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外資系で必要なマインドとスキル

外資系企業への転職を目指すなら、国内企業とは異なる文化や価値観に適応するためのマインドセットとスキルが求められます。ここでは、特に重要な項目について考えてみます。外資系イコール「英語」と思いがちですが、本日のリストで英語力は最後に挙げています。コミュニケーション・ツールの英語より重要な項目は何か、振り返ってください。

1. アサーティブネス

アサーティブネス(主張できる力)は、外資系企業での成功に欠かせません。外資系は「黙っていても評価される」文化ではなく、意見をしっかりと述べ自分の役割や成果をアピールすることが重要視されます。会議や報告の場で自信を持って自分の視点を伝える力が求められますが、同時に他者への敬意も忘れず、協調的に対話を進めるバランス感覚が必要です。

< 具体例 >
24歳の時、意気揚々とNYに出張したら、早口のニューヨーカーの英語が聞き取れず、会議で発言も質問も全くできませんでした。正直ついていけなかったのですが、どの会議でも最後の頃、その場に存在しない透明人間のように扱われたことを思い出します。誰もアイコンタクトを取ってくれないし、相手にされていない感があり情けなかったです。私に足りなかったのはアサーティブネス。質問くらいはする勇気がないと参加者として認めてもらえないということです。

2. 成果を出すことにコミットできる

外資系企業では、プロセスよりも成果が重視されます。与えられた目標に対して結果を出すことが評価されるため、「いかに効率よく、確実に成果を上げるか」を考え、行動する力が求められます。目標が明確である分、責任も大きくなりますが、その分成果を出した際の評価も高いです。

< 具体例 >
以前、大手の日系企業から転職した方が、最初の業績評価ミーティングの後に結果に不満で、「こんなに残業しているのに」と周囲に漏らしたことがありました。プロセスは重視されないので、結果が出ているかどうかだけで判断されることがしっかり理解できていなかったようです。上司と1:1で成果重視とプロセス重視のズレについて話し合ったと聞きました。

3. 想定外対応力

外資系企業は変化が激しく、状況が予測できないことが多いのが特徴です。想定外の事態に迅速かつ柔軟に対応する力が必要で、例えば、進行中のプロジェクトに対して新しい要求が舞い込んだ際にも、ポジティブに受け止め、解決策を見つけ出す柔軟性が大きな武器になります。前もって決められたことをその通りに進めたい人には、驚きとストレスが大きいかもしれません。

< 具体例 >
ある時、第1四半期は「どんどん採用」、第2四半期は「採用凍結」、第3四半期は「採用して良い」になったことがあります。何かがおかしいと思い始めて8ヵ月後に、全ての海外法人を閉めることになりました、業績が思わしくないと採用凍結になることはあり得ますが、そんなに簡単には解禁にならないので、裏でドタバタしていたのかもしれません。採用を束ねている人事としては候補者や転職エージェントとの対応で、正直かなり大変でしたが、これこそ「想定外」。不満ばかり言っていても仕方がないのでチームで何とか対応しました。あの状況で「べき論」にこだわる部下が一人でもいたら、チームとしてのスピードが落ちて大変だったはずです。

4. 多様性との協働

外資系企業では、国籍やバックグラウンドが異なる同僚と協働する機会が豊富です。多様性のあるチームでは異なる視点や価値観に触れる機会が多く、これを理解し、活かすことが重要になります。文化や考え方の違いを尊重し、異なる意見を受け入れる姿勢が、グローバルな環境での信頼関係を築く土台となります。性別・年齢・国籍・宗教などの違いと協働できるかどうかが重要です。

< 具体例 >
正統派ユダヤ人がNYから東京に出張した時は、コーシャー・ミールというイスラム教でいうハラルを手配できなくて困り果てました。当時は大きなストレスを感じましたが、振り返ると貴重な経験で、多様性の中でおそらく最も複雑な「宗教」の重みを理解することができました。大変な経験ではありましたが、のちにイスラム教のマレーシア人達と仕事をした時に経験を活かすことができました。

5. 英語力

英語力は、外資系企業に転職する際の基本的な要件です。仕事で必要とされるレベルの英語力は、ビジネスメールやミーティングでのコミュニケーションが円滑にできる程度が求められます。ペラペラでなくても大丈夫なので、外資系に転職したい人はぜひチャレンジしてほしいです。たとえ英語力に現時点で自信がなくても自分に合った形で学習を続けることで、必ずレベルアップするので頑張りましょう。

外資系企業での成功には、アサーティブネス、成果志向、想定外対応力、多様性との協働、そして英語力が重要です。国内企業とは異なるマインドセットが求められる場面が多いことを意識してください。今、足りないマインド・スキルは向上していけば良いので、挑戦を恐れず自分の可能性を広げていきましょう。

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鈴木美加子

グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役

日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師

NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)

株式会社AT Globe

強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。

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