Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル・キャリア・カウンセラーの鈴木美加子です。
本日は、「転職エージェントをどう見極めたら良いか」をテーマにします。
ネット全盛の時代、エージェントに頼らなくても転職する方法はありますが、やはりエージェントは多くの求人を持っていますし、転職慣れしていないうちは特に、転職サイトに登録してエージェントの力を借りるのが効率的です。
まず、どの会社が良いのかが気になるところかもしれませんが、エージェントは個人の力量が大切です。長い間、公私ともに転職エージェントにはお世話になり、エージェントには3タイプあると感じています。候補者にどのくらい寄り添えるかをポイントに、今回の転職話を任せて大丈夫かどうか判断したいところです。
候補者を1人企業に紹介できたらコミッションが入るのが転職エージェントなので、残念ですが短期志向になる人もいます。本当に優秀なエージェントは、とりあえず押し込むことをすると、ミスマッチが起きて試用期間をクリアできないなど自分の評判に傷がつくことを理解しています。目の前のコミッションのために、企業と候補者両方から信用をなくすことは長期的に考えると自分にとって損とわかっているので、候補者が迷っている時に誘導したり強く勧めたりしません。
私は現役時代には、このタイプに出会えなかったのですが、独立してから数人にお目にかかれました。親密性・共感性に優れ傾聴力があり、候補者の軸が揺れている理由や気持ちを聞いてくれる、カウンセラーのような役割を果たせるタイプです。転職活動はストレスが高い作業なので、損得抜きで話ができるエージェントは希少価値があります。
残念ながら転職エージェントの中には、自分に入るコミッションのことしか考えていないのかと思える方も存在します。企業に求人があり、候補者がいて、まぁ行けそうかなと思ったら無理にでも「突っ込む」タイプです。よく話を聞くというプロセスを踏まず、クロージングに導いていくので、初めて転職エージェントとおつきあいする方でもわかると思います。
必要なことを相談するのは大事ですが、このタイプだなと思ったら惑わされないことが大切です。「自分はどうしたいのか」「何を迷っているのか」「どんな情報が得られたら決断できそうか」、冷静に状況を見極めて自分で決めることが肝要です。言うまでもないですが、次に転職を考えるときにお声がけはしないほうがいいでしょう。
私自身、自分の転職を3回お世話になったエージェントがいます。彼は上記で言うと1のカテゴリーに入る人です。面接後、私が「こういう理由で、このポジションは気乗りがしない」と言えば、「そうか」と答えて、無理強いは決してしない人でした。彼からの話はいわゆる筋が良いのです。トラブルを抱えているとわかっている会社を勧めたりはしません。信頼関係が深まり、会社の採用も手伝ってもらっていましたので、長い間、良いおつきあいができました。
あなたが今、協働している転職エージェントはどのタイプですか? あなたの立場に立ってくれていますか? 判断は冷静ですか? よく見極めて、「この人!」と思えるエージェントと長期におつきあいできますように。
好評発売中!
鈴木美加子 著『やっぱり外資系!がいい人の 必勝 転職 A to Z』
外資系に転職して活躍できる人、向いていない人、その違いとは――。
人事のプロとして25年間に累計1万人を面接・面談した著者だからこそ知り得る、経験と実績にもとづく“成功する”転職ハウツーを明かす。
Amazon販売ページはこちらから
https://www.amazon.co.jp/dp/441323121X/
グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。