Global Career Guide
元・外資系人事部長、現グローバル人材プロデューサーの鈴木美加子です。本日のテーマは、外国からの出張者との会食についてです。
先週、運営する「鈴木美加子のグローバル人材塾」のオフ会で、出張者とのディナーで気をつけていることについて、みんなで話し合いました。残念ながら、コロナの影響で海外から出張者を受け入れることはほとんどなくなってしまいましたが、いつか必ず海外からの出張者を接待する日は再び来るので、それぞれの経験をシェアしておこうということになったのです。
イスラムのハラル、正統派ユダヤ教徒のコーシャーミールなど、食べ物に大きな制約がある場合もあります。またベジタリアンなど、東京でのお店探しが少し大変な出張者もいます。前もって食べ物について制約があるかどうかは聞いておいた方が、来日してから慌てないで済みます。できれば自分自身か知り合いが実際に食事をしたことがあるお店の方が、成功する確率が高いです。
どのようなお店に連れて行くのかは、出張者の役職のレベルにより、つまりは予算によるので一概には言えません。まだジュニアな人であれば、居酒屋や回転寿司を面白いと思ってくれる事が多いようです。一般論で言うと役職が上がるにつれ、良いレストランに連れて行かれることに慣れているので、お店選びには少し慎重になったほうが良いです。天ぷら・鉄板焼・高級お寿司などいろいろ候補はあります。
予算1万円位以上のディナーであれば、高級和食、一流ホテルの鉄板焼き、高級寿司店が候補になります。カウンターのある高級寿司店ですと、魚の名前の翻訳の上に、大将との粋な会話も英語に通訳することになって気が疲れるので、ビジネスでの接待ディナーには、個人的にはあまりお勧めしません。(つまりは私に疲れ果てた経験があるということです 笑)
どこにしようか迷ったら、トリップアドバイザーで検索する手もあります。”Restaurant” x “Tokyo” で絞り、さらに条件を加えると、様々な種類の料理を提供してくれるお店を英語で調べられます。”Vegetarian”を加えると東京にベジタリアンレストランが411軒もあり、28歳の時にNYからの出張者のために手配で苦労した正統派ユダヤ人向けの”Kosher meal”を提供するお店も、練馬に1軒できたとわかります。出張者が親しい人であれば、前もってリンクを送っておいて好きなお店を選んでもらうと言う手もありますね。
お相手が初めて会う人の場合は、無難な話題、例えば「趣味」から会話を広げていくのが良いでしょう。「スポーツ」も気軽なネタではあるのですが、国によって盛んなものが異なるので、同じスポーツについて話せるなら良いと思います。昔、グローバル会議でアメリカに出張した時、チーム・ディナーの席でバスケットボールの話題を持ち出したアメリカ人同僚がいました。アジアから参加したメンバー達は、アメリカのスター選手の名前がかろうじてわかる程度でついていけず、会話はかなり盛り下がってしまいました。それ以来、多様なメンバーと会食する際の会話ネタは、グローバルに通用する内容であるかどうかに気をつけています。
「家族」ネタは、相手がどのくらい自分をオープンにしたい人なのかわからないので、向こうが話し始めるのを待つのがお勧めです。プライベートのことを話し合えるようになると距離が縮まり、ビジネスの場でもスムーズになっていきます。
政治&歴史 : それぞれの信条が違うので、基本は触れない方が無難です。地理的に近い国、例えば日本・中国・韓国、インド・パキスタン・バングラデシュなどは、歴史的に争った過去があり、出席者の顔ぶれに配慮が必要です。アジアで言うと、中国人に関しては、中国本土出身の中国人・香港人・台湾人と分けて全員を一緒にしないようにしています。ずっと昔に、台湾人に対して”Oh, you are a Chinese.”と言ってしまい、”No, I`m a Taiwanese.”と言われた経験があります。それ以来、”Where are you from?” を誰に対しても使うようにしています。
普通の会話ではあまり登場しないと思いますが、日本は戦争加害者であり、アジアからの出張者の親御さん・祖父母の代が辛い経験をしている可能性があることは、しっかり理解しておきたいものです。そうでないと、歴史の話になった時に謙虚さのない驕った発言をしてしまうことになります。最近までアジア地域のCEOとして、シンガポールに住んでいた日本人の友人が、「アジアに住んでいると日本が戦争加害国であることを強く感じる」と言っていました。
相手の国の歴史上の有名な政治家について話すのは全く問題ないですし、かえって尊敬され好意を持ってもらえそうです。
宗教もあまりこちらからは触れない方が良いネタです。少し日本のことを学んで出張してくる外国人から聞かれる可能性があるのは以下の2つの質問なので、答えを英語で言えるようにしておくと便利です。
a) 信じる神がない、つまり無宗教であるとはどういう意味ですか?
b) お寺と神社はどう違いますか?
日本語で考えて英語に翻訳するのは大変なので、英語で検索すると情報は英語のままでたくさん出てきますので、真偽をしっかり確かめて必要な箇所を使うと早いです。
コロナが収束するまでにはまだ時間がかかりそうですが、海外からの出張者を快く迎え楽しくビジネスディナーできる日を楽しみに、今できる英語力をさらに磨くなどの準備をしておきましょう。
多様性を受け入れ、英語でロジカルに発表・主張できて外国人と協働できるグローバル人材の集いです。楽しく学びながら、コミュニティの中で継続的に成長することができます。
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グローバル・キャリア・カウンセラー /(株)AT Globe 代表取締役
日本GEの人事でキャリアをスタートさせ、モルガン・スタンレー、イートンのアジア・パシフィック本部などを経て、日本DHLの人事本部長に就任。1万人を面接した自身の転職経験と英語や異文化と格闘した体験を元に、外資への転職を希望する方・外資でキャリア・アップしたい方を全力でサポート。
英検1級、TOEIC960点。iU情報経営イノベーション大学・客員教授。ルミナスパーク・リーダー認定講師、STAR面接技法・認定講師、ホフステード異文化モデル公認講師
NY生まれでオーストラリア居住経験あり。映画とコーヒーが大好き。
著書「やっぱり外資系がいい人のAtoZ」(青春出版社)
「英文履歴書の書き方・英語面接の受け方」(日本実業出版社)
強みを活かし個の力を最大限に発揮できるグローバル人材を、一人でも増やすことで母国の発展に寄与することをミッションとする。 企業向けには異文化理解・海外赴任前研修を、個人向けには外資への転職サポートを提供。