を家族と捉える人はいないので、仕事が終わればすぐ帰って行きます。ドライと感じる人もいるかもしれないので伝えておきます。
日本人は完璧主義に陥りやすく、きちんと仕事をしたい気持ちが強い国民性です。世界を見渡すと、まずは行動を起こしてみてうまくいかなかったら改善すれば良いというスタイルの人々がかなり多いです。結果として外資の本社からの指示が何回も変わったりすることもあり得ます。柔軟性を持ち想定外に対応できるかは、本人がストレスなく日々仕事ができるかどうかの分かれ目になります。
外資系は多様な社員で構成されています。国籍だけではなく、宗教やLG BT Qなど様々な背景を持っています。これまでそういう環境になかった人は頭ではわかっていても、いざ現場で致命的な一言を口にしてしまわないようにしたいです。例えば「まだ子供ができないのか?」は、外資ではセクハラに該当し、外資のセクハラ許容度は非常に低いので注意した方が無難です。
上記の10個の項目で、「自分は大丈夫」と思える項目はいくつあったでしょうか。 5個以下の場合は、より輝ける職場は外資系ではないと思います。どちらが良い悪いは無いので、自分に合った環境を探して下さい。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。